「トランザクションが果たしている役割は?」
「IT分野でトランザクションが活用されている事例を知りたい」
「EC用語を正しく理解してサイト運営に役立てたい」
ECサイトを運営している方なら「トランザクション」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。「トランザクション」は使い方によって解釈が変わるため、EC事業における正しい意味を理解しておくことが大切です。
本記事では、トランザクションの意味や活用事例、ECサイトで果たしている役割を解説します。トランザクションの意味を理解してECサイトの運営を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
トランザクションとは? ビジネス分野とIT分野に分けて解説
トランザクションには、大きく分けて2つの意味があります。ビジネス分野とIT分野で使われ方が違うので、文脈に応じて理解できるように、それぞれの意味を整理しておきましょう。
1. ビジネス分野
ビジネス分野でのトランザクションは「一連の商取引」を指し、商品やサービスの購入や売買契約の締結、支払い処理などのあらゆる形式の取引が含まれます。つまり、ビジネス分野では、商品受取と支払いなどの個別の行為がトランザクションです。商品を購入するケースでは「商品の受取」と「代金の支払い」が、トランザクションとして紐づけられています。
たとえばコンビニで120円のおにぎりを購入する際、代金を支払わないと商品を受け取れません。これは「おにぎりの受取」と「120円の支払い」が、トランザクションとして結びついているからです。このように複数の行為を結びつけるトランザクションがあることで、ビジネスの取引はスムーズに行われています。
2. IT分野
IT分野でのトランザクションは、データベースやオンライン取引などのシステムで、一連の操作を1つにまとめて処理する仕組みを指します。複数の操作がひとまとまりになっているため、どれか1つでも失敗すると処理は行われません。
この仕組みによりIT分野でのトランザクションは、データの一貫性と整合性を維持しながら、高精度で信頼性のあるデータ処理を可能にしています。ECサイトや銀行ATM、データベース管理など、IT分野でトランザクションが機能する領域は幅広いことが特徴的です。
その中でもECサイトにおけるトランザクションは「決済完了」を意味し、支払いまでの処理がすべて終了すると取引が成立することを指します。オンラインショップはインターネットを活用した商取引なので、トランザクションにおけるビジネス分野とIT分野の両方の意味を含んでいます。
IT分野でトランザクションを活用している事例
トランザクションの活用事例が多いのがIT分野です。トランザクションが果たしている役割を理解できるように、IT分野における活用事例を紹介しましょう。
1. ECサイトでの商品購入
ECサイトでは、主に決済でトランザクションが活用されています。顧客が商品を購入すると一時的に在庫数は減少しますが、決済方法が期限までに入力されなかったりエラーが起きたりすると、サイト内の情報は購入前の状態に戻ります。
またクレジットカード決済の場合は、入力情報をカード会社に照会して決済可能なことが確認できた時点が注文の完了です。入力間違いや限度額超過があると注文は取り消され、クレジットカードに請求は届きません。そして、一時的に減った在庫数は元に戻ります。
2. ATMの預金引き出し
ATMの現金引き出しでは、顧客の引き出し希望額以上の残高が口座にある場合は、一連の処理が問題なく行われた時点が取引の完了です。一方で残高不足の場合は引き出し処理が拒否され、口座情報は元に戻ります。
例えばATMにキャッシュカードを挿入すると、銀行のデータベースと照合されて顧客のアカウントが認証されます。そして利用者が出金する場合、口座残高が入力金額以上なら減算処理され、ATMからお金が出てくる仕組みです。
3. 予約システムの予約処理
ホテルやレストラン、飛行機などの予約システムでは、トランザクションによって利用可能な件数が管理されています。顧客が予約したい日付や時間を選択すると空き枠が減少し、情報を入力すると予約が完了する仕組みです。
もし残りの空き枠が1件の場合、誰かが日程を選択した時点でほかの利用者には「利用不可」と表示され、予約が重複しないようになっています。ただし入力が完了しなかったり決済エラーが発生したりするといった不備があると、処理開始前の状態に戻りほかの利用者も予約が可能です。
また、すべての処理が完了した時点で予約可能枠が減少する予約システムもあります。その場合は情報を入力している途中でも、ほかの顧客の処理が先に行われた時点で予約できなくなります。
4. 暗号資産(仮想通貨)の送金
