- ディスプレイ広告を運用すべきか悩んでいる
- 運用担当者になったが、そもそもディスプレイ広告が何かわからない
- ディスプレイ広告にかかる費用を知りたい
上記のようにお悩みではないでしょうか。
ディスプレイ広告は認知拡大と成果獲得の両方に活用でき、Web広告でもっとも重要な手法の1つです。しかしカスタマイズ性が高いため運用は難しく、基礎知識なしで成功させることはできません。
本記事ではディスプレイ広告の概要やリスティング広告との違い、費用の試算方法、運用のコツなどを解説します。これからディスプレイ広告を始める・運用を検討している方はぜひ参考にしてください。
Contents
ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告とはWebサイトやアプリに、画像やテキスト、動画といった形式で表示される広告を指します。画像のみ、もしくは画像+テキストの形式が一般的です。
以下ではリスティング広告やバナー広告といった用語との違いを解説します。
ディスプレイ広告とリスティング広告の違い
ディスプレイ広告とリスティング広告の違いを簡単にまとめた表が下記です。
ディスプレイ広告 | リスティング広告 | |
---|---|---|
掲載箇所 | Webサイトやアプリの広告枠 | 検索結果画面の広告枠 |
掲載フォーマット | 画像、動画、テキスト | テキスト |
主なターゲット | 潜在層 | 顕在層 |
ディスプレイ広告とリスティング広告のもっとも大きな違いは主なターゲットです。
リスティング広告は能動的な検索ありきの手法であり、ニーズが顕在化したユーザーへの効果的な配信が可能です。一方、ディスプレイ広告は検索といった行動を取らないユーザーに表示できるため潜在層へ広くアプローチできます。
ディスプレイ広告とリスティング広告はどちらが優れているか比較するものではなく、目的に応じて併用するものと言えるでしょう。
ディスプレイ広告とバナー広告の違い
ディスプレイ広告とバナー広告に明確な違いはなく、たいてい同じ意味の言葉として扱われます。
ただしディスプレイ広告はバナー形式ではない場合もあり、逆もまた然りです。したがって下記のようなベン図で表せる関係と言えるでしょう。
ディスプレイ広告のメリット・デメリット
リスティング広告との比較を軸に、ディスプレイ広告のメリット・デメリットを紹介します。具体的には下記のとおりです。
メリット | ・クリック単価が安い ・認知拡大ができる ・視覚的に訴求しやすい |
デメリット | ・コンバージョン率が低い ・改善の難易度が高い |
メリット1. クリック単価(CPC)が安い
ディスプレイ広告はCPCが安く、リスティング広告の1/5〜1/10程度が目安です。ディスプレイ広告のCPCが安い理由として下記のような要素が挙げられます。
- 掲載枠が多い
- コンバージョン率が低い
ディスプレイ広告のような運用型広告では広告主同士のオークションによってCPCが決定します。掲載枠が多くコンバージョン率が低い広告枠はオークションが激しくなりづらいため、CPCが安いのです。
CPCが安いディスプレイ広告を活用すれば低コストでの集客が可能です。
メリット2. 認知拡大・ブランディングができる
ディスプレイ広告を用いれば認知拡大やブランディングができます。
リスティング広告は「〇〇が欲しい」と考えている顕在ユーザーへのアプローチに効果的な一方、認知広告には向いていません。まだ悩みが浅かったりすぐに購入しようとは考えていなかったりという潜在ユーザーへの配信には、ディスプレイ広告がおすすめです。
メリット3. 視覚的な訴求をしやすい
ディスプレイ広告は視覚的な訴求がしやすい手法です。
テキストでの表現に限定されるリスティング広告と比べて、画像や動画でも表現できるディスプレイ広告では訴求が幅広くなります。画期的なデザインが特徴の商品を大きく見せたり色味や文字でインパクトをつけたりといったやり方です。
単純にユーザーの目に留まりやすくなるだけでなく、メッセージをより深く伝えられる・購買意欲を煽ることができるといったメリットがあります。
デメリット1. コンバージョン率(CVR)が低い
ターゲット層の違いから、CVRはリスティング広告よりも低いです。
手法 | 主なターゲット | ターゲットの特徴 |
---|---|---|
ディスプレイ広告 | 潜在層 | ニーズを自覚しておらず、購入や問い合わせまでの距離が遠い |
リスティング広告 | 顕在層 | ニーズを自覚しており、購入や問い合わせまでの距離が近い |
ただしターゲティングを設定することでディスプレイ広告でもCVRの高い運用が可能です(詳しくは後述します)。
デメリット2. 変数が多く改善が難しい
