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ABテストは意味がないと言われる理由を解説!5つの失敗要因と検証すべきポイントも紹介

「ABテストはなぜ意味がないと言われるの?」
「予算をかけずにECサイトの施策の効果検証を行いたい」
「ABテストで検証すべきポイントが知りたい」

このような疑問や希望をお持ちではありませんか。ABテストは、特定の要素を変更したページを複数用意して反応率の高さをテストすることで、より良い広告やECサイトを作っていく施策です。

本記事では、ABテストの概要やメリット、成果につなげるためのポイントについて詳しく解説します。検証すべき3つの重要箇所も紹介するため、ABテストを行うか検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

ABテストとは?実施するメリットも解説

ABテストはサイトデザインや広告をより売上につながるよう、改善していくために有効的な施策です。日々接する多くの商品やサービスで行われている、身近なテストの1つです。

ここではABテストの概要やメリットを紹介しますので、ECサイトで改善したい数値がある方は、ぜひ参考にしてください。

1. ABテストとは

ABテストは特定の要素を変更したページを2種類以上用意して、どちらのデザインや文章などが良いかを調べる手法です。スプリットテストとも呼ばれることもあり、ABテストという名前でも3種類以上のページを用意して行うことも多いです。

例えば、現在運用しているページAに対して、キャッチコピーを変更したページBを用意し、どちらの方がユーザーのクリック率が高いかを検証します。また「ボタンの色や配置を換える」「購入フォームの入力数を減らす」のように、さまざまな箇所でテストを行い、適切なページを検証していきます。

競合やトレンドの変化によって適切なページは随時変わっていくため、単発で終わらせず、繰り返し検証を行っていくのが一般的です。ABテストの手法には「ページのURLを変えない(同一URL内で変化をつける)」方法と「別ページにリダイレクトさせる」方法の2通りがあります。

ECサイトをはじめとするWebサイト内のABテストでは、URLを変えずにデザインやコピーを変更することで検証を行うことが多いです。一方で、ランディングページ(LP)の場合は、広告ごとに別ページにリダイレクトさせて検証を行うことが一般的です。検証したい項目に応じて、適切な方法を選んでいきましょう。

2. ABテストのメリット

ABテストを行うメリットとして以下の3点があげられます。

  • 低予算で検証可能
  • 作業工数も少ない
  • 定量で仮説・検証を行える

ABテストは新しいサイトを構築したり、全体を改修したりする必要はありません。部分的な変更で検証できるため、低予算と少ない労力で実施可能な点がメリットです。

また、良い結果でなかった場合も、すぐ元に戻せるためリスクを最小限にできます。さらにテスト結果は定量で把握できるため、データをもとにした仮説・検証が行える点も魅力です。

ABテストは意味がないと言われる理由

ABテストは目的を持って、正しい方法で実施を行うことで適切な検証と結果が得られます。一方で「変更する場所を増やしすぎてしまう」「サンプル数が少ない」といった場合には、本来得られる結果とは異なる内容になることがあります。

また「どの数値の改善を目的に」「どうなることを期待して行うか」が明確でない場合、検証結果が望んでいた内容と異なる場合があります。例えば、売上アップのために商品ページへの遷移率を高めたいと考えているケースで、購入フォームの検証を行ったとしても課題は解決しません。

このように、明確な目標設定とそれに伴う課題の仮説や事前に分析がないまま、ABテストを実施すると、改善につながる結果が得られません。ABテストを行う際には、正しい知識やノウハウをもとにすることで、実のある検証となります。

ABテストの効果がでなくなる5つの要因

ABテストが意味ないと言われるのには「実施目的が曖昧のため、得たい結果が出ない」「正しい方法で検証を行っていない」といった理由があります。

この章で紹介する5つの失敗要因に気をつけながら、検証に向けた設計や目的を決めることを丁寧に行うことで、意味のあるABテストの実施が可能です。これからABテストを行う方はもちろん、過去実施した際に意味を感じられなかった方も参考にしてください。

1. 課題・目的が明確でない

ABテストを行う際には、解決したい課題や目的を明確に整理しておきましょう。課題や目的が明確でなければ、どの評価項目を優先すべきか判断できません。

例えば、Aの施策では「PV数は増えたけど遷移率は下がった」Bの施策では「PV数が減ったけど遷移率が上がった」といった状態です。課題が「遷移率を上げる」と明確になっていれば、Bの施策を適用しつつPV数を増やすための新たな仕掛けを考えることで、ネクストアクションが決まっていきます。

そのため、得たい結果や課題と見立てている検証したいポイントを明確にした上で、ABテストを実施するようにしましょう。

2. 複数箇所を同時に変更している

複数箇所を同時にテストしてしまうと「どの施策が結果にどのくらい起因しているか」がわからず、解釈や判断の難易度が上がります。例えば、キャッチコピーとボタンの位置とトップページのデザインを同時に変えたページで検証し、数値改善に成功したと仮定します。

しかし、キャッチコピーとボタンの位置はプラス要因だったが、トップページのデザイン変更はマイナスの要因となっており、相殺されてプラスになっていた可能性もあります。このように検証箇所が複数あると、それぞれの影響値が正しく評価できません。

そのため、変更する箇所を1つに絞って検証を行い、影響値を確認してから他の要素のテストを行うようにしましょう。

3. 1回の検証で判断している

ABテストは、複数回繰り返すことで精度を上げていきます。単発で終わってしまうと、市場やユーザー行動の変化が捉えきれないためです。

またABテスト実施時が繁忙期やイベント時期の場合は、通常時期と異なる結果が出る可能性もあります。複数回のテストを行うことで、たまたま数値が「よかった」「悪かった」というイレギュラーな結果を排除できます。定期的に検証することで、ABテストの精度を上げていきましょう。

