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人が物を買う心理や行動の流れとは?ECサイトで応用する方法も紹介

「ユーザーが商品を買う際の気持ちが知りたい」
「商品の検討から購入に至るまでの流れを参考にしたい」
「物を買う時の心理を活用した販売テクニックを学びたい」

このようなお悩みをお持ちではありませんか。ECサイトで売上を伸ばしていくためには、顧客が購入に至る心理やプロセスを知ることが重要です。

本記事では、人が物を買う心理や購入の意思決定を行うまでのプロセスを解説します。顧客の心の動きに寄り添ったサイト設計や販売方法を実践することで、売上アップを目指しましょう。

人が物を買う7つの心理

人が物を買う理由はさまざまです。購入を決断するまでの心理を知ることは、扱う商品の選択や販売方法を検討する際の貴重な判断材料です。ここでは7つの心理を紹介していくため、自身が販売している商品は顧客が「どのような状態の時」に購入してもらえるかを考えながらお読みください。

1. 生きていくため

人が生きていくためには「衣・食・住」が必要です。とくにファッションにこだわりがない方でも、季節に合わせた衣類や生活の拠点になる住居にはお金をかけます。

飲み物や食べ物を自給自足する方もいますが、お店で購入している方が大多数です。「生活に必要な最低限のもの」は人によって異なりますが、生きていくためにものを買うことが根底にある購入心理です。このように普段なかなか意識しづらい購入心理に注目することが、販売戦略にとって重要となります。

2. 生活を便利にするため

生活を送る上で、あると便利な物に対して人はお金を払います。家事が楽になる食洗機や自動掃除機などが、わかりやすい例です。

また洗濯機や冷蔵庫を購入する際、ついつい機能が多い上位モデルを選択したくなるのも「生活がより便利になるかも」という心理が動いています。お金と引き換えに時間や労力、便利さを得るための買い物は日常に多く存在しています。

3. 楽しむため

趣味や好きなものなど、自身が「楽しい」「幸せ」と感じる商品を人は購入します。娯楽として購入されるのは、以下のような商品です。

  • お酒
  • 本(漫画含む)
  • 映画鑑賞・DVD
  • ゲーム

楽しいと感じるポイントは人によって大きく異なるため、数多くの商品が存在しています。また、遊園地や演劇など体験にお金を払うケースもあります。

4. 自己成長のため

筋トレや勉強など、自分自身を成長させるためにお金を使うケースもあります。

  • スポーツ
  • 勉強や資格
  • ビジネス
  • 芸術

成長したいジャンルは人それぞれです。そのため、自己成長を対象とした商品は数多くあります。自己投資と呼ばれることも多く、将来達成したいゴールに向けた手段として買い物を行います。

幅広いジャンルが存在していますが「何かを学びたい」「体力をつけたい」など、前向きな気持ちで商品やサービスを購入する方が多いです。

5. 必要になったため

ライフイベントでは以下のように、多くの買い物が発生します。

  • 就活時のスーツ
  • 冠婚葬祭の礼服
  • 学校に必要なランドセルや教科書
  • 会社員のネクタイや鞄

取り上げた例以外にも、人生の中では仕事や行事で必要な商品が存在します。販売者側の立場では、一定の年齢や時期に合わせて購入される商品は売上予測も立てやすいです。

またライフイベントとは別に、ティッシュ・トイレットペーパーなどの生活必需品も必要なタイミングに合わせて購入されます。

6. 自分を良く見せるため

人は「他人からよく見られたい」という欲求を持っています。時計や車など、高価な物を買う時には「本当に好き」な場合と「良い印象を持たれたい」という心理の両方が存在しています。

高価な物だけでなく、入手が難しい「限定品」や流行の商品を購入する心理も同様です。このように自分のステータスを高めたり、誰かに自慢したりするために商品を購入する場合もあります。

7. 誰かのため

誰かのために物を買うケースは、誕生日やクリスマスなどのイベントや結婚記念日や成人式など、特別な日のプレゼントが想像しやすいでしょう。

自分の欲求を満たすためではなく、親しい家族や友人、恋人に喜んでもらうために物を買う場合には、送る相手のニーズに合わせた商品を選択します。購入者が詳しくないジャンルの商品である場合は、丁寧な説明書きがあると購入につながりやすくなります。

物を買う心理の流れを表した4つのモデル

人が物を買う時の流れを「購買行動モデル」と呼びます。購買行動モデルでは、商品を知ってから購入に至るまでの心理プロセスを一般化しています。

消費者の心理を知ることで、どの段階に課題があるかを分析し、適切な対策につなげていきましょう。

1. AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)は1920年代に提唱された、基本的な消費者モデルの1つです。顧客が商品を知ったあと、どのような過程を経て購入に至るのかを以下の5つのプロセスに分けて説明しています。

