「EC事業に参入する予定だが、上手くいくか不安…」
「EC業界には将来性があると感じている」
「EC業界のトレンドや参入する際の課題を知っておきたい」
新しくEC事業を立ち上げるにあたり、上記のように悩んでいる方がいるのではないでしょうか。日本国内におけるEC業界の市場規模は拡大しているため、販路の開拓先として将来性があります。一方で参入するためには、EC業界のトレンドを把握することが重要です。
本記事では、EC業界におけるトレンドやビジネスモデルに加え、課題と対策についても解説します。ECビジネスで良いスタートを切りたい企業の担当者様は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
EC業界の市場規模は拡大している
経済産業省の調査によると、2022年における国内のBtoC向けEC市場規模は前年比9.91%増の22.7兆円、BtoBにおいては420.2兆円と12.8%の増加となりました。また2022年のEC化率はBtoCで9.13%、BtoBでは37.5%となっており、いずれも毎年伸び続けています。
2022年は新型コロナウイルスの感染拡大により落ち込んでいた外出需要が回復したことが、市場拡大の要因です。アフターコロナの時代になっても、ECサイトの利用が定着してきていることから今後も市場は成長していくでしょう。
参照:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
押さえておきたいEC業界の5つのトレンド
EC業界で売上を伸ばしていくには、トレンドを押さえて素早く対応することが大切です。トレンドを押さえておくことで、ECを取り巻く環境がどのように変化していくのかを把握しやすくなります。
ここでは、EC業界のトレンドを5つ紹介します。
1. ID決済の普及
ID決済とは、ECサイトで買い物をする時に外部サービスに登録したアカウントで支払いができるサービスです。代表的な決済サービスは以下のとおりです。
- PayPay
- LINE Pay
- 楽天Pay
それぞれのサービスに登録している情報をそのまま使えるので、氏名や住所などを購入する度に入力する必要がなくスムーズに決済できます。また、クレジットカード情報の入力が不要な点も大きなメリットです。情報漏えいや不正利用などのリスクを減らせるので、ユーザーに安心感を与えられます。
企業は決済手数料を支払わなければなりませんが、ID決済を利用するユーザーが増えているため導入を検討してみましょう。
2. O2OからOMOへの移行
O2Oとは「Online To Offline」の略称で、オンラインからオフラインへ行動を促す施策を指します。店舗で使える割引クーポンをインターネット上で配布する施策などが代表例です。従来のO2Oでは、オンラインとオフラインは区別して考えられています。
一方で、OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインを融合するという意味です。ECサイトで注文した商品を店頭で受け取ることができるサービスが代表的で、お客様の購買体験の向上と同時に、オンラインとオフラインのデータを一元管理することで、企業のマーケティング戦略や業務効率化にもつながっています。
3. 越境ECの拡大
越境ECとは、インターネットを通じて日本国内から海外に向けて商品を販売するサービスのことです。越境ECは年々成長しており、2026年には4兆8,200億USドル(705兆8,167億円/2023年8月27日時点の日本円換算)にまで拡大すると予測されています。
拡大している背景の1つとして、スマートフォンが普及し海外のECサイトで気軽に買い物ができるようになったことが挙げられます。また越境ECを利用することで「自国にはない商品を買える」「より安く購入できる」というメリットが周知されるようになりました。
また事業者目線では、販路拡大や売上増加を見込めることから越境ECに参入するケースが増えています。さらに物流システムが発達し、よりスムーズに商品を配達できるようになったことも越境ECを促進している要因です。
参照:経済産業省|令和3年度電子商取引に関する市場調査
4. AIの活用
AIは積極的に研究開発が行われており、さまざまな業界において活用が進められている注目の分野です。EC業界におけるAIの活用事例は、以下のとおりです。
- 売れている商品の分析
- 商品のレコメンド
- 価格の最適化
- 離脱客の防止
- 在庫管理
- 問い合わせの自動化
上記の中でも価格の最適化は、AIが競合の販売価格やユーザーニーズなどを分析して自動的に適切な価格を導き出します。また離脱客の防止は、商品をカートに入れたものの途中で離脱してしまったユーザーにリマインドメールを送るなど、最適なフォローアップをAIが行います。