暗号資産(仮想通貨)の送り手は、自分のデジタルウォレットから送金するためのトランザクションを作成します。デジタルウォレット内での送金希望額と受取人の指定により、トランザクションが作成可能です。
そして秘密鍵や電子署名によって送金承認と身元証明ができると、送金者に十分な残高があるか、署名が正しいかなどが検証されます。検証によってトランザクションが有効だと判断されると、受取人のデジタルウォレット内に暗号資産が反映される仕組みです。このように送金依頼から受取手順までが正常に行われた場合のみ、暗号資産の送金は完了します。
トランザクションの4つの特性がECサイトで果たす役割
トランザクションには4つの特性があり、それぞれがECサイト内で独自の役割を果たしています。これらの特性によって、ECサイト内での決済が正常に完了するようになっています。実際にどのような役割があるのか、具体例を用いて詳しく紹介しましょう。
1. 原始性(Atomicity)
原始性はトランザクションの全処理が正常に完了するか、失敗して何も起こらないかの2択になるという特性です。トランザクションの途中でトラブルが起こった場合は、処理が中断され元の状態に戻ります。
そのため、データベースやオンライン取引のシステム内で、情報の不整合が起こらないようになっているという仕組みです。具体例として、ECサイトでの支払い手続き中にエラーが発生した場合、注文が無効化されて在庫が元通りになる処理が挙げられます。支払い手続きに限らず、どれか1つでも不備があると処理は実行されません。
2. 一貫性(Consistency)
一貫性とは、処理前と処理後の情報に整合性が取れるようになっている特性です。トランザクション処理によって、データベースやオンライン取引のシステム内で情報が書き換えられた場合、変更内容は正確に反映されて実行前の状態には戻りません。
たとえば在庫10個の商品が3個売れたにもかかわらず、情報が適切に反映されていない場合を想定します。残り7個になるはずが10個のままだと、在庫数以上の商品が購入されてしまうかもしれません。そこで一貫性が機能することで情報が適切に管理され、在庫がマイナスにならないようになっているのです。
この仕組みで売上金額や顧客情報(配送先住所、支払い情報など)も、正確に記録されています。なお、クーポンやキャンペーンによって売上金額が変動する場合でも、一貫性によって適切に管理されています。
3. 独立性(Isolation)
独立性とは、複数のトランザクションが同時並行で行われていても、お互いに干渉しあわない特性です。トランザクションの独立性は、在庫数より多くの商品を販売してしまう事象の防止に役立っています。
たとえば在庫が1個の商品に対して、複数の顧客が購入を考えているケースを想定しましょう。1人のトランザクションが行われている間、ほかの顧客の処理は保留されて2人が同じタイミングで購入に成功しないようになっています。
また管理者が価格を変更している最中、顧客がその商品を購入する場合でも独立性により両者の操作が互いに干渉しないようにします。この機能により、すでに購入手続きに進んでいる顧客には価格変更が適用されません。
4. 永続性(Durability)
永続性とは、成功したトランザクション処理の結果が、データベースやオンライン取引のシステム内に永続的に保存される特性です。システム障害や電力の喪失のような大規模トラブルが発生した場合でも、ログを元にした再計算によって情報の整合性をキープできます。
ECサイトではトランザクションログという機能によって、商品購入にともなう在庫数の減少や売上の増加、購入者情報(注文詳細や支払い情報)がすべて記録されています。サーバーに障害が発生しても、システムが再起動または復旧すると、すべての情報を確認可能です。
ECサイトの用語をしっかりと理解したうえで運営するならFORCE-R
決済完了を意味するトランザクションを筆頭に、ECサイトの立ち上げや運営には理解すべき用語がたくさんあります。しかし用語への理解が乏しいため、ECサイト運営に不安を抱えている方がいるのではないでしょうか。
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まとめ|トランザクションなどのEC用語を理解して業務の効率化に取り組もう
ECサイトの運営を開始すると、専門的な用語がいくつも登場します。EC用語がわからない状態は、都度調べる時間が発生して仕事の進捗に悪影響を及ぼす要因です。トランザクションなどのEC用語を理解することは、業務の効率化につながります。
ただ書籍やインターネットで調べても、正確に理解できないケースがあるかもしれません。FORCE-Rでは、EC領域の専門用語や仕組みの解説を行っています。わからないEC用語が多くて悩んでいる方は、まずはお気軽にFORCE-Rへお問い合わせください。