サイト内検索は、目的が明確な顧客が使う機能です。何を買うかがほぼ決まっている状態で使われるため、検索を使った人の購入率は、使わなかった人より高くなる傾向があります。
つまり、検索結果で目的の商品にたどり着けない状態は、購入意欲の高い顧客を取りこぼしていることになります。改善の効果が売上につながりやすい領域といえます。
本記事では、サイト内検索の改善がCVRにつながる条件を整理したうえで、どこから手をつけるべきかの優先順位、検索キーワードの活かし方、そして効果の測り方までを解説します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 検索利用者は買いやすい? | 目的が明確なため転換しやすい | 何を探しているかが決まっている状態で使われる機能です。 |
| 改善でCVRは上がる? | 条件が揃えば効果は大きい | 商品点数が多く、検索が使われているサイトほど効果が出ます。 |
| まず何を見る? | 検索利用率とゼロ件率 | 使われているか、結果が出ているかを最初に確認します。 |
| どこから直す? | 検索窓の見つけやすさから | システム改修より前に、UIの改善で効果が出る場合があります。 |
| キーワードの活用は? | 商品名や品揃えに反映する | 顧客が使う言葉が分かるため、表現を合わせられます。 |
Contents
この記事でわかること
- サイト内検索がCVRに影響する理由と、その条件
- 改善前に確認すべき4つの数値
- 着手する順番と、それぞれの具体的な改善内容
- 検索キーワードを商品名や品揃えに活かす方法
- モール出店時の考え方と、効果の測り方
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ECサイトの検索機能とは?
サイト内検索とは、サイトの中から目的の商品や情報を探すための機能です。ヘッダーに置かれた検索窓から、キーワードを入力して結果を表示します。
単なる補助機能と捉えられがちですが、実際には売場の入口のひとつです。実店舗でいえば、店員に「これはどこにありますか」と尋ねる行為に近く、対応の質がそのまま購買に影響します。
カテゴリをたどって探す方法と比べ、目的が決まっている顧客にとっては最短の経路になります。商品点数が多いサイトほど、この機能への依存度は高まります。
近年はスマートフォンからの利用が中心になり、画面上でカテゴリをたどる負担が大きくなりました。そのぶん、検索に頼る比率も高まっています。
検索を使う人は購入に近い
検索窓に言葉を入力するという行動は、探しているものが具体的に決まっている状態を示します。何となく眺めている段階の人は、そもそも検索しません。
そのため、検索を使った顧客は、使わなかった顧客より購入率が高くなる傾向があります。逆に言えば、検索結果でつまずいた顧客を失うことは、最も惜しい取りこぼしです。
広告費をかけて集めた流入であればなおさらです。せっかく訪れてもらっても、商品にたどり着けなければ費用だけが残ります。
集客に投資する前に、受け皿となるサイト内の導線が機能しているかを確認する。この順序を守るだけでも、無駄な費用は減らせます。
検索が機能しないと何が起きるか
目的の商品が見つからなければ、顧客は別のサイトで探し直します。在庫があるのに見つけられなかった、という状況は、売上を失うだけでなくサイトへの信頼も損ねます。
しかも、この取りこぼしは数値に表れにくいという問題があります。買われなかったという事実は残っても、なぜ買われなかったのかは記録されないためです。
国内のEC市場は拡大を続けており、選択肢が増えるほど比較検討も容易になっています(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」)。探しにくいサイトは、そのまま離脱されると考えておくべきです。
検索機能を改善するとCVRは上がる?
結論としては、条件が揃っていれば効果は大きく、そうでなければ限定的です。まず自社が該当するかを判断しましょう。
| 項目 | 効果が出やすい | 効果が出にくい |
|---|---|---|
| 商品点数 | 数百点以上ある | 数十点で一覧できる |
| 検索利用率 | 一定割合が使っている | ほとんど使われていない |
| ゼロ件率 | 高い(改善余地が大きい) | ほぼ発生していない |
| 商材の性質 | 型番や品名で探される | 眺めて選ぶ商材 |
| 流入経路 | 直接訪問や再訪問が多い | 広告から個別ページに着地 |
まず確認すべき4つの数値
改善に着手する前に、現状を数値で把握します。感覚で判断すると、効果の出ない箇所に手をかけることになります。
これらの数値は、アクセス解析の設定で取得できる場合があります。取得できていない状態であれば、まず計測の設定から始めましょう。
- 検索利用率:訪問者のうち、検索を使った人の割合
- ゼロ件率:検索結果が0件だった割合
- 検索後のCVR:検索した人の購入率
- 検索結果からの離脱率:結果を見て離れた割合
特に見るべきはゼロ件率です。ここが高ければ、探している商品が見つからないまま帰っている顧客が相当数いることになります。
ゼロ件になったキーワードの一覧を見れば、原因の傾向も分かります。取り扱いのない商品なのか、表記が違うだけなのかで、打つべき手はまったく変わります。
検索が使われていない場合
利用率が極端に低い場合、機能の精度以前に、検索窓が見つけられていない可能性があります。この場合はシステムの改修ではなく、配置とデザインの見直しから着手します。
ヒートマップを併用すると、検索窓が視認されているかを確認できます。クリックされていない、そもそも視線が向いていないといった状態が分かります。
あるいは、商品点数が少なくカテゴリで十分たどり着ける構造なら、そもそも検索の重要度は高くありません。優先すべき施策は別にあります。
自社がどちらに当てはまるかは、数値を見れば判断できます。感覚で決めず、まず現状を確認するところから始めましょう。
検索されているのに買われていない場合
検索は使われているが、その後の購入につながっていないなら、結果の出し方か、商品ページ側に問題があると考えられます。結果は出ているが求めているものと違う、あるいは結果画面から選べないという状態です。
この切り分けは、実際に自分で検索してみると分かります。よく検索される言葉をいくつか入力し、顧客と同じ画面を見てみてください。
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どこから改善すればいい?
