ECサイト運営において、ユーザーとの円滑なコミュニケーションは、顧客満足度に影響する重要な要素です。
そのため、ユーザーのニーズに適した問い合わせ手段を整備する必要があります。
FORCE-Rでは、EC利用者に対して問い合わせ手段に関するアンケートを実施し、メール、チャット、電話をどのように使い分けているのかを調査しました。
アンケート結果をもとに、問い合わせの手段を選択する際のニーズや条件をまとめましたので、質の高いECサイトを運営するための参考にしてください。
自社ECサイトの運営で必須な7つのチェックリスト
無料で資料を受け取る
Contents
実際のEC利用者に問い合わせ方法についてのアンケートを実施
今回のアンケートでは、ECサイト(モール含む)へ問い合わせたことがある方を対象に、問い合わせた際の手段と、その手段を選んだ理由を調査しました。
アンケートの回答からわかった全体の傾向は、以下の3点です。
最も選ばれた問い合わせ手段はメール
ユーザーに最も選ばれた問い合わせ手段は「メール」です。
メールを選択した理由としては「都合のいい時間やタイミングで問い合わせができる」「情報を整理してから伝えられる」「問い合わせのやり取りを記録に残せる」などがあげられます。
また、メールに対して「あとで見返して確認できる」という安心感や、適度なフォーマルさを感じている方もいるようです。なかには「急いでいないから」という理由でメールを選択するケースもありました。多くのユーザーは、緊急性がなく、チャットや電話を選択する理由が見つからなければ、自然とメールを選択していることがわかります。
「苦手な手段を避けたい」というニーズがある
アンケートの回答には「電話が苦手だからメールがいい」「リアルタイムのレスポンスが苦手だからメールにする」という意見もありました。
ユーザーは、自身の得意なコミュニケーションスタイルに合った手段を選びたいと考えており、苦手な手段を避ける傾向があります。
ユーザーの苦手な手段を回避するためにも、問い合わせ手段を複数用意しておくとよいでしょう。
緊急度や状況によって連絡手段を選択している
多くのユーザーは、問い合わせ手段を一つに絞っておらず、「普段はメールだけど、急ぎのときは電話にする」「手軽に質問したいからチャットがいい」のように、問い合わせの緊急度や状況に応じて連絡手段を使い分けています。
そのため、ECサイト側から問い合わせ手段を指定するのではなく、ユーザー自身が状況や好みに応じて最適な手段を選べるよう、整備することが重要です。
EC利用者がメールを選択した理由
問い合わせ手段としてメールを選択する理由としては、
- コミュニケーション手段の好み
- 時間的な柔軟性
- 情報整理のしやすさ
- 記録が残る安心感
などがあげられます。
ただし、返信までのタイムラグが発生するため、緊急の問い合わせには向きません。
電話が苦手だから
・電話が苦手で、文章のほうがゆっくりと内容を考え、伝わりやすいように作成できるので、メールで問い合わせました。
・電話があまり好きではないのと、急ぎの用事ではなかったので、時間が多少かかってもいいからメールにしました。
電話を苦手とする人は一定数います。アドリブでの説明が苦手だったり、聞き取るのが苦手だったり、聞き返すのが苦手だったりと、苦手なポイントは人によってさまざまです。
メールであれば、瞬時にレスポンスをする必要がなく、自分のペースで内容を確認できます。
そのため、電話が苦手な人にとって、メールは最も手軽な問い合わせ手段だといえるでしょう。
リアルタイムでのレスポンスが苦手だから
リアルタイムのものが苦手で、自分にとってメールが一番手軽で使いやすいからです。考えながら書くので自分の言葉を確認できるほか、時間を気にせずに相手からの回答を待つことができます。返信もちゃんと形跡が残るので安心です。
リアルタイムで進行する電話やチャットでは、相手からの質問にすぐに答えなければならず、プレッシャーを感じる人も少なくありません。特に、自分の考えをまとめるのに時間がかかる人や、言葉に詰まりやすい人は、テンポの早いコミュニケーションが苦手です。
自分のペースでやり取りできる問い合わせ手段を提供できれば、利便性や安心感を抱いてもらえるでしょう。
伝えたい内容をまとめられるから
チャットだと何回もやり取りが必要ですが、メールであれば伝えたいことをきちんと自分のなかでまとめてから送れるので、相手にとってもわかりやすいと思います。また、きちんとした文章で形に残るので、何かあった際にも確認しやすい点が魅力です。
メールを選択する理由として、伝えたい内容をまとめやすく、一度のやり取りで済むからという回答がありました。
