デシル分析は累積購入金額で顧客をランク分けする手法!実践方法も4ステップで解説

「デシル分析はどんな時に使うの?」
「顧客ごとに効果的なマーケティング施策を行いたい」
「他の分析方法との比べた強み・弱みは?」

こんなお悩みをお持ちではありませんか。優良顧客を見つけるために便利な方法がデシル分析です。累積購入金額をもとに10段階のランクに分けて分析する手法で、データがあれば簡単に行える点が特徴です。

本記事ではデシル分析の特徴や、具体的なやり方を詳しく解説していきます。合わせて、メリットや注意点も紹介するため、他の分析方法と比較する際の参考にしてください。顧客分析を行いたい担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

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デシル分析は顧客を購入金額でランク分けする分析方法

デシル分析は、顧客の売上データをもとに累積購入金額順に10のランク分けを行い、グループ別に傾向を確認する方法です。購入比率や1人当たりの購入金額、売上高の構成をランクごとに算出することで、優先度の高い顧客を見つけます。なお、デシルとはラテン語で10分の1という意味です。

リピート率や購入金額の高い優良顧客層がわかることで「広告やDM配信の優先度を上げる」「ターゲットに刺さる内容に見直しを行う」など、注力すべき施策が明確になります。

デシル分析と似た手法でRMF分析と呼ばれる方法もあります。RMFは「Recency(直近いつ購入したか)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の指標の頭文字です。

デシル分析は顧客の累積売上データのみでランク分けを行いますが、RMF分析は購入時期や購入頻度も合わせて検証します。そのため「アクティブな顧客であるか」「リピート購入をしているか」など、さらに詳細な分析が可能です。

その分、必要となるデータが多くなり分析も複雑になるため、目的に合わせて使い分けるようにしましょう。

デシル分析を行う3つのメリット

デシル分析を採用する最大のメリットは、少ないデータで簡単に分析できる手軽さです。Excelやスプレッドシートで作業できるため、費用をかけずに行える点も特徴です。

また、10のランクに分けることで注力すべき顧客がはっきりし、行うべき施策を明確にできます。さまざまある分析方法の第一歩として活用しましょう。

1. 簡単で費用もかからない

デシル分析は専用のツールは必要なく、普段業務に用いているExcelやスプレッドシートを用いて実施可能です。そのため、専用ツールの購入やハイスペックPCの用意なども不要であり、追加の費用もかかりません。

マクロなどの高度なスキルは不要で、簡易的な関数のみで分析可能なため、手軽に行える点も特徴です。顧客と売上が紐づくデータさえあれば、既存の人材で分析が行えます。

2. 施策立案に活かしやすい

デシル分析は購入金額のみをもとにして、顧客のランク分けや傾向を検証します。そのため、結果がシンプルにまとまる点が特徴です。

優良顧客の洗い出しや属性の明確化が目的のため、マーケティングやプロモーションの改善への施策立案が容易な点もメリットです。例えば、狙っていたターゲット層と購入金額の高いボリュームゾーンが異なる場合、広告を出す場所や訴求内容を変えることで、本来届けたい顧客層にアプローチできるような施策を考えられます。

また、施策を考える際には打ち出す商品の組み合わせを意識することも重要です。関連記事「バスケット分析とは同時購入された商品から購買傾向を把握する手法!実践方法とポイントも解説」にて、売れ行きの良い商品分析の手法を解説しているため、参考にしてください。

3. 注力すべき顧客層が明確化できる

デシル分析は顧客の売上をもとにグループ分けするため、購入金額の高い優良顧客を見つけることに優れています。優良顧客にリピートしてもらうことは、売上を上げていくために欠かせません。リピートしてもらいたい顧客に必要なアプローチ方法や、訴求内容を考えていくことが重要です。

また「新規とリピート」「男性と女性」「若年層と高齢層」のようにターゲットごとの売上分布もわかるようになります。データに基づいた広告や、商品開発の投資判断が可能になる点もメリットです。

リピーターを増やしていく施策の考え方は関連記事の「リピート率とは?業界別ECサイトの平均値と向上させる施策を解説」にて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

デシル分析のやり方を4ステップで解説

デシル分析は、データ精査からランク分けしたグループの分析まで、4つのステップで行います。ランク分けしたグループをもとに「どんな傾向が読み解けるか」を分析する工程が最も重要です。データを取得する際には分析まで意識してみると、より良い検証が行えるようになるためおすすめです。

1. 分析に必要なデータを精査する

まずは分析に使用するデータを準備します。顧客IDなどの購入者情報と、注文番号や注文日などの購入内容を紐づけてください。その際に、データ収集の期間も分かるようにしておきましょう。

