「『個人の感想です』と書いておけば景品表示法上の問題はないの?」
「『効果には個人差があります』と記載すると消費者からのイメージが悪くなる?」
「出品するとき法律違反とならないためには、どのような表現を使えば良い?」
自社商品の効果を訴求するにあたって、上記のような悩みを抱えていないでしょうか。表記方法によっては、消費者庁から措置命令や課徴金を科される場合があるため注意しましょう。
本記事では法律に違反しない表記を、消費者庁の調査結果や専門家の見解をもとに解説します。商品の特徴を法律の範囲内で最大限に訴求したい方は、ぜひ参考にしてください。
| 重要項目 | 概要 | 施策内容 |
| 「個人の感想です」だけでは法的リスクを回避できない | 打ち消し表示は補足にすぎず、広告全体の印象が誤認を招く場合は景品表示法や薬機法上の問題となる可能性がある | 強調表示だけでなく広告全体の表現を見直し、体験談や効果訴求が過大になっていないか確認する |
| 打ち消し表示は“見える形”で明確に記載する必要がある | 文字サイズ、強調表示とのバランス、背景色、配置、動画での表示時間などが不適切だと、消費者の誤認を招くと判断されやすい | 同一画面内・視認しやすい文字サイズ・読みやすい配色で表示し、動画では文字数と表示秒数にも配慮する |
| 体験談や口コミの使い方には根拠と条件整理が必要 | 体験談だけを強調すると優良誤認と判断されるおそれがあり、利用者条件や割合などの補足情報も重要になる | 被験者属性、使用条件、効果が出た割合などを示し、レビューや口コミも偏った編集を避けて掲載する |
| <本記事から分かるポイント> ・「個人の感想です」と書くだけでは、違法広告の回避にはならない ・広告は文言単体ではなく、全体として与える印象で判断される ・打ち消し表示は、文字サイズや配置を含めて明確に視認できることが重要 ・体験談や口コミは、根拠や条件が不十分だと問題になる可能性がある ・景品表示法や薬機法に配慮しながら、訴求表現を設計する必要がある |
Contents
「個人の感想です」や「効果には個人差があります」はユーザーの誤認を防ぐための打ち消し表示

