販売価格を下げるセールは、EC利用者の購買意向に大きく影響すると思われています。しかし、実際のEC利用者にアンケートを実施したところ、必ずしもセールが購買のきっかけになるとは限らない事実が判明しました。一方で、商品カテゴリによってセール利用と通年購入の差はあるようです。
そこで、アンケート結果をもとに分類した、セールと通年それぞれで購入されやすい商品カテゴリを詳しく紹介します。
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Contents
実際のEC利用者にアンケートを実施
より実際に近い結果を得るため、今回の調査は実際のEC利用者を対象におこないました。また、偏った結果にならないよう、できるだけ幅広いユーザー層から回答を得ています。
まずは、アンケート対象者についてご覧ください。
幅広いユーザーの声を反映したアンケート結果
今回のアンケートは、インターネット上でECの利用経験のある人を対象におこないました。男女合計200名の方から回答を得ています。男女比はやや男性が多いものの、極端な偏りはありません。
年齢層は30代と40代が中心ですが、20〜70代まで幅広い層からの回答が寄せられています。年齢層を円グラフでみると偏りがあるように思えますが、購買の中心層が30〜40代であることを考えると、十分参考になるデータだといえるでしょう。
商品カテゴリによる違いが明らかになった
アンケート結果をさまざまな角度から分析したところ、セールと通年の購入のしやすさは、商品カテゴリによって傾向が違うことが明らかになりました。商品カテゴリによる違いを理解することで、より実効性の高い販売計画が立てられるようになります。
セール実施の判断や広告戦略を立てる際は、販売商品のカテゴリがセールで買われやすいのか、通年買われているのかを参考にしてください。たとえば、値引きをすれば一般的に販売数を伸ばせますが、通年買われている商品の価格を下げても無駄に利益を圧迫するだけです。一方で、セールを狙って買われる商品なのに、需要の先食い懸念などでセールの実施に踏み切れないでいると販売機会を失ってしまいます。
ただし、セールと通年のどちらかに、完全に偏っているわけではありません。どちらでも買われている商品カテゴリもあるため、自社商品の特性も加味して総合的に判断しましょう。
セールを狙って購入されやすい商品カテゴリ
まずは「セールを狙って購入する」という回答のほうが多かった商品カテゴリを紹介します。全体の傾向として、比較的緊急性が低く、買い替え頻度の低い商品カテゴリがセールを狙って購入されていました。一方で「通年買う」という層も一定数はいるため、販売商品の特徴をしっかりと打ち出して安定的な売上を目指すことも大切です。
※アンケートの選択肢は「セールを待って狙って買う」と「通年欲しいときに買う」の2択でしたが、グラフ表示の都合上それぞれ「セールで買う」「通年買う」と置き換えています。
家電類
家電類を「セールで買う」人の割合は67.5%、「通年買う」人の割合は32.5%でした。家電類は、もっともセールを狙って購入されやすい商品カテゴリといえます。
多くの家電は大手メーカーが作っているため、いつどこで購入しても性能に差はありません。また、購入理由が「故障」でない限り、緊急性の低い商品カテゴリです。できるだけ安く購入したいという、消費者の心理が顕著に現れています。
一方で、3割強の方は、通年で購入しているのも事実です。販売商品を探しやすくして、セールを開催していない時期でも常にユーザーへリーチし続けることで安定的な販売も望めます。
スポーツ&アウトドア関連商品
スポーツ&アウトドア関連商品は「セールで買う」が60.0%、「通年買う」が40.0%でした。家電に比べるとやや割合は減るものの、セールで購入する顧客が多いことがわかります。
スポーツやアウトドアといった趣味の商品は、家電と同様に購入の緊急性はあまり高くありません。また、趣味にかけられる予算が限られており、商品が安くなるタイミングまでじっくりと待って購入する方も多いと考えられます。季節性の高いジャンルでもあるため、適切な時期にセールを開催することで売上の最大化が見込めるでしょう。
一方で、色や形、使い勝手など価格以外の購入決定要素が多い点も、スポーツ&アウトドアカテゴリの特徴です。セールを開催していない時期でも、他社製品にはないセールスポイントを明確に伝えられる販売ページ作りを心がけることが大切です。
パソコン・スマートフォン・周辺機器
パソコン・スマートフォン・周辺機器は「セールで買う」が60.0%、「通年買う」が40.0%でした。商品カテゴリの特性が家電類に近いことから、同様の傾向になったといえます。
ただし、パソコンやスマートフォンは、より高性能な商品を求めるケースも少なくありません。また、新商品の発売時には、セールの有無に関わらず需要が高まります。セールと通常価格を、バランス良く取り入れた販売計画を立てることが大切です。
セールの有無に関わらず年間を通じて購入されやすい商品カテゴリ
EC利用者の購買動機は、セールでの値引き価格だけではありません。商品カテゴリによっては、セールとは関係なく年間を通じて購入されています。全体としては、必要に迫られて購入される商品が多いようです。
今回のアンケート結果からみえた通年で購入されやすい商品カテゴリは、セールで購入されやすいカテゴリ数を上回る4カテゴリでした。それぞれの特徴をみていきましょう。
書籍
書籍は「セールで買う」と答えた人が29.5%にとどまったのに対して「通年買う」が70.5%にものぼりました。今回のアンケート結果のなかで、セールと通年の割合の差がもっとも大きかった商品カテゴリです。
そもそも書籍はあまりセールにならないことと、話題性や必要性が本を購入するきっかけとして大きな影響を与えるためだと考えられます。