  • A:Attention(認知・注意)
  • I:Interest(興味・関心)
  • D:Desire(欲求)
  • M:Memory(記憶)
  • A:Action(行動)

顧客はこの5つのプロセスを経て、最終的に商品購入の判断を行います。またこの5つのプロセスは、以下のような3つの段階にも分けられます。

  • 認知段階(A):広告や口コミを見て商品を知る
  • 感情段階(I・D・M):興味や必要性、欲求など感情に合わせて購入を検討する
  • 行動段階(A):購入する

「顧客が閲覧するページが心理プロセスのどの段階にいるか」を意識することで、適切な施策を検討できます。例えば感情段階にいる顧客に対しては「懸念を払拭する説明」や「合理的に判断するための材料」を提供するなどです。自身のECサイトを分析する際には、どこが課題になっているかを探してみましょう。

2. AISAS(アイサス)

AISAS(アイサス)は2005年に株式会社電通が商標登録した、新しい購買行動モデルです。AIDMAが提唱された1920年代と異なり、インターネットが出現したことにより顧客の購買行動は変わりつつあります。

そこでAIDMAをもとに、現代版に少し変化させたモデルがAISASです。AISASも5つのプロセスに分けて、顧客の行動を分析します。

  • A:Attention(認知・注意)
  • I:Interest(興味・関心)
  • S:Search(検索)
  • A:Action(行動)
  • S:Share(共有)

AIDMAとの違いは、検索や共有といったインターネットやSNSを用いたプロセスが追加された点です。インターネットが普及した後は、家にいながら商品情報を確認できるように変化しました。

また購入後に口コミを書いたりSNSで発信したりと、顧客が能動的に情報を発信できるようになったのも特徴的です。このようにインターネットが普及した現代では、Web上の情報を充実させる施策が大切です。

3. AISCEAS(アイセアス・アイシーズ)

AISCEAS(アイセアス・アイシーズ)はAISASに「比較」と「検討」が追加された顧客購買モデルです。以下の7つのプロセスより成り立ちます。

  • A:Attention(認知・注意)
  • I:Interest(興味・関心)
  • S:Search(検索)
  • C:Comparison(比較)
  • E:Examination(検討)
  • A:Action(行動)
  • S:Share(共有)

2つのプロセスが追加された背景には、AISASが株式会社電通により提唱され始めた1995年と比べ、比較サイトや商品レビューサイトが増えてきた点があります。インターネットの普及により、顧客は家にいながらでも簡単に商品を比較・検討できるように変化していきました。

意思決定までのプロセスが増えて認知を獲得してもすぐに購入には至らなくなったため、販売側の難易度は上がっています。そのため、新規顧客の獲得以上に既存顧客にリピート購入してもらう重要性が上がっているのです。

売上を上げていくためには、一度購入してくれた既存顧客が複数回買いたくなる施策を積極的に打ち出していきましょう。なお、リピーターを獲得する方法は関連記事の「リピート率とは?業界別ECサイトの平均値と向上させる施策を解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

4. パルス消費モデル

AIDMA・AISAS・AISCEASは、前のモデルをもとにしながら時代に合わせて変化していきました。しかし、2019年にGoogleより提唱されたパルス消費モデルは、過去のモデルとは異なる考え方を示しています。

顧客の商品を購入したいという気持ちは、パルス(ごく短い時間だけ流れる電流)のように突然出現し、すぐに消えてしまうといった考え方です。Googleの記事内では以下の6つの例が紹介されています。

  • Safety(より安心安全なもの)
  • For Me(自分にぴったりなもの)
  • Cost Save(お得なもの)
  • Follow(売れているもの・第三者が推奨する物)
  • Adventure(知らなかい・興味をそそるもの)
  • Power Save(買い物の労力が減らせるもの)

6つの直感は、誰もが持っている価値観ですが、人によって無意識のうちに重視しているポイントが変わってきます。

日本ではSafetyとFor Meの要素が強く、安全性や自分にぴったり合ったものを選んだ後にお得感を判断する方が多いです。ただし、販売するジャンルによっても異なるため、何が求められているかを理解した上で、ニーズに合わせた訴求を行うようにしてください。

参照:Google|買いたくなるを引き出すために:パルス消費を捉えるヒント(3)​​

物を買う心理をECサイトに応用する5つのテクニック

ECサイトで物を販売する際には、ユーザーの心の動きを把握し、流れに合わせた対策を行うことが大切です。そこで、心の動きを分析している心理学に基づいたテクニックを、ECサイトに応用する5つの方法を解説します。取り入れやすいものから、実践してみましょう。

1. カクテルパーティー効果

パーティー会場のような雑音の中でも、自分の名前を呼ばれたら気づいたり、周囲の人と話せたりした経験が誰もが一度はあると思います。自分にとって興味のある情報が自然と聞こえたり、目にとまったりすることをカクテルパーティー効果と呼びます。