商品の効果や効能を訴求する表記を「強調表示」と言います。強調表示の補足説明や例外を示す注意書きが「打ち消し表示」です。打ち消し表示は、商品の効果や効能について消費者の誤認を防ぐために記載します。
打ち消し表示に該当する表記の例は、以下のとおりです。
- 「個人の感想です」
- 「効果には個人差があります」
- 「効果を保証するものではありません」
主に化粧品や健康食品の広告で、使用者の体験談に打ち消し表示が添えられます。法律に違反せず商品の特徴を最大限に訴求するためには、打ち消し表示が必要です。
化粧品をECで販売する際の具体的な施策については関連記事の「【事例あり】化粧品ECにおける6つの課題と成功への施策6選!市場規模や売上を伸ばす戦略も解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「個人の感想です」と書けば違法広告にならない?よくある誤解
広告表現において「個人の感想です」という注記を付ければ法的問題が起きないと考える事業者は少なくありません。しかし広告規制の観点では、単なる注釈だけで違反を回避できるわけではありません。ここでは、広告表現における代表的な誤解を整理し、実務で注意すべきポイントを解説します。
「個人の感想です」は法律違反を回避するための魔法の言葉ではない
結論として、「個人の感想です」という表現だけでは広告の適法性を担保できません。広告規制では注釈の存在よりも表示全体から受ける印象が重視されるためです。
たとえば健康食品や美容商品の広告で、体重減少や体調改善などの効果を大きく強調したうえで小さく注記を付けた場合、消費者は強調された効果を優先して認識します。結果として誤認を誘発すると判断される可能性が高まります。
さらに、体験談の内容が科学的根拠や試験結果と一致していない場合、注意書きを加えても不当表示と判断されるケースがあります。注釈はあくまで補足説明として扱われるため、広告内容そのものが合理的な範囲に収まっているか確認する姿勢が重要です。
広告全体の印象が重視される理由
広告規制では、個別の文言ではなく表示全体が与える印象が判断基準になります。なぜなら、消費者が広告を読む際に細かな注意書きまで丁寧に確認するとは限らないためです。
多くの場合、消費者は大きな見出しや強調された文章から商品の効果や価値を理解します。仮に補足説明が存在しても、強調部分と内容が矛盾していれば誤認を招く可能性があります。
たとえば「食事制限なしで痩せる」といった強い表現が前面に出ている広告では、体験談の注釈があっても消費者の印象は大きく変化しません。行政機関も同様の観点から広告を評価するため、注意書きの有無よりも広告全体のメッセージが合理的かどうかを検証する必要があります。
誤認を与える表現は注釈があっても問題になる
広告で誤認を招く表現が使用されている場合、注釈が付いていても問題視される可能性があります。理由として、消費者が受け取る印象と実際の商品の性能が一致しない場合、補足説明では誤解を解消できないためです。
たとえば体験談の内容が極端な成功例のみで構成されている場合、多くの消費者が同様の効果を得られると感じる恐れがあります。注釈として個人の感想である旨を記載しても、広告全体が特定の効果を強く印象付けていれば優良誤認に該当する可能性が高まります。
事業者は体験談の掲載方法や表現の強さを慎重に検討し、商品の特性と一致する内容になっているか確認する姿勢が大切です。
体験談広告で「個人の感想です」を使う際の注意点
商品広告では利用者の体験談を紹介する手法が広く採用されています。ただし体験談を掲載する場合、表現方法を誤ると広告規制に抵触する可能性があるため、注意が必要です。ここでは、体験談広告を作成する際に押さえておくべき実務上のポイントを整理します。
体験談だけを強調すると優良誤認と判断される可能性
体験談のみを強く打ち出した広告は、優良誤認と判断される可能性があります。なぜなら、成功事例だけが目立つ構成になると、消費者が商品の効果を過大に評価する危険性が高まるためです。
特にダイエット商品や美容商品では、短期間で大きな成果が出た例が強調されることがあります。仮に注釈として個人の感想である旨を示していても、広告の主要部分が劇的な効果を印象付けていれば誤解を招く恐れがあります。
行政判断では広告全体の構成が検討対象になるため、体験談の掲載割合や表現の強さに配慮することが必要です。商品の性能や研究結果と整合する範囲で紹介する姿勢が重要といえるでしょう。
体験談を掲載する場合に必要とされる情報
体験談を広告に掲載する場合、利用者の背景情報を示すことが望ましいとされています。条件によって結果が大きく変化する可能性があるためです。
たとえば年齢層、生活習慣、使用期間などの条件が不明な場合、消費者は同様の効果を期待しやすくなります。利用者数や成果が得られた割合などの情報を併記することで、広告内容の信頼性が高まります。
さらに、結果が得られなかったケースの割合を示すことで、誤解を招くリスクを減らすことが可能です。体験談は参考情報として提示し、商品性能の証明として扱わない構成が望ましいといえるでしょう。
レビューや口コミを掲載する際の注意点
レビューや口コミを広告素材として利用する場合、編集方法にも注意が必要になります。評価の高い内容だけを抜粋すると商品の印象が偏る可能性があるためです。実際の利用者の声を掲載する場合、意図的な編集によって評価を誇張する行為は避ける必要があります。
さらに、広告目的で掲載する口コミについては、広告表示である旨を明確に示す配慮も重要になります。近年はインフルエンサー投稿やSNSレビューを広告として利用する企業が増加しており、透明性の確保が求められています。
利用者の声を掲載する場合は、消費者が広告と認識できる形で表示する姿勢が求められます。
広告の表現を規制する2つの法律

化粧品や健康食品の広告で打ち消し表示を使用する際、特に注意すべき法律は「薬機法」と「景品表示法」の2つです。ここでは、それぞれの法律について詳しく解説します。
1. 薬機法
「薬機法」とは、医薬品に類する商品の製造や販売のルールを定めた法律です。医薬品以外の広告で「薬のような効果効能を持つ」と消費者に誤認させる訴求を禁止しています。
薬機法の規制対象は、以下の5つに分類される商品です。
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 再生医療等製品
また、健康食品の広告は「健康増進法」によって規制されています。健康増進法は体調の維持や回復の効果について、事実に反する効能や消費者を誤認させる表記を禁止する法律です。
健康食品の広告規制については関連記事の「健康食品は薬機法に注意が必要!確認すべき4つの基準と違反防止のポイントを解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
2. 景品表示法
「景品表示法」は、消費者の不利益につながる虚偽表記や誇大広告を規制する法律で、以下の表示を禁止しています。
- 優良誤認:商品の品質や効果を誤認させる表示
- 有利誤認:価格や契約条件を誤認させる表示
- その他誤認させるおそれのある表示
企業の広告の表記を厳しく規制することで、消費者が商品について誤認することなく、購入する際に合理的に選べる状況を守るための法律です。消費者の誤認をまねくような広告とみなされた場合、該当の企業は消費者庁から措置命令や課徴金が科せられます。
商品の効果を訴求する際、薬機法や景品表示法に違反してはいけません。法律内で効果的な訴求方法の1つとして、体験談と打ち消し表示を併記する方法があります。その際、適切な方法で打ち消し表示を表記しなければ、消費者を誤認させるとして罰せられるため注意してください。
「個人の感想です」や「効果には個人差があります」に対する消費者庁の調査結果

