ECサイト(EC事業)の売上拡大にはWeb広告が欠かせません。
しかしEC広告には時間・労力・費用が必要であり、リスクがあることも事実です。下記のようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
・どの広告が効果的なの?
・どうやって予算を決めればいいの?
・効率よく運用するには?
本記事では「ECサイトに有効な広告の種類」や「EC広告の効果を高めるポイント」について解説します。
結論から言えばECサイトで優先的に運用すべきはリスティング広告とショッピング広告です。さらに後ほどご紹介するポイントを踏まえて運用することで、効率よく売上を拡大できます。
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Contents
EC広告の種類
一般的にECサイト(EC事業)ではリスティング広告・ショッピング広告・ディスプレイ広告・SNS広告・動画広告・アフィリエイト広告・ECモール内広告の7種類が利用されています。
EC広告を適切に運用するにはそれぞれの特徴やメリット・デメリットを把握することが重要です。
リスティング広告
リスティング広告はGoogleやYahoo!で検索した際にページの上部・下部に表示される広告です。
特定の検索キーワードに絞って広告を表示できるため比較的容易に購買意欲が高いユーザーをターゲティングでき、費用対効果が高い傾向にあります。特に指名検索キーワードや「扇風機 通販」といった購入に近いキーワードで高い成約率を見込めます。
ただしユーザーの自発的な検索が前提であり認知獲得や新ジャンルの創出には向いていません。あくまですでにニーズが存在する商品を販売するための広告という認識が正しいでしょう。
リスティング広告のメリット | ・ニーズがはっきりしているユーザーをターゲティングでき、最も費用対効果が高い |
リスティング広告のデメリット | ・認知獲得には向かない |
ショッピング広告
ショッピング広告はGoogleの検索結果画面に商品画像・ブランド・商品名などを一覧で表示する形式の広告です。
モールも含めたECサイト向けに用意されている広告枠であり高い費用対効果が期待できます。またGoogleでは無料掲載枠もあるため、予算が少なくても出稿したい広告です。
デメリットは設定・管理が複雑で面倒な点です。商品データをGoogleMerchantCenterにアップロードする必要があり、在庫やキャンペーンの情報が最新でないと審査に落ちて配信できなくなってしまいます。商品数が多い場合の作業量は少なくありません。
ショッピング広告のメリット | ・商品情報を一覧で表示でき費用対効果が高い ・Googleでは無料掲載枠がある |
ショッピング広告のデメリット | ・設定や管理が大変 ・認知獲得には向かない |
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告はWebサイトなどを閲覧している際にバナーやテキストの形式で表示される広告です。
表示可能な広告枠が多く、リスティング広告やショッピング広告のようにユーザーの自発的な検索を必要としないので認知広告にも利用できます。またGoogleなど広告媒体のAIによる最適化の恩恵を受けやすい点も特徴です。
成約にはネットサーフィンをしているユーザーの態度変容が必要なため、商品購入を目的としたEC広告の費用対効果は合いづらい面があります。
ただし商品購入目的のEC広告で効果が合いやすい手法もあり、一例としてCriteoに代表されるダイナミックリターゲティングが挙げられます。ユーザーの行動履歴を利用するリターゲティング広告の一種で、EC広告に携わるうえで覚えておきたい配信方法の1つです。
ディスプレイ広告のメリット | ・アプローチできるユーザーが多い |
ディスプレイ広告のデメリット | ・購入目的のEC広告は効果が合いづらい(※効果が合いやすい配信手法も存在) |
SNS広告
SNS広告はTwitterやInstagramなどを利用している際に、SNSごとのコンテンツ形式に合わせて表示される広告です。
2022年時点でTwitter4500万人・Instagram3300万人と言われるユーザーにアプローチでき、多くの広告枠があります。またアプリによってユーザー層にばらつきがあるため、10〜20代をターゲットにするならInstagram、30代以上をターゲットにするならFacebookといったように使い分けも可能です。