ディスプレイ広告は下記のように変数が多く、スムーズに改善を進めることが難しい手法です。
- クリエイティブ(画像や動画)
- デザイン
- 文言
- 画像か動画か
- サイズ
- 広告文(テキスト)
- 文言
- クリエイティブとの組み合わせ
- ターゲティング
- 年齢や性別
- 興味関心
- サイト訪問歴
- 配信面
- どのWebサイトに配信するか/しないか
- どのアプリに配信するか/しないか
特に初心者のうちは、上手くPDCAを回せずなかなか成果が出ない可能性があることに注意してください。
ディスプレイ広告で配信できる媒体の種類
ディスプレイ広告で配信できる媒体は次の3つです。
- Googleディスプレイネットワーク
- Yahoo!広告 ディスプレイ広告 運用型
- YouTube広告
Googleディスプレイネットワーク(GDN)
GDNはディスプレイ広告で最も一般的な媒体であり、Googleが所有するサービスや提携する200万以上のWebサイトに広告を配信できるネットワークです。GDNを利用すればインターネットユーザーの90%以上にリーチできると言われています。
具体例として、下記のようなサイトがGDNの配信範囲です。
- YouTube
- Gmail
- 食べログ
- ライブドアブログ
- Googleアドセンスを導入している個人サイト
Yahoo!広告 ディスプレイ広告 運用型(YDA/旧YDN)
YDAはYahoo!が所有するサービスや提携するWebサイトに広告を配信できる媒体です。
YDAを利用すれば下記のようなサイトにディスプレイ広告を表示できます。
- Yahoo!トップページ
- Yahoo!天気
- excite
- クックパッド
- 朝日新聞デジタル
GDNとYDAの主な違いは掲載面とターゲティングです。掲載面は上記のとおりで、ターゲティングの違いは後述します。
YouTube広告
YouTube広告は、国内で6500万人を超えるYouTubeユーザーにアプローチできるディスプレイ広告媒体です。
ただしYouTube広告は動画形式がメインの媒体で、GDNやYDAとはクリエイティブ制作から運用まで大きく異なります。YouTube広告は「動画広告」であり「ディスプレイ広告」とは別物とされることも珍しくありません。
若い世代の認知を取りやすい・動画で表示されるため印象に残りやすいといったメリットはあるものの、運用の難易度は高いと言えるでしょう。
ディスプレイ広告で利用できるターゲティングの種類
ターゲティングとは「誰に」「どこで」広告を表示させるかという設定です。ターゲティングを絞り込むことで購買意欲の高いユーザーを狙い撃ちできるため、ディスプレイ広告の効果的な運用にはターゲティングの理解・設定が欠かせません。
ここではGDNとYDAに分けて、利用できるターゲティングの種類を解説します。
GDNで利用できるターゲティング
GDNで利用できる主なターゲティングは次の7つです。
ターゲティングの種類 | ターゲティングの対象 | ターゲティングの概要 |
ユーザー属性 | 誰に | 年齢/性別/世帯収入といった数字的な情報で絞り込んだユーザー |
アフィニティカテゴリ | 誰に | 特定のジャンルへの興味・関心や購買意欲を持つユーザー |
リマーケティング | 誰に | 特定のサイトへの訪問履歴があるユーザー |
類似ユーザー | 誰に | リマーケティングリストと似た行動履歴を持つユーザー |
プレースメント | どこで | 特定のWebサイト/YouTube/アプリといった掲載場所 |
トピック | どこで | 特定の内容(トピック)が表示されているページ |
キーワード | どこで | 設定したキーワードと関連する内容が表示されているページ |
GDNはリーチが広いため、ブロード(ターゲティングなし)で配信するとすぐに予算を使い切ってしまいます。ある程度ターゲティングを絞り込んでから配信しましょう。
YDAで利用できるターゲティング
YDAで利用できる主なターゲティングは次の7つです。
ターゲティングの種類 | ターゲティングの対象 | ターゲティングの概要 |
年齢・性別 | 誰に | 年齢や性別で絞り込んだユーザー |
オーディエンスカテゴリー | 誰に | 特定のジャンルへの興味・関心や購買意欲を持つユーザー |
サーチキーワード | 誰に | 特定のキーワードで検索したユーザー |
リターゲティング | 誰に | 特定のサイトへの訪問履歴があるユーザー |
類似リスト | 誰に | リターケティングリストと似た行動履歴を持つユーザー |
プレイスメント | どこで | 特定のWebサイトといった掲載場所 |