「自分にとって重要だと思う情報」が目に入るカクテルパーティー効果をECサイトでも活用していきましょう。ランディングページなどでは私のための商品だと感じてもらえるようなキャッチコピーを入れることも効果的です。例えば「●Kg痩せたいあなたへ」や「スタイルが良く見えるパンツをお探しの方にぴったり」などのフレーズを入れましょう。

2. アンカリング効果

アンカリング効果は最初に目に入った数字などが基準となり、あとから出てくる情報の判断軸が左右されることを指します。例えば「この商品は定価1万円ですが、このページを見ている方限定で●円で購入可能です」と書いてあるとお得な気持ちになりますよね。

つまり、ECサイト内で与える第一印象によって、情報の受け取られ方が変化してきます。割引やお試しキャンペーンなどもただ伝えるだけでなく、落差を表現することでよりお得に感じてもらえます。

価格だけでなく、人気No.1や創業50年などわかりやすい訴求を行うことも効果的です。「人気がある」という前提で商品情報を見てもらえれば、自然と購入につなげやすくなります。

お得に感じさせる値段設定については、関連記事の「中途半端な価格を「買いやすい値段」と感じる心理とは?安く感じる値段を設定する10の方法を紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

3. バンドワゴン効果

バンドワゴン効果は、大勢の人が支持している商品やサービスは、あとから来る方も応援したくなる現象のことです。例えば行列ができている飲食店を見ると、ついつい並んでしまうことがあります。

ECサイトに応用する場合は、キャッチコピーに以下のようなフレーズを入れると効果的です。

  • 販売個数●個突破
  • 芸能人の●さんも愛用
  • テレビ・雑誌で紹介
  • レビューサイトで★5つ

このようなコピーを見ると「みんな買っているという安心感」と「自分だけ知らないのではという不安感」から購買率を高められます。ただし、広告内に記載するコピーは過度な誇張はせず、事実のみにしてください。

4. 返報性の原理

人は誰かに良くしてもらったら、お返しをしなければならないと思う心理を持っています。そのため、顧客が嬉しいと感じる情報や商品を届ける事で購入やリピートにつなげられます。スーパーで見られる試食なども返報性の原理を用いたものです。

ECサイトでよくある例は、無料サンプルや初回割引です。まずはお得に使ってもらい、顧客に「購入しないと悪い気がする」と感じてもらうことで購入の後押しができます。

最初に顧客が「うれしい」「得した」と感じられることがポイントです。入り口の段階から良い商品や情報を出し惜しみせず、後から売上を取れるようにしていきましょう。

5. リフレーミング効果

どんな商品やサービスにも短所やネガティブポイントはあります。商品のデメリットを、視点を変える事で長所として伝える方法をリフレーミング効果といいます。

有名なリフレーミング効果を活かした販売戦略例が青汁です。青汁は体に良いが「味がおいしくない」というデメリットが存在していました。そこで「まずい!もう一杯」というフレーズでCMを放映することで、飲みにくさを超える健康へのメリットを訴求することに成功しました。

商品やサービスのネガティブ面を隠すのではなく、視点を変えて魅力として訴求していくことが大切なポイントです。

物を買う心理を活用したECサイトの構築はFORCE-R

顧客がどのような心理やプロセスで物を購入するかを知っておくことは、ECサイトの対策を立てる上で重要です。どのような購入理由を狙いにいくか、どのプロセスが課題になっているかなど、課題やアイディアを発見・改善していく上での材料になるためです。

ただし、本記事で紹介した施策案は数ある施策の中の一部であり、すべてを勉強してECサイトに応用していくためには時間もお金もかかります。物を買う心理やプロセスをもとにしたECサイトの構築や対策はプロに任せることが早く、より良い結果を出すことにつながります。

FORCE-Rでは専門知識のあるスタッフによる、購買モデルに合わせた課題特定や心理学に基づいた対策が実施可能です。顧客の心理を活用したECサイトを作りたい場合は、お気軽にFORCE-Rまでお問い合わせください。

まとめ|売上アップには物を買う心理の理解が重要

人が物を買う時の心理やプロセスを理解しておくことは、商品やサービスをどのように販売すべきかのヒントになります。顧客心理に寄り添ったECサイトにすることで、売上アップにつながります。

インターネットや書籍を読むことで、多くの情報を得て実践することが可能です。しかし、自社ですべての施策を実施するには時間やお金がかかります。

学習にかかるコストを削減しながら、売上の上がるECサイトの構築を行いたい場合には専門家のアドバイスを受けましょう。最短で成果を出すことにもつながります。

顧客心理に基づいたECサイトを作りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。FORCE-Rの強みである専門知識と組織体制により、手厚いサポートをお約束します。

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ:本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。 その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。 楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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