ECは利便性に優れている一方で、商品や情報が溢れていることから販売促進が難しい状況です。AIを活用すれば、ユーザーが求めている商品や情報が探しやすくなることによる「快適な購買体験」を提供できるだけでなく、企業側の業務効率化も可能です。EC運営におけるさまざまな課題を解決できるため、AIの活用は今後も増えていきます。
5. 5Gの導入
2020年に5G通信が開始し、EC業界でも注目を集めています。5Gとは第5世代移動通信システムのことで、主な特徴は以下のとおりです。
- 高速大容量
- 多数同時接続
- 低遅延
5Gが登場することでスマートフォンやパソコンだけでなく、あらゆる家電や機器からネットに接続できるようになり、販売チャネルが多様化することが予測されています。例えば冷蔵庫や車など、身の回りにあるものからネットを通じて商品を購入できるようになるかもしれません。
このように通信環境が整うことで、ユーザーがインターネットにアクセスする時間が増えて結果的にオンラインで買い物をする人が増えるでしょう。EC業界で5Gの活用が進むことで、マーケットの拡大が期待できます。
EC業界における4つのビジネスモデル
ECサイトにおけるビジネスモデルは、主に4つあります。ここではそれぞれの特徴や違いについて説明します。1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. BtoC
BtoCとは「Business to Consumer」の略称で、企業と個人(消費者)の取引を指します。主に食料品や日用品・衣料品など生活に結びついたものが多く、楽天やAmazonなどでの買い物が代表的です。
近年は、独自でECサイトを運営している企業が増えているため、ユーザーは実店舗へ足を運ばなくても気軽に買い物できます。またインターネットだけでなく、スマートフォンアプリで買い物ができるECプラットフォームも数多くあります。
2. BtoB
BtoBとは「Business to Business」の略称で、企業同士の取引のことです。BtoBの中でも、すでに取引のある企業しかサイトを見れない「クローズ型」と、誰でも閲覧できて新規顧客の獲得を目指す「スモール型」の2種類のビジネスモデルがあります。
ECサイトを運営する目的によって使い分けることが大切です。サイト数は少ないものの1回あたりの取引金額が大きいため、日本国内におけるECの売上規模はBtoBが大半を占めています。
3. CtoC
CtoCとは「Consumer to Consumer」の略称で、個人間の取引を指します。メルカリやヤフオクなどのフリーマーケットサイトが代表的です。
また最近は「minne」や「Creema」など、ハンドメイド作品を取り扱うCtoCの通販サイトも出てきています。
出品から配送までスムーズに行える環境が整っていて、スマートフォン1つで完結する利便性の高いサービスとなっておりユーザー数を伸ばしています。
4. DtoC
DtoC(D2C)とは「Direct to Consumer」の略称で、メーカーと個人(消費者)の取引を指します。企業が自社ECサイトでユーザーに直接商品を販売するケースが挙げられます。
DtoCは仲介業者を通さないため中間手数料が発生しません。手数料をカットできる分、販売価格を抑えられるので取引をスムーズに進められ、売上の拡大が期待できます。
ECサイトの構築や運用にコストがかかりますが、中間コストの削減や顧客情報の収集・訴求性の高さなどさまざまなメリットがあるため、注目を集めている取引形態です。
EC業界が抱える6つの課題と対策
EC市場が伸び続ける一方で、参入したものの上手く運営できていない企業は多いです。ここでは、EC業界が抱える課題と対策について解説します。
事前に課題と対策を把握しておくことで、同じような問題に直面した際にスムーズな対応が可能になるのでしっかりチェックしましょう。
1. 顧客を集められない
スマートフォンの普及によって販売チャネルが大幅に増えたことでユーザーの利用ツールが分散してしまい、ターゲット層に上手くアプローチできず集客に悩んでいる企業は多いです。
ECサイトは実店舗とは異なり顧客がふらっと通りかかることがないため、以下のような施策を行って存在をアピールする必要があります。
- Web広告
- SEO対策
- SNS運用
- メルマガ配信
即効性があるものもあれば効果が出るまで長期間かかる施策もあるので、PDCAを回しながら継続的に対策していきましょう。
ECサイトの集客力を高めたい方は、関連記事の「【徹底解説】ECサイトの集客に効果的な手法5選!成功事例も紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2. リピーターを獲得できない
ECサイトの売上を拡大するためには、リピーターの獲得が欠かせません。しかし、今は簡単にサイトの比較ができるため競合他社に顧客が流れやすく、リピーターの獲得に苦戦している企業は多いです。