4. 事前に仮説を立てていない

ABテストは2〜3つ程度のページを比較し、より効果が出るパターンを探していく施策です。仮説を立てずにテストを行うと「何を改善すれば良いか」が明確にならず、成果が出るまでに時間がかかってしまいます。

現状の分析から課題や改善案の仮説を立てた上でABテストを行うことで、より良い検証が行えます。「購入率が悪いのはボタンの場所がわかりづらいから」という仮説を立て、配置やデザインを比較してみるなど、仮説に基づいた検証を行ってください。

5. サンプル数が少ない

「検証期間が短い」「ターゲットを絞りすぎている」のように、検証するサンプル数が少ないと、適切なテストにならない可能性があります。なぜなら、データの偏りや外れ値が結果に強く反映されてしまうからです。

統計的に説得力のある検証結果を出すためにも、計画段階から必要なサンプル数を見積っておきましょう。適切なサンプル数に到達できるように、期間やターゲットを決めていくことで、適切な検証が可能です。

また、2つのページで検証する場合、誰にどちら側のページを見せるかは検証者側で意思を持った分け方をせず、ランダムに行うことが大切です。

ECサイトのABテストで検証すべき3つの重要箇所

ABテストは特定の要素を比較する施策であるため、ECサイト内のさまざまな箇所で検証可能です。しかし、少ない労力で検証できるテストだとしても、細かな点まで実施してしまうと時間も手間もかかってしまいます。

ABテストを行う際には「トップページ」「ランディングページ」「入力フォーム」のような、改善した際に効用が大きい箇所を優先していきましょう。

1. トップページ

多くの訪問ユーザーは、トップページを起点にサイト内を回遊するため、Webサイト上で最も閲覧される回数が多くなります。そのため、ABテストを実施する際は最初に検討してください。

よく実施されるテストには、以下のような内容があります。

  • ヘッダーデザイン
  • おすすめコンテンツの配置
  • ナビゲーションボタンの配置や色味
  • 自社ブランド紹介
  • メインコピーの訴求

入り口のページであるため、このサイトを見続けたいとユーザーに思ってもらうことが重要です。そのため、訪問してくれた意図を推測して「目的が達成できるか」を第一に、構成を考えていきましょう。

2. ランディングページ

ランディングページは広告をクリックした後、ユーザーが最初に目にするページです。広告から訪れたユーザーの場合はニーズが弱い可能性があるため、自社や製品の魅力を短時間で直感的に伝える必要があります。

そのため、ランディングページでは以下のような項目を検証しましょう。

  • キャッチコピー
  • 画像やデザイン
  • CTA(Call To Action)ボタンの配置やテキスト

ランディングページ内のどこでユーザーが離脱しているかを調べるツールもあり、事前に確認しておくことで課題把握が容易になります。課題仮説を持った上で検証を行うことで、より早く大きな成果が得られるようになるため、事前準備も欠かさず行いましょう。

ランディングページのクリック率を高めるための方法は、関連記事の「ECサイトにLPを取り入れる5つのメリット!CV率を高める運用方法も解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

3. 入力フォーム

サイト内には会員登録や資料請求、不明点の問い合わせなどさまざまなフォームが設置されています。まずは、売上に直結する購入フォームの見直しを検討してみましょう。

入力する数が多すぎると、面倒に感じて離脱されてしまう可能性が高まります。しかし、減らしすぎると必要な情報が取得できずに、分析やリピーター施策への活用ができなくなってしまうリスクもあります。

購入フォームの検証時は、以下の項目を確認してください。

  • 入力項目の数や種類
  • 説明文の有無
  • ボタンのデザインや配置
  • 支払い方法

最初は入力する項目や数をテストして、その後にデザインや配置を変更していくことで、何度も作り直す手間が省けます。少しずつ改善しながら、最適なフォームを作成していきましょう。

ABテストの実施や分析の方法にお悩みならFORCE-Rへ相談

ABテストは特定の要素を変更したWebページやランディングページを複数用意し「どちらのページがPV数や遷移率が高いか」を検証する手法です。適切な方法で繰り返し実施していくことで、ユーザーにとって使いやすいサイトになっていきます。

ただし、仮説を立てないまま検証を行ってしまうと、意味のないテストになってしまう可能性もあります。テスト実施時には現状分析から課題を洗い出し、改善するための仮説をもとにして検証を行いましょう。

現状分析や課題特定から、ABテストの設計まで幅広い知識が必要になります。そのためABテストの一連の流れを実施する際は、専門のコンサルタントに相談することがおすすめです。

FORCE-Rでは、専門スタッフが課題特定から、検証後の分析まで一気通貫でサポート可能です。また、将来的に自社だけで検証が行えるための支援も行っています。ABテストを通じたWebサイトの改善を検討している企業担当者は、お気軽にFORCE-Rまでお問い合わせください。

まとめ|ABテストを通じて歩留まり改善や売上向上を目指そう

一度のテストで何ヶ所も検証しようとしたり、適切なサンプル数を集められなかったりすると、有益な検証データが得られません。

検証時には目的を明確化し、検証する要素を絞った上で実施しましょう。また単発で終わらせず、複数回繰り返してPDCAを回していくことで課題が改善していきます。正しい検証を設計するためには、専門家のサポートを受けることがおすすめです。

FORCE-Rでは強みである専門知識と組織体制により、手厚いサポートをお約束します。ABテストの実施を検討している方は、ぜひご相談ください。

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ:本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。 その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。 楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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