サイトカテゴリー | どこで | 特定のカテゴリーに属しているWebサイト |
GDNとYDAのターゲティング面での大きな違いはキーワードでのターゲティングです。GDNは特定のキーワードと関連する「掲載場所」を、YDAは特定のキーワードで検索した「ユーザー」を絞り込みます。
ディスプレイ広告の費用の仕組み・試算方法
ディスプレイ広告の費用の仕組みは主に下記の3パターンがあります。
仕組み | 概要 |
クリック課金 | ユーザーの広告クリック数に応じて費用が発生 |
CPM課金 | 広告の表示回数に応じて費用が発生 |
CV課金(CPI課金) | 購入やインストールといった成果数に応じて費用が発生 |
もっとも一般的なのはクリック課金です。下記ではクリック課金でディスプレイ広告を運用すると想定して、費用の試算方法を2通り解説します。
目標獲得件数から試算する場合
購入や問い合わせといった成果を目的に運用していて、目標獲得件数からディスプレイ広告の費用を試算する場合は、下記いずれかの式を用います。
1. 目標CV数 × 目標CPA
2. 目標CV数 × 目標CPC ÷ 目標CVR
※CV…購入や問い合わせといった成果のこと/CPA…1CVを獲得するためにかかった費用のこと
1の式が適しているのは、利益率や損益分岐点などから目標とするCPAが定まっている場合です。2の式は、許容できるCPAの範囲が広く、かつ過去の類似した実績からCPCやCVRの適正値が推定できる場合に適しています。
たとえば月間の目標CV数が100件、目標CPAが5,000円の場合、広告予算の目安は下記のとおりです。
100件 × 5,000円 = 50万円/月
目標集客ユーザー数から試算する場合
Webサイトへの集客を目的に運用していて、目標ユーザー数からディスプレイ広告の費用を試算する場合には、下記の式を用います。
3. 目標CPC × 目標ユーザー数(クリック数)
どの程度のCPCを目標とすればいいかがわからなければ、Googleキーワードプランナーといったツールを利用してください。キーワードごとのCPCの目安を調べられます。
たとえば目標CPCが30円、月間の目標ユーザー数(クリック数)が15,000人の場合、広告予算の目安は下記のとおりです。
30円 × 15,000人 = 45万円/月
ディスプレイ広告を成功させる3つのポイント
ディスプレイ広告を成功させるには次の3つのポイントを意識しましょう。
- 運用の目的を定める
- リターゲティングから始める
- クリエイティブにこだわる
ディスプレイ広告を運用する目的を定める
まずはディスプレイ広告を運用する目的を決めてください。
目的によって採るべき戦略やターゲティング設定、必要な予算、作るべきクリエイティブなど運用のすべてが異なるためです。
「1ヶ月で〇〇を△△件獲得する」といったように数値化して目標を定めましょう。下記のようなフローチャート形式で考えていくのがおすすめです。
複数の商品やサービスを運用する際はそれぞれの目的・目標を設定してください。
リターゲティング(リマーケティング)から始める
特にCV獲得を目的としてディスプレイ広告を運用する場合、リターゲティングから始めましょう。
さまざまなターゲティング方法がある中で、一般にリターゲティングの費用対効果がもっともよいためです。下記のような手順でディスプレイ広告を進めていくと成功しやすいと言えます。
- SEOやSNSなどのオーガニック流入でリストを溜める
- 1で溜めたリストに対して、リターゲティング広告を配信する
- 類似ユーザーやその他のターゲティングを利用して、配信を広げる
逆に、認知拡大を目的とした配信では訪問履歴のあるユーザーを配信除外することが重要です。
クリエイティブにこだわる
ディスプレイ広告を改善していくためにはクリエイティブ(画像や動画)にこだわりましょう。
ディスプレイ広告運用に存在するさまざまな変数の中でも、クリエイティブは数値への大きなインパクトを持っています。
デザインや色味、文言、テイストなどを変更してテストを繰り返してください。また広告文やターゲティングを固定し、大量に作成したクリエイティブを同時に入稿してテストする方法も多くのケースで効果的です。
まとめ|ディスプレイ広告は目的によって活用方法を変えよう
本記事ではディスプレイ広告の概要やメリット・デメリットなどを解説しました。
ディスプレイ広告は初心者の運用が難しい一方で、使いこなせば認知拡大と成果獲得を両方できるといった大きなメリットもあります。リスティング広告との使い分けも意識しつつ、ディスプレイ広告を上手に活用して売上アップを図りましょう。
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