消費者庁は2017年、打ち消し表示の実態調査として一般消費者1,000名へのアンケートと12名のグループインタビューを行いました。打ち消し表示を含むモデル広告を用いた調査結果から、消費者が「個人の感想です」や「効果には個人差があります」の表記に抱く印象がわかります。
さらに打ち消し表示の記載条件や併記すべき情報について、有識者3名の見解がまとめられています。一般消費者の意見や有識者の見解から、打ち消し表示を記載する際の注意点や、法律違反になる基準を確認しましょう。(参照:消費者庁 打消し表示に関する実態調査報告書)
1. 「個人の感想です」を読んでいない消費者が大半
実態調査の結果から「打ち消し表示を意識していない人が大半」と判明しました。普段から広告の注意書きを「見ていない」と答えた消費者は57.1〜75.1%です。ダイエットサプリのモデル広告を用いた調査では、体験談を見た人のうち90.3%は打ち消し表示に気づきませんでした。
企業が意図的にユーザーに認識しづらいように表記すると、消費者庁から指摘を受ける可能性があるため注意しましょう。
2. 「効果には個人差があります」と記載があっても体験談は信用する
打ち消し表示を見ても、消費者が体験談から受ける印象は大きく変化しません。モデル広告を用いた実態調査では、体験談を読んだ人のうち53.0%が「商品の使用で同じような効果が得られると思う」と回答しました。打ち消し表示を見た後も、消費者の体験談に対する印象は大きく変わりません。
さらに「個人の感想です」の表記について消費者は「企業がクレームを避けるために書いている」と認識しており、商品の効果へのイメージが変わることは少ないと判明しています。
3. 「個人の感想です」だけでは情報不足
有識者は「個人の感想です」のみの表記では、打ち消し表示として機能しないと指摘しています。体験談を用いる場合、以下の条件を記載すべきという見解です。
- 被験者の総数と属性
- 体験談と同様の効果・効能が得られた人数(割合)
- 体験談と同様の効果・効能が得られなかった人数(割合)
特定の条件で商品の体験談を集めた場合「どのような人が回答したか」を打ち消し表示と併記するよう求められています。
4. 打ち消し表示に明確な基準はない
消費者庁は、打ち消し表示における明確な基準を示していません。しかし消費者を誤認させる表現であれば、景品表示法に基づき罰則を科すという方針があります。
広告の公開前には社内外のモニターを集め、商品の訴求内容が誤認されていないか確認しましょう。誤認する可能性を検証していない場合、景品表示法違反として行政処分されるケースがあるため注意してください。
関連記事:景品表示法とは不当な広告や景品を禁止する法律!2つのルールや注意すべき場面も紹介
「個人の感想です」などの打消表示の正しい使い方