着手しやすく効果の出やすい順に整理します。
1. 検索窓を見つけやすくする
最も低コストで効果が出やすいのがここです。検索窓が小さい、アイコンだけになっている、下のほうにあるといった状態では、使いたい人にも気づかれません。
入力欄を常時表示する、上部の目立つ位置に置く、虫眼鏡のアイコンを添えるといった調整で、利用率は変わります。特にスマートフォンでは、画面上部での見え方を必ず確認してください。
入力欄の中に「ブランド名で検索」といった例を薄く表示しておくと、何を入れればよいかが伝わり、入力のハードルが下がります。
この段階の改善は、システムの改修を伴わないことがほとんどです。デザインの調整だけで済むため、着手のハードルも低くなります。
効果が確認できてから、精度の改善に投資するという順序が合理的です。使われていない機能を高度化しても、成果にはつながりません。
2. 表記ゆれに対応する
顧客が使う言葉と、商品データに登録されている言葉は一致しません。ひらがなとカタカナ、漢字、英語表記、略称、旧名称など、同じものを指す複数の書き方があります。
専門的な商材ほど、この差は大きくなります。業界では一般的な用語でも、一般の顧客はまったく別の言葉で探していることがあります。
社内の担当者は商品知識があるため、この差に気づきにくくなります。実際の検索語の一覧を見ることが、思い込みを外す手段になります。
同義語の辞書を用意し、どの書き方でも同じ結果が出る状態にします。ゼロ件率が高いサイトでは、この対応だけで大きく改善することがあります。
すべてを一度に整備する必要はありません。ゼロ件になった検索語の上位から順に対応すれば、少ない工数で影響の大きい部分を潰せます。
新商品を追加する際も、想定される呼び方をあわせて登録する運用にしておくと、後から辞書を整備する手間が減ります。
3. 入力途中の候補表示
入力中に候補を出す機能があると、入力の手間が減り、表記ゆれも防げます。よく検索される言葉を候補に出せば、顧客を適切な結果へ誘導できます。
候補に出す言葉は、実際に検索されている語から選びます。社内で想定した言葉を並べても、使われなければ意味がありません。
候補の件数も絞ります。多く出しすぎると、かえって選びにくくなります。
スマートフォンでは特に効果があります。文字入力の負担が大きいため、途中で候補が出るだけで検索が完了する場面が増えます。
4. ゼロ件だったときの対応
結果が出ないまま終わる画面は、離脱につながる可能性があります。似た商品、人気商品、カテゴリへの導線を表示し、次の行動につなげましょう。
文言も工夫します。「該当する商品がありません」だけでは、そこで終わってしまいます。別の探し方を提案する一文があるだけで、行動は変わります。
入力内容を再確認できるよう、検索した言葉を画面に残しておくことも有効です。誤字に気づいてもらえれば、そのまま入力し直してもらえます。
また、ゼロ件になったキーワードは記録しておきます。取り扱っていない商品が繰り返し検索されているなら、品揃えを検討する材料になります。
入力の誤りが原因のこともあります。よくある誤字を辞書に登録しておけば、その分の取りこぼしも防げます。
5. 絞り込みと並び替え
結果が数百件出ても、そこから選べなければ意味がありません。価格帯、サイズ、色、在庫の有無などで絞り込める機能があると、目的にたどり着きやすくなります。
絞り込みの項目は、商材によって変えます。すべての属性を並べるより、実際に選ばれている条件に絞るほうが使われます。
スマートフォンでは、絞り込みの操作自体が負担になります。開閉できる形にする、よく使われる条件を上に置くといった配慮が必要です。
並び替えの初期状態も重要です。何を基準に並んでいるのかが分からないと、上位に出た商品が適切なのか判断できません。
在庫切れ商品を上位に出さない設定も確認しましょう。買えない商品が並んでいると、探し直す手間が発生します。
人気順や新着順など、選べる基準を用意しておくと、探し方の違いにも対応できます。
6. 結果画面の情報量
商品名と価格しか表示されていないと、比較ができません。画像、評価、在庫状況といった判断材料を並べることで、結果画面から直接選んでもらえるようになります。
画像の大きさや並び方も見直す価値があります。一覧で比較する場面では、画像から得られる情報量が判断を左右します。
1画面に表示する件数も検討します。多すぎると比較しづらく、少なすぎるとスクロールの手間が増えます。
サイト全体の導線設計とあわせて考えると効果が高まります。構造の考え方はECサイト制作のポイントでも整理しています。
検索キーワードはどう活かす?