また、アプリや会員登録時に以下の情報も取得している場合は、顧客の購入金額と紐づけを行いましょう。

  • 年齢
  • 性別
  • 住んでいる地域

顧客分析に必要な情報量が増えることで、切り口を増やせるためです。

2. 顧客ごとの累積購入金額を計算

デシル分析は、一定期間に顧客が購入した金額の総額をもとにランク分けを行います。分析に用いる期間を決めて、顧客ごとの累積購入金額を計算します。

一人の顧客の購入履歴が複数に分かれている場合や、別顧客の売上が混同されてしまうと正しく分析できません。売上データと顧客情報が正しく紐づいているかは、再度確認しましょう。

3. 累積購入金額で10のグループに分ける

顧客ごとの累積購入金額を計算したあとは、金額が大きい順に並び替えましょう。Excelの場合、フィルターを使って降順にすることで簡単に並び替えが可能です。

その後、顧客を10等分のグループに分けていきます。500人いれば50人ずつです。1番上のグループを「デシル1」2番目を「デシル2」というように名前をつけていきます。

4. グループごとに分析を行う

グループ分けが完了したら、構成や傾向を分析していきましょう。まずは、グループごとの売上構成比を確認します。「デシル1が売上の50%を占めている」「90%の売上はデシル3までで構成されている」というように、グループ単位や売上の割合ごとに計算してみましょう。

売上構成比が分かることで、注力すべき顧客群がわかります。例えば、デシル3までで90%の売上を占めているのであれば、その3グループの顧客が買い続けてくれる仕組みを考える必要があります。

また、パーソナルデータが売上情報と紐づいている場合には、顧客属性の傾向も確認しましょう。例えば上位顧客層に40代男性顧客の割合が多ければ、ターゲットに向けた広告配信を強化していく施策が立てられるためです。

各グループごとの顧客情報を把握することで「注力すべき顧客群を明確化する」「ターゲットに適切に広告が届いているか確認する」といった現状を知り、新しい施策を判断する材料として活用していきましょう。

デシル分析を行う際の2つの注意点

デシル分析は簡易的な分析方法であるため、注意点もあります。用いているデータが売上のみであるため、期間やタイミングによって「本来求めていた結果と異なるランク分け」になってしまう可能性があります。

また、実態にそぐわない結果となる可能性もあるため、分析時は特徴を理解した上で活用してください。

1. 売上以外の要因を排除している

デシル分析は購入金額に絞って分析するため、売上以外の要素を排除している点がデメリットです。例えば時間軸を加味していないため「過去は購入頻度が高かったが直近は購入していない顧客」も優良顧客として判断してしまう可能性があります。

また累積売上金額で判断するため「どの商品が売れているのか」「購入平均単価は狙い通りか」など、どの観点に課題があるかまでは特定できません。

分析を行う際には、データと取得した期間に顧客が購入した累積金額のみしか含まれないことを把握した上で、考察していきましょう。

マーケティング施策に活用する際には、最初にデシル分析でどのグループ群に課題があるか当たりをつけましょう。課題としたグループが「直近の購入が減っているのか」「広告手法を変えたために露出機会が減ってしまっているか」など、仮説を元に必要なデータを組み合わせることで分析の質が上がっていきます。

2. 実態にそぐわない結果が出る可能性がある

分析期間が長いと、最近は商品を購入していない層が優良顧客と判断されてしまいます。反対に設定する期間が短すぎると、それまで購入金額も頻度も高かった顧客を取り逃がしてしまうかもしれません。

期間を変えながら何度も測定することで「1回だけ高額な買い物をした顧客」や「ある期間から購入していない顧客」を分析対象から外し、より実情に合った分析を行えます。

デシル分析を実践するならFORCE-R

デシル分析は累積売上金額をもとに10のグループ分けを行い、売上構成比や顧客属性を分析していく手法です。誰でも簡単に分析できる一方で、売上以外の要素が入っていない点や精度が高くない点がデメリットとして存在します。

前提条件を理解せず、デシル分析の結果だけで課題や施策を判断してしまうと、抜け漏れが発生してしまう可能性もあります。デシル分析を起点とし、さらに詳しい傾向を把握するためには他の分析方法を組み合わせることが効果的です。さまざまな視点や切り口から施策を検討するためには、専門のコンサルタントの力を借りることをおすすめします。

FORCE-Rでは専門のスタッフが、デシル分析やその他のさまざまな分析を行うことで、課題特定から改善施策の実行まで一気通貫で実施可能です。顧客分析にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ|デシル分析を用いて優良顧客層の特徴を知ろう

デシル分析は手軽にできる顧客分析の手法です。顧客分析はマーケティングやプロモーションの施策を検討するために、必要な課題特定を行う際に有効です。現状の問題を特定し、課題となっている指標を改善していくことが目的です。

そのため、分析を行うことだけに焦点を当てず「どうしたら改善するか」を考えることに注力しましょう。分析から施策立案まで自社で行うのが難しい場合は、プロに頼ることをおすすめします。

FORCE-Rでは強みである専門知識と組織体制により、手厚いサポートをお約束します。顧客分析を通じて売上向上への施策を行いたいと考えている方は、ぜひご相談ください。


記事を書いた人

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ

本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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