ただしディスプレイ広告と同様にユーザーは受動的な立場なので、特にEC広告の場合必ずしも効果が合いやすいとは言えません。媒体や商品との親和性などを厳密に精査する必要があります。
SNS広告のメリット | ・アプローチできるユーザーが多い ・若い世代をターゲティングしやすい |
SNS広告のデメリット | ・購入目的のEC広告は効果が合いづらい |
動画広告
動画広告はYouTubeに代表される動画形式で配信・表示する広告です。
画像やテキストが主である他の広告形式よりも情報量が多いため、商品の特徴やメリットについて伝えやすいと言えます。また動画配信サービスは若年層のユーザーが多く10〜20代にアプローチしたい場合には特に有効です。
しかしECサイトの動画広告はデメリットも小さくありません。YouTubeでは動画の前後や途中に強制的に表示されるため、効果的な広告配信が難しいだけでなくユーザーのヘイトを集めてしまうこともあります。動画素材の準備や編集にかかるコストも大きいため優先度は低いでしょう。
動画広告のメリット | ・商品について伝えやすい ・若い世代をターゲティングしやすい |
動画広告のデメリット | ・購入目的のEC広告は効果が合いづらい ・動画製作コストが大きい |
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告はアフィリエイターと呼ばれる販売代理人に商品を宣伝してもらう広告モデルです。
ほとんどが「1成約につき◯円支払う」といった成果報酬制で報酬金額の調整も可能なので広告費用の面では低リスクです。
しかし不正行為で成約件数を稼ぐ・関連法規を無視した訴求を行うといったアフィリエイターの違反行為に対処するためにある程度の時間を割かなくてはいけません。また競合他社との成果報酬の吊り上げ合戦になるケースもあり、リソース面も含めた費用対効果が良いかどうかは考慮が必要です。
アフィリエイト広告のメリット | ・成果報酬制なので低リスク |
動画広告のデメリット | ・アフィリエイターの管理が大変 ・競合との価格競争になりやすい |
ECモール内広告
ECモール内広告はAmazonや楽天などのECプラットフォームで運用する広告を指します。
モール内の検索結果に表示されるため購買意欲の高いユーザーにアプローチでき購入までの導線設計もシンプルです。EC広告の中でも費用対効果が合いやすい傾向にあります。
デメリットとしては広告代理店であってもノウハウを持っている企業が少ない点が挙げられます。またあくまでモール内施策の一環なので、自社ECサイトをスケールさせたい場合は効果的とは言えません。
ECモール内広告のメリット | ・費用対効果が合いやすい |
ECモール内のデメリット | ・代理店にもノウハウが少ない ・モール内施策の域を出ない |
EC広告費の割合と予算の算出方法
ECに限らず広告予算の設定はタイトに行う必要があります。では、具体的にどのように設定すれば良いのでしょうか。
ECサイト(EC事業)における広告費の割合と算出方法について解説します。
EC広告費の割合は売上の20%前後
EC広告費の割合は他業種と比べて高い傾向にあり売上の20%前後と言われています。あくまで目安であり実際の適正予算は運用の目的や市場環境によって異なりますが、大まかな基準としては利用できるでしょう。
自社商品の認知度が低い・イベント時期で他社も広告出稿に力を入れているといった要因で広告費の割合が上がる可能性をあらかじめ考慮して、柔軟に設定することが重要です。
EC広告予算の算出方法
EC広告の予算は広告配信の目的によって算出方法が異なります。
商品購入をEC広告の目的とする場合
CPA(円/個) × 目標販売個数(個) = EC広告予算(円)
商品購入を目的とする場合は上記のように広告予算を算出できます。CPAは「Cost Per Action」の略で1購入あたりにかかった広告費を意味します。
初めての広告出稿であれば実績値として参照できるCPAがないため、原価やLTVなどから許容CPAを設定しましょう。例えば販売価格10,000円・原価2,000円・リピートなしの商品を1個あたりの目標粗利益5,000円で10個売りたい場合、
( 10,000(円/個) – 2,000(円/個) – 5,000(円/個) ) × 10(個) = 30,000(円)
となり、EC広告予算は30,000円です。
サイト流入をEC広告の目的とする場合
クリック単価(円/人) × 目標流入人数(人) = EC広告予算(円)
サイト流入を目的とする場合は上記のように計算できます。クリック単価は1クリックあたりの広告費です。