チャットで何度もやり取りをすることに、煩わしさを感じているユーザーもいるようです。
メールには、自分の要件をまとめて伝えることで、問い合わせにかかる時間を短縮できるメリットがあります。
問い合わせ方法にメールが指定されていたから
メールでお問い合わせくださいというメッセージが目立っていました。急を要する問い合わせではなかったので、メールで問い合わせました。緊急のときは電話をするかもしれませんが、それ以外の場合は全部メールでいいと思います。
ECサイト側が指定した問い合わせ方法を、そのまま選択しているユーザーも一定数存在します。
アンケートでは、オーソドックスな問い合わせ手段はメール、電話やチャットのようなレスポンスの早い手段は「急いでいるときに使用する手段」と認識しているユーザーもいました。
苦手な問い合わせ手段がないユーザーは、メール以外の手段を選択する状況でなければ、ECサイトの指定に従ってメールを選択することがわかります。
時間を気にせず問い合わせできるから
メールだと書面に近い形で残すことができ、あまり時間を気にせずに送信できるので、メールを利用しました。
電話やチャットで問い合わせる場合、ユーザーからの問い合わせにリアルアイムで応答する人物が必要です。問い合わせたいタイミングは夜中や早朝なども含まれるため、必ずしもリアルタイムで応答できるとは限りません。
メールであれば質問する側が時間を合わせる必要がなく、自分のタイミングで問い合わせることができます。
電話ができない状態だったから
電話ができない状態だったので、ECサイトに記載されていたメールアドレスに連絡しました。
メールは送受信のタイミングに制約がないため、受信者が都合の良いときに送信でき、返信も好きなタイミングで確認できます。
会議中、公共の場所、国際的な時差がある場合など、電話が難しい状況下でも問い合わせできるため、あらゆる状況に適応しているメールは選ばれやすいでしょう。
やり取りを文面で確認できるから
注文して届いた品物に不具合があったので、対応や返品の仕方についてメールで問い合わせをしました。込み入った状況を説明するにあたって、電話で連絡するよりも整理して伝えやすいほか、連絡の過程が文字で残るのはよかったです。
メールはやり取りの記録が残るため、自分がどのような問い合わせを行い、対応がどう進んでいるのか、どのような指示が出されたのかをユーザー自身で振り返ることができます。
電話を選ばない理由には「やり取りが残らない」「言った言わないになる」という懸念点があげられており、事業者によっては会話を録音しているところもあります。このことからも、メールの「やり取りを文面で確認できる」という性質は、ユーザーに安心感を与える重要な要素だといえるでしょう。
メールはさまざまなニーズに対応できる
メールは電話やチャットが苦手な人でも利用しやすく、幅広いニーズに対応できるため、ECサイトにとって必須の問い合わせ手段といえるでしょう。
一方で、ユーザーはメールに対して「すぐに返信が来ない」というイメージを持っています。そのため、問い合わせから返信までの目安時間を明記するなど、あいまいさや不透明さを事前に解消するための工夫が必要です。
EC利用者がチャットを選択した理由
チャットは、リアルタイムで迅速に回答を得られ、効率的なコミュニケーションが可能な問い合わせ手段です。日常生活でも多用されているツールのため、メールが持つフォーマルさや、電話が持つ緊急性が和らぎ、ユーザーにとってのハードルも低いでしょう。
すぐに回答がほしかったから
別の商品との違いについて疑問に思い、すぐに回答がほしかったためチャットにて質問しました。問い合わせならチャットかメールがいいです。回答を急ぐときにはチャットが便利ですが、時間があるときとないときで問い合わせ手段を変えるのがベストだと考えています。
チャットはリアルタイムでのコミュニケーションが可能で、問い合わせに対してその場で回答を得られます。また、チャットは対話形式であるため、一度の回答で不明点が解決しなくても追加で質問できます。
テンポ良くやり取りでき、不明点をその場で解消できることから、商品の購入を検討しており不明点を問い合わせたい場面に最適です。
ユーザーの疑問を短時間で解決できれば、購買意欲が低下しないうちに商品の購入を促せるため、売上アップにつながります。
手軽で便利だから
手軽にやり取りができて便利なので、チャットを使用しました。もしチャットの内容だけではうまく伝わらないようであれば、電話かメールの手段を取ると思います。
チャットはリアルタイムで対話するため、メールに比べて一度にやり取りする質問や回答の文が短く、回答を得るまでがスムーズです。