法律に違反しないよう打ち消し表示を使用するには、広告を出す媒体に応じた表記が必要です。打ち消し表示の表記には明確な基準はありませんが、消費者庁の実態調査で報告された一般的な表現方法に基づいて広告を制作しましょう。
1. 文字の大きさ
打ち消し表示の文字の大きさは、広告を出す媒体に合わせて適切なサイズにします。媒体ごとに多く使われている文字の大きさと、その割合は以下のとおりです。
- Web広告(PC):8〜10ptが58.4%
- Web広告(スマートフォン):8〜10ptが33.6%、10〜12ptが30.9%
- 動画広告:30pt以上が87.3%
打ち消し表示を使用する際は、消費者が読めないほど小さい文字にするのは避けましょう。
2. 文字の大きさのバランス
打ち消し表示自体の文字サイズだけでなく、強調表示とのバランスも重視されます。媒体ごとに多く採用されている文字サイズ比と、その割合は以下のとおりです。
- Web広告(PC):サイズ比10〜30%が43.3%
- Web広告(スマートフォン):サイズ比50〜70%が37.3%
- 動画広告:サイズ比10〜30%が48.3%
大きく表記した強調表示に対し、打ち消し表示の文字が極端に小さい場合は、消費者庁から指摘される場合があるため注意が必要です。
3. 文字と背景の色
打ち消し表示の文字の色は、広告の背景色や柄と区別しやすくする必要があり、無彩色の組み合わせが一般的です。消費者庁の調査結果によると、打ち消し表示に使用される文字色と背景色は以下の組み合わせが多く用いられています。
- Web広告(PC):黒と白が40.7%
- Web広告(スマートフォン):グレーと白が63.6%
- 動画広告:複数の色が入り組んだ柄や写真の背景が34.7%
背景色に同化して見えづらい文字、柄がじゃまして読みにくい表記は「消費者の誤認を誘う」として指摘されるリスクがあるため避けましょう。
4. 配置する箇所
打ち消し表示と強調表示は、Web広告でも動画広告でも同時に確認できるよう配置することが基本です。2つの表記が離れすぎていると、消費者が打ち消し表示を見落とし、誤認をまねくおそれがあります。
強調表示と打ち消し表示の配置箇所とタイミングに関する調査結果は、以下のとおりです。
- Web広告(PC):「同一画面内」が75.2%
- Web広告(スマートフォン):「同一画面内」が84.5%
- 動画広告:「同時」に表示が72.0%
強調表示と打ち消し表示を離して記載する場合でも、1スクロール以下におさめてください。
5. 動画広告の表示
動画広告では、強調表示と同時に打ち消し表示を出しましょう。打ち消し表示と強調表示を別々のタイミングで映す場合、内容が異なる表記が混在しないよう注意が必要です。打ち消し表示を正確に視認できないような文字数や、短い表示時間にならないようにしてください。
消費者庁の実態調査によると、以下の文字数や表示時間が一般的です。
- 文字数:10〜30文字が62.8%
- 表示時間:2秒以下が42.4%、2〜3秒が20.3%
打ち消し表示の表示時間を2秒以下にする場合は、文字数を減らしましょう。
打ち消し表示が問題となった2つの事例

打ち消し表示に不備があると、消費者庁からの措置命令や課徴金を科されるだけでなく、ユーザーからの信頼を失うため注意が必要です。実際に多額の課徴金が科せられた事例をもとに、自社の広告表記に不備がないか確認してください。
1. 文字サイズと記載箇所の誤りで課徴金1500万円【はぴねすくらぶ】
2019年、株式会社はぴねすくらぶでは、健康食品「酵母と酵素deさらスルー」が景品表示法に違反するとして、1581万円の課徴金が科せられました。商品に含まれる成分の効果により「食事制限なしで痩せられるような強調表示」が、優良誤認にあたるとされたためです。
さらに、打ち消し表示はページの最下部に非常に小さい文字で記載されていたため、消費者の誤認をまねくと指摘されました。消費者庁は商品の効果を裏付ける資料の提出を求めましたが、根拠として不十分なデータであったため、措置命令と多額の課徴金が科せられています。
この事例では、打ち消し表示の文字サイズや記載箇所の適切さだけでなく、商品の効果を裏付ける資料の必要性が示されています。
2. 体験談の裏付けが不十分で課徴金1300万円【太田胃酸】
2017年、株式会社太田胃酸では機能性表示食品「葛の花イソフラボンウエストサポート茶」の体験談に合理的な根拠がないとして、1313万円の課徴金が科されました。打ち消し表示は体験談に併記されていましたが、普段のお茶を該当商品に替えるだけで痩せられるような表示に疑いがかけられたためです。
体験談を用いて商品の効能を訴求する場合には、被験者の年齢や健康状態などの条件や、効果を感じた人の割合を記載することが必要です。
ECサイト内の表現方法の相談はFORCE-R

法律に違反しないよう自社商品を訴求するにあたり、表現方法にお悩みではないでしょうか。FORCE-Rは化粧品や健康食品事業のECコンサル実績があり、打ち消し表示を含む広告規制を熟知しています。
またFORCE-Rでは、化粧品や健康食品事業の売上拡大に貢献した実績が豊富です。化粧品事業のECコンサルでは売上を前年比318%拡大し、サプリメント事業では販路の拡大や広告運用により月商1000万円を達成しました。表現方法や広告運用に課題をお持ちの方は、FORCE-Rへお気軽にお問合せください。
まとめ|「個人の感想です」や「効果には個人差があります」は明確に表示することが重要

広告では商品の特徴や効果を訴求しつつ、打ち消し表示は消費者にわかりやすいよう記載することが必要です。打ち消し表示の表記方法に明確な基準はありませんが、法律に抵触すると企業イメージが低下する上に、課徴金が科せられるケースがあります。
そのため、同一事業の広告制作や運用実績が豊富なコンサルタントに相談すると安心です。化粧品や健康食品分野でのサポート実績を持つFORCE-Rでは、専門コンサルタントがクライアントのパートナーとして併走して課題を解決します。