クリック単価は媒体や商品によって異なるため、少額でテスト配信を行った結果をもとに適正数値を予測しましょう。例えばクリック単価20円で1,000人を集客したい場合、
20(円/人) × 1,000(人) = 20,000(円)
と計算でき、EC広告予算は20,000円となります。
EC広告の効果を高めるポイント
ECはWeb広告と相性が良い事業ですが、ただ配信するだけでは期待した効果は得られません。
費用対効果良く売上を伸ばすためには下記のポイントを意識しましょう。
運用の目標を明確に設定する
まずはEC広告を運用する目的を明確に設定しましょう。目的が定まっていないと全体の戦略や個々の施策がブレてしまうため、効果的な広告運用が実現しません。
「商品AをCPA◯円で◯個売る」「キャンペーンサイトにクリック単価◯円で◯人集客する」といったように、初めの目標設定が必要です。
PDCAを回して改善を続ける
実際に運用するフェーズになったらPDCAサイクルを回して改善を続けましょう。
広告は「出せば終わり」ではなく、継続的な検証によって費用対効果を少しずつ改善していくことが不可欠です。リサーチ、データ分析や仮説検証を繰り返しながら運用を進めてください。
継続的な改善を行えるリソースが社内にない場合、自社運用は賢明とは言えません。広告を出稿しない/代理店に依頼するなどの選択になります。
改善を行う指標を定量で把握するためには、ROIやROASを分析することが有効的です。「ROIとROASの特徴や違いを解説!それぞれの指標を用いるメリットや改善方法も紹介」にて詳しく解説しているため、参考にしてください。
効果が期待できる媒体から開始する
リスティング広告やショッピング広告などの費用対効果が合いやすい媒体から運用開始しましょう。期待値の高い媒体から出稿し利益を積み重ねながら広告を拡大していく流れが最も効率的かつ低リスクです。
また広告のフォーマットやノウハウも媒体によって異なるため、自社運用で複数媒体を同時に進める際はタスクとリソースのバランスを見極める必要もあります。
リマーケティングを活用する
リマーケティング(リターゲティング)を活用すると広告の費用対効果を一気に高められます。
リマーケティングとは自社サイトに訪問したことがあるユーザーだけを狙って広告を配信するターゲティング手法です。主にディスプレイ広告で利用されますが、既にブランドや商品に興味を持っているユーザーにアプローチできるためリスティング広告やショッピング広告と比べても費用対効果が高い傾向にあります。
ユーザーの一度目の訪問は必ずしも広告経由である必要はありません。SEOやSNSなどのオーガニック流入があれば配信可能なので、ある程度のユーザー流入があるECサイトではすぐに開始したい施策です。
自社運用が難しければEC広告に強い代理店に依頼しよう
「自社で広告運用体制を整えることが難しい」「すぐに広告運用の効果を売上に反映させたい」といった場合には、広告代理店への依頼が効率的です。
自社運用と代理店のメリット・デメリットをまとめると次のようになります。
メリット | デメリット | |
自社運用 | ・社内にノウハウが蓄積される ・何かあった際にすぐ対応できる | ・効果的な運用を行えるようになるまでに時間がかかる |
代理店に依頼 | ・最初から効率的な運用が行える | ・社内にノウハウが残らない ・コミュニケーションコストがかかる |
自社運用を行えば社内にノウハウが蓄積されます。しかし社内担当者が効率的な運用を行えるようになるには時間がかかる上、一定期間は赤字広告を許容しなくてはいけません。
広告代理店に依頼する場合でも必ず初動から黒字広告となるわけではありませんが、改善のスピード感は異なります。また様々な媒体のノウハウを有しているため拡大もスムーズです。
長期的に社内の広告担当者を育てたい場合を除いて、広告を利用してECサイトの売上・利益を伸ばしたければ代理店への依頼を検討しましょう。
広告を活用してECサイトの売上を伸ばそう
本記事ではEC広告の種類や効率よく運用するためのポイントについて解説しました。
改めて要点をまとめると下記のようになります。
- ECサイトではリスティング広告とショッピング広告へ優先的に出稿する
- リマーケティングを活用すると効果的な運用が行える
- 自社にノウハウがなければ広告代理店に運用を依頼する
ECサイトの売上を伸ばす上で広告出稿は欠かせません。種類、特徴や優先順位を把握した上で効率的な運用・改善を続けましょう。
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