サイト内検索のキーワードは、顧客が実際に使っている言葉がそのまま記録されたデータです。改善のヒントが詰まっています。
商品名や説明文に反映する
顧客が「軽量」で探しているのに、商品名が「ライトウェイト」となっていれば、検索では見つかりません。実際に使われている言葉を商品データに含めることで、たどり着きやすくなります。
商品名に入れきれない言葉は、説明文やタグに含めます。検索の対象範囲がどこまでかを確認したうえで、適切な場所に配置しましょう。
商品名を長くしすぎると、一覧での見え方が悪くなります。検索対策と可読性のどちらも成立する範囲で調整してください。
この作業は、検索エンジンからの流入にも効きます。顧客の語彙に合わせることは、サイト内外の両方で意味を持ちます。
サイト内検索のデータは、外部の検索キーワードと違って自社の顧客に限定された情報です。そのぶん、実際の購買層の言葉として精度が高くなります。
品揃えの判断に使う
繰り返し検索されているのに扱っていない商品があれば、需要が確認できている状態です。仕入れや商品開発を検討する根拠になります。
社内で新商品を議論する際にも使えるデータです。想像ではなく、実際に探された記録として提示できる点に価値があります。
取り扱いを検討する際は、検索件数だけでなく、その後の行動もあわせて見ます。件数が多くても、他の商品で代替されているなら優先度は下がります。
ページ構成や特集の企画に使う
特定の用途や条件での検索が多いなら、その切り口でまとめたページを用意する価値があります。検索しなくてもたどり着ける導線をつくることで、取りこぼしを減らせます。
季節性のあるキーワードは、時期に合わせてトップページから導線を張ると効果的です。検索してもらう前に見せてしまうという発想です。
広告や集客施策に展開する
サイト内で検索されている言葉は、外部の検索エンジンでも使われている可能性が高くなります。広告のキーワードや、コンテンツの企画にそのまま応用できます。集客全体の考え方は楽天市場の集客を成功させるポイントは?集客の課題や売上を上げる方法を徹底解説でも解説しています。
モールに出店している場合は?
モールでは、検索機能そのものを自社で改修できません。考え方が変わります。
検索されたときに表示されるかが勝負
モール内検索では、商品名や属性の設定が表示順に影響します。顧客が使う言葉が商品名に含まれていなければ、そもそも候補に入りません。
ただし、関連性の低い言葉を詰め込むのは逆効果です。モール側の規約に触れる場合もあり、検索結果での評価を下げることにもつながります。
自社ECサイトのように機能を直せない以上、商品データの精度がすべてになります。表記ゆれを想定した商品名の設計が重要です。
モールによっては、検索結果での表示順に影響する要素が公開されています。何が評価されるのかを確認したうえで、商品データを整えましょう。
自社ECとの役割分担
モールは検索経由の流入が中心、自社ECは回遊と関係構築が中心というように、役割は異なります。それぞれで打てる手が違うことを踏まえ、施策を分けて考えましょう。
自社ECサイトでは、モールでは得られない検索キーワードのデータが手に入ります。この情報をモール側の商品名に反映させるという使い方もできます。
自社ECサイトの運用については、FORCE-Rの自社EC運用支援もあわせてご覧ください。
効果はどう測る?
改善の前後で比較できるよう、指標を決めておきます。
- 検索利用率の変化(UI改善の効果)
- ゼロ件率の変化(辞書やサジェストの効果)
- 検索後のCVR(結果の精度の効果)
- 検索結果画面からの離脱率
- 検索を使った人と使わなかった人の客単価の差
注意したいのは、検索利用率が上がること自体は成果ではないという点です。検索されるということは、カテゴリ導線で見つけられなかったとも解釈できます。最終的な購入率とあわせて判断してください。
理想は、検索する人にも、カテゴリからたどる人にも、それぞれの経路で目的にたどり着ける状態です。どちらか一方だけを最適化しても、全体の成果にはつながりません。
改善は一度で終わりません。キーワードの傾向は季節や商品構成によって変わるため、定期的に確認して辞書や候補を更新する運用が必要です。
月に一度、上位の検索語とゼロ件の一覧を確認する時間を設けるだけでも、状態は維持できます。仕組みとして運用に組み込みましょう。
まとめ
サイト内検索は、目的が明確な顧客が使う機能です。そのぶん購入に近い層が使っており、結果でつまずかせることは大きな取りこぼしになります。
改善の効果が出やすいのは、商品点数が多く、検索が一定量使われ、ゼロ件率が高いサイトです。着手する順番は、検索窓の視認性、表記ゆれへの対応、入力候補、ゼロ件時の導線、絞り込み、結果画面の情報量という流れが基本になります。
あわせて、検索されたキーワードは顧客の語彙がそのまま記録されたデータです。商品名や品揃え、広告の設計にまで活かすことで、検索機能の改善を超えた成果につながります。
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