電話もチャットと同じくリアルタイムでやり取りできる手段ですが、緊張したり、通話料金がかかったりするデメリットがあります。
チャットであれば、メールほど長文を打つ必要も、電話ほどかしこまる必要もないため、手軽な問い合わせ手段といえるでしょう。
チャットはスピード感と手軽さで選ばれる
チャットは、メールでは難しいリアルタイムでの対応が可能で、電話よりもストレスの少ないコミュニケーション手段です。また、ほかの作業の合間に問い合わせができる手軽さや、記録が残る安心感もあります。
そのため、商品の検討時に生まれる「ちょっとした疑問」を解決するシーンや、緊急度がそれほど高くない質問をしたい場合に適しています。
ただし、AIが対応するチャットでは要領を得ない場合もあるため、オペレーターをAIからスタッフに切り替えられるように設定するなど、柔軟な対応が必要です。
EC利用者が電話を選択した理由
電話は、メールやチャットのように文字入力をする手間がなく、要件をすぐに伝えられます。また、オペレーターにその場で即座に対応してもらえるため、解決までの時間が短い点もメリットです。
意図することをすぐに理解してもらえるから
最初はチャットを使おうとしましたが、聞きたいことが選択肢になく、電話で問い合わせました。メールやチャットのように文字を入力するより話すほうが手っ取り早く、意図もうまく伝えられるので、通話料がかからなければ電話で問い合わせたいです。
文字を使わず口頭でやり取りする電話は、最も対面に近い問い合わせ手段です。文章化しにくいニュアンスや表現、複雑な流れ、込み入った事情を肉声で表現できるため、より正確に意図や要望を伝えられるでしょう。
チャットの選択肢に自分の質問が含まれていない場合でも、電話であれば「質問の選択肢を探す」手間がなく、聞きたいことをストレートに質問できます。
ただし、今回のアンケート回答にあるように、電話での問い合わせは通話料の発生によって敬遠される場合もあるため注意が必要です。ユーザーに通話料金の負担がかからないフリーダイヤルの導入が望ましいでしょう。
迅速に対処してもらえるから
すぐに対応してもらいたくてチャットを利用しましたが、的外れの回答で解決にならないと感じたので電話しました。こちらの意図をすぐに理解してもらえ、処理も迅速に行っていただけて助かりました。緊急を要する場合以外はメールでもいいと思いますが、即対応してもらいたいときは電話での問い合わせを選択します。
メールやチャットは、文字入力が必要なため、詳細な説明を行うのに時間がかかることがあります。その点、電話であれば文章を作成する工程がなく、要件を迅速に伝えられます。
また、電話での問い合わせは、オペレーターが利用者の状況に応じて柔軟に対応するため、ユーザーの具体的なニーズに応じた返答を得られるでしょう。
その場での対応が必要な場合に電話が選ばれる
メールやチャットの場合、こちらの意図を相手に伝えるためには、文章を作成し、送信しなければなりません。また、状況が込み入っている場合は、文章化するのに時間がかかるため、文章表現が苦手なユーザーや、パソコン・スマートフォンの操作が苦手なユーザーにとっては負担が大きい作業となります。
電話であれば、口頭で状況を説明でき、ユーザーが文章を作成する手間がかかりません。その場で即座に状況を説明し、適切な対応を求めるシーンでは電話が最適な手段です。
問題に対する「理解」から「対応」までの迅速さを求めるユーザーや、端末の操作が苦手なユーザーのために、電話での問い合わせ手段も用意しておきましょう。
まとめ|ユーザーが問い合わせ手段を選択できる環境づくりを
ユーザーは、自身の得意・不得意や状況を踏まえて、最適な問い合わせ手段を使い分けています。そのため、ECサイト運営側は、複数の問い合わせ手段を用意し、ユーザーが手段を選べるように整備することが重要です。
また、問い合わせ自体を減らせるよう、過去に問い合わせがあった質問を商品ページへ反映させたり、「よくある質問」や「Q&A」を用意したりして、ユーザーが自己解決できるよう情報を充実させていきましょう。
FORCE-Rは、自社で培ってきたノウハウと豊富な成功事例をもとに、質の高い運用代行やコンサルティングを提供しています。テンプレート的な施策ではなく、ECサイトごとの具体的な状況や目標を分析し、効果的な施策を立案・実行するため、少ないリソースで結果を出すことが可能です。
ユーザーが何を求めているのか、ECサイトにどのように落とし込めば顧客満足度を高められるのかなど、自社の課題を認識し、確実に売上を伸ばしていきたい方は、ぜひFORCE-Rへご相談ください。