リピート購入が増えないと、新規顧客の獲得に投資し続けることになります。新規顧客の獲得には、リピーターよりも5倍のコストがかかると言われています。リピート購入を増やすために、以下のような施策を試してみましょう。
- メルマガ配信
- クーポンの提供
- SNS発信
- リターゲティング広告
このようにこまめにフォローすることで、リピート購入の増加が期待できます。
3. CVRが低い
自社サイトのアクセス数がいくら増えたとしても、売上につながらず悩んでいる企業は多いです。
原因の1つとして、サイトの構造に問題があるケースが多いです。例えば「欲しい商品にたどり着くまでの手順が多すぎる」「入力フォームが複雑」などの理由で、ユーザーは離脱してしまいます。
解決策として「商品を利用するシーンをイメージしやすいか」「目的の商品を最短ルートで見つけられるか」など、ユーザー目線で自社サイトを見直してみると良いでしょう。
入力フォーム最適化を指すEFOについては関連記事の「EFOとは入力フォームを改善して離脱を防ぐ施策|7つの手法と成功事例を紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
4. 客単価が低い
どんなに商品やサービスを購入してもらっても、客単価が低いとなかなか利益につながりません。
客単価を上げるには関連商品や高単価商品を提案し、購入を検討してもらうことが重要です。例えば、アパレル系のECサイトなら「ワンピースを購入したユーザーにパンプスやバッグを勧める」「ワンランク上の服を表示させる」といった施策が考えられます。
また、誕生日月の特別割引クーポンの発行や限定セールなどのキャンペーンを実施して、ファン化を促進するのもおすすめです。
5. コストが高騰している
EC業界を支えている配送ドライバーの人手不足やガソリンの値上げが続いており、人件費や燃料費などのコストが高騰しています。他にも在庫の保管や荷物の仕分け・ピッキングなど、物流業務にはさまざまなコストがかかっています。
値上げによるコストの増加は完全には避けられませんが、EC事業で成功するためにはできる限り削減して利益率を上げることが大切です。コストを削減する方法の1つとして、EC物流代行サービスへの依頼を検討してみましょう。代行料金は発生しますが、人件費やシステム導入費などを抑えられるので、コストの削減につながります。
仕入れや商品登録などの運営業務が不要になるドロップシッピングについては関連記事の「ドロップシッピングとは在庫を持たないビジネスモデル!3つのメリットや始め方を解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
6. 万全なセキュリティ対策が求められている
ECサイトはユーザーの個人情報やクレジットカード番号を扱っているため、万全なセキュリティ対策が求められています。個人情報が流出してしまうと社会的信用を失うだけでなく、場合によっては賠償金を支払うこともあります。
このようなリスクを避けるためにも、以下のような対策を行いましょう。
- アプリの定期的なアップデート
- パスワードの変更
- アクセス権限の管理
- スタッフ教育
また「社内のセキュリティ管理に問題がないか」日頃からチェックすることも重要です。
2025年3月末までに対応が義務付けられている3Dセキュアについては関連記事の「3Dセキュアとはクレジットカード決済を安全に行う本人認証の仕組み!ECサイトへの導入メリットを解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
EC事業を立ち上げるならFORCE-R
「EC事業をこれから立ち上げたい」「上手く運営できるか不安…」という企業は、ぜひFORCE-Rへご相談ください。弊社では、お客様の状況に合わせて最適な戦略を立案します。立ち上げからサポートすることで、安心して運営を始めることができます。
また、領域に特化したコンサルタントが最新のトレンドや動向をお伝えするため、運営者様はご自身の業務に注力できる点もメリットです。
まずはお気軽にお問い合わせください。ご状況をヒアリングした上で、サポート内容を提案いたします。
まとめ|EC業界のトレンドや課題を理解してサイト運営を行うことが重要
EC業界は年々拡大しており、今後も成長していくと予想されています。移り変わりの早いEC市場で売上を伸ばしていくには、常にトレンドを押さえておくことが大切です。
EC事業において良いスタートを切れるように、コンサルティングを活用してみてはいかがでしょうか。FORCE-Rでは、お客様の領域に精通したコンサルタントが市場規模やトレンドを共有しながら、課題に合わせてサポートいたします。
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