日用品・キッチン用品
日用品・キッチン用品は「セールで買う」が36.0%、「通年買う」が64.0%でした。日常的に使うものが多いことから、必然的な結果といえます。
一方で、日用品やキッチン用品のうち消耗品は、セール時にまとめて購入する消費者も少なくありません。販売している商品にもよりますが、セールを開催する際は単品での値引きではなく、まとめ買いを促すような価格設定にすると売上増を狙えます。
食品・飲料・お酒
食品・飲料・お酒は「セールで買う」が39.0%、「通年買う」が61.0%でした。日用品と同様、必要に応じて購入するケースが多い商品カテゴリだといえます。
ただし、食品類の販売で注意したいのが、在庫商品の消費期限です。消費期限が到来して販売できない事態にならないよう、適切なタイミングでセールを開催して在庫を売上に変えることも食品・飲料・お酒のカテゴリでは重要です。
化粧品・美容用品
化粧品・美容用品を「セールで買う」人は41.0%、通年買う人は59.0%でした。日常的に使用する商品が多いため、今使っているものがなくなったら次を購入するというサイクルで購入されていると予想されます。
ただし、化粧品や美容用品は、決まったものを続けて購入する人の多い商品カテゴリです。認知度の低い商品や競合が多い場合には、他社商品からのスイッチングを狙ったセールの開催も検討しましょう。商品原価や販売方法にもよりますが、セール販売時の利益がほとんど見込めない価格設定でも、リピートによって利益を回収する戦略も有効です。
セールと通常時で差があまり見られない商品カテゴリ
セールを待って購入する人と、通年欲しいときに買う人の割合が、半数ずつに割れた商品カテゴリもありました。商品特性を分析すると、必要性と嗜好性の両面を併せもっているようです。
セールと通常時であまり差のなかった商品カテゴリを、商品の特性を踏まえながら詳しくみていきましょう。
衣類・ファッション関連商品
衣類・ファッション関連商品は「セールで買う」が51.0%、「通年買う」が49.0%と、ほぼ半々に分かれました。ファッション関連商品は、消耗品と嗜好品の2つの側面をもっています。消耗品としてできるだけ安く購入したいユーザーがいる一方、嗜好品であればデザインや色など価格以外の要素が購入動機になるケースもあるということです。
また、衣料品を販売する多くの実店舗では定期的にセールが開催されているため、セールを待って購入するユーザーも少なくありません。衣類・ファッション関連商品に関しては、販売する商品によってセールと通常販売を適切に使い分けることが重要です。
工具・ガーデン用品
工具・ガーデン用品は「セールで買う」が52.5%、「通年買う」が47.5%でした。セール志向がやや強いものの、ほぼ半々といった印象です。どちらつかずの結果になったのは、工具やガーデン用品の購入動機が状況や商品によって異なることが原因と考えられます。
工具やガーデン用品は、何かの修理や庭の手入れなど、必要に駆られて購入するケースが少なくありません。一方で、DIYやガーデニングといった趣味的な要素で購入する場合は、スポーツ&アウトドア関連商品のように予算を抑えることが優先される可能性もあります。
おもちゃ(ゲーム含む)
ゲームを含むおもちゃは「セールで買う」が46.5%、「通年買う」が53.5%という結果でした。おもちゃに関しては、自分用とプレゼント用の2つの用途が考えられます。自分用であればできるだけ安く購入したいところですが、プレゼントであれば価格よりもタイミングが優先されるはずです。
また、ゲームやプラモデル、テレビキャラクター関連など、自分用であっても発売タイミングが重要な商品もあります。ECでの販売数を伸ばすには、販売している商品を購入するユーザーの特徴をしっかりと掴むことが重要です。
顧客属性による違い
最後に、アンケート結果を性別と年齢という2つの顧客属性軸で分析した結果を紹介します。性別によるセール利用意向の違いはほとんどない一方、年齢による違いは販促計画に大きな影響を与える可能性があります。
顧客属性によるセール利用意向の違いをみていきましょう。
性別による差はほとんどない
セールも通年購入も性別による分布の違いは、ほとんどありませんでした。「セールで買う」人の「女性」は50.2%、「男性」は49.8%です。通年購入は、この逆の数字となります。
つまり、購入ターゲットが男性でも女性でも、商品カテゴリによる特性の違いを考慮した販売計画を立てれば問題ないといえるでしょう。
高年齢ほどセールを利用しない
セールを利用して購入しやすい人の割合は、年齢が上がるにつれて減少するようです。30〜40代ではセールの選択割合が50%ほどですが、50代になると35%、60代では18%にまで低下しています。
購入者層が高齢者の場合はセールで無駄に利益を減らすのではなく、別の訴求軸やオファーで販促をすることが大切です。
【まとめ】商品カテゴリによる顧客の違いに合わせた販促計画を立てる
価格が安ければ売上が伸びやすいことは間違いありませんが、EC利用者はセールばかりを狙って購買しているわけではありません。商品カテゴリによって、セール利用意向と通年購入の傾向は異なります。顧客の購買行動の違いを理解して、適切な販促計画を立てることが重要です。
多種多様なECのノウハウをもつFORCE-Rでは、ユーザーの生の声を反映した今回のアンケート形式だけではなく、販売データや顧客データをもとにしたさまざまな分析でEC事業者を強力にサポートいたします。また、販促計画の立案についても、通常販売時はもちろん戦略的なセールの開催まできめ細やかなプランニングが可能です。
EC事業が伸び悩んでいる方から、さらなる販売拡大を目指す方まで、インターネット販売に関する疑問や課題があれば、お気軽にFORCE-Rにご相談ください。