D2Cとはメーカーが消費者に直接販売するビジネスモデル!メリットや成功事例も解説

「EC事業の収益性を高めるためにD2Cを導入したい」
「D2Cの活用している企業の実例が知りたい」
「D2C事業を成功させるためのアドバイスが欲しい」

D2Cに関して上記のようにお悩みではありませんか。D2Cは「高い収益性」と「顧客のファン化」を武器としたビジネスモデルです。これまでの販売方法では知り得ない顧客情報の入手や、ユーザー個々との密度の高い接点を築けることが特徴です。

本記事では、D2Cを導入するメリットから注意点、業界別の成功事例までを詳しく解説します。D2C事業を確実に成功させたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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D2Cとは?必要とされる背景と市場規模も解説

商売を行う際の販売形態は、いくつものパターンが存在しますが、D2Cは「DtoC」とも呼ばれ一般消費者に向けたビジネスモデルです。ここでは概要から市場規模まで、D2Cの基本情報を解説していきます。

1. D2Cとは

D2C(DtoC)とは「Direct to Consumer」の略称で、卸売業者や小売店を経由しない販売方法です。製造元の企業(メーカー)が直接消費者と取引を行うことで、小売店(販売店)などへの中間マージンが不要となります。

また自社独自の顧客データを分析することが可能で、マーケティングなどの施策に生かせる点がメリットです。2010年ごろにアメリカで普及し始めたD2Cは、近年は国内でも定着しつつあります。企業から消費者に向けた取引形態「BtoC」と混同されがちですが、D2Cとは中間業者が介在する点が大きく異なります。

BtoBやCtoCなどを含めたECの種類については、関連記事の「ECの種類はどんなものがあるの?取引形態・構築方法・販売方法ごとに紹介」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2. D2Cが必要とされる背景

D2Cが必要とされる背景には、インターネットやスマホの普及があります。気軽にインターネットに触れる機会が増えたことで、一般消費者におけるECへの抵抗感が減りました。またSNSやWeb広告が普及したことで、製造元が一般消費者との直接的な接点を容易に持てるようになったこともD2Cが普及した原因の1つです。

消費者と直接つながることで、細分化するユーザーニーズの収集や自社商品の魅力を伝えやすいメリットがあります。製造ツールの発達に伴い小ロットの商品開発が可能となったため、中小企業でも参入しやすい環境が整っています。

3. D2Cの市場規模

D2Cモデルの主な販売手法であるECの市場は、2022年前年比9.91%増の22.7兆円を記録しました。「売れるネット広告社」では、ネットを通じて自社商品を消費者に直接販売する事業を「デジタルD2C」と定義して、以下のような市場規模の動向調査結果を発表しています。

引用元:売れるネット広告社

2019年に2兆円を突破したデジタルD2Cの市場規模は、2025年には3兆円を超えると予想されています。この結果を受けてEC市場とともに、D2Cは右肩上がりで規模を拡大しているビジネスモデルです。

参照元:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

D2Cを導入する3つのメリット

数年で急速な広がりを見せているD2Cですが、参入することにどのような利点があるのか、具体的に理解しておきましょう。そこで、ここではD2Cを導入するメリットを3つ解説していきます。

1. 高い収益性

D2Cのメリットは「高い収益性」にあります。製造者(メーカー)と消費者が直接やり取りし、卸売業者や小売店が介在しないため手数料のカットが可能となり、高い利益率を実現可能です。

カットできた手数料の費用を割引して消費者に還元することも可能なため、競合他社との価格競争においても有利となります。また商品やサービスはもちろん、自社のコンセプトに共感した消費者と直接的な接点を確保できる点も高い収益性につながります。

商品や販売元企業に対する満足度が高ければリピート率を高められるので、広告費を掛けることなく売上の確保が可能です。

2. 顧客データの収集が容易

D2C取引では、顧客データを収集・蓄積できる点もメリットです。商品購入時に会員登録してもらうことで、顧客の住所や名前のほか、電話番号やメールアドレスも取得できます。

これまで一般的であったBtoCにおいて顧客情報は、直接消費者と接する販売業者しか得られませんでした。販売元企業が直接消費者とつながれる、D2Cならではのメリットと言えます。

得た顧客情報をもとにメルマガや新商品の情報を発信できるため、継続的な接点を持てます。年齢や性別、住所などの顧客情報は今後のマーケティングにも生かせるので、積極的に収集していきましょう。

3. 商品開発や販売方法に消費者の声を反映させやすい

自社で商品の開発から製造・販売までを手掛けるD2Cでは、スピード感を持って消費者の声を反映できます。新商品の開発や既存商品の修正、販売方法の改善などにリアルな意見を反映しやすい点がメリットです。

D2Cでは主に自社ECサイトで販売するため、消費者のサイト内行動を細かく分析できます。そのため、ユーザーニーズを強く意識した商品開発や消費者の利便性に重きを置いたサイト構築が可能です。

また、自社で販売までのすべてを手掛けることでキャンペーンや割引も独自の判断で行えるため、ユーザーニーズに刺さりやすい施策を打ち出せます。このようにD2Cを導入することで、消費者の共感を得やすい商品の開発や施策を行えることが特徴です。

D2C導入の際の注意点

D2C取引へ参入する際は、注意すべき点も存在します。デメリットとなる点を事前に把握しておくことで、自社における課題の発掘や対策も可能となるので、理解を深めておきましょう。

1. 販売するプラットフォームの整備が必要

D2C取引を行う際には「販売するプラットフォーム」すなわち自社ECサイトが必要です。所有していない場合は、新たにECサイトを構築しなければなりません。自社ECサイトの構築は、低予算で行えるものから大規模な投資を必要とする方法までさまざまです。

そのため、必要な機能や理想とするサイト像を具現化しておきましょう。立ち上げた後も維持やメンテナンス費用が掛かるため、D2C事業を始めるには中長期的なコストの確保が必要です。

ECサイトの立ち上げ方法については、関連記事の「ECサイトを立ち上げる手順を7つのステップで解説!構築方法5選と注意点を4つ紹介」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2. 収益が安定して事業が軌道に乗るまで時間が掛かる

D2Cは、自社の商品やサービスはもちろん、コンセプトに共感してくれる「ファン」を育成するビジネスモデルです。そのため、収益を上げて運営を安定させるためには時間が掛かることを理解しておきましょう。

ブランドの立ち上げやEC取引を1から始める場合は、特に時間が必要となります。消費者を惹きつける「ブランド力」や「社会への知名度」を高めなければならないためです。例えば知名度を上げるために、検索エンジンでの上位表示を狙う「SEO対策」を行った場合、効果が現れるまでに約3ヶ月〜半年程度の期間を要します。

またブランド力を強化するには、商品やサービスの質を高めるほかに競合他社と差別化する施策が必要です。一朝一夕にブランド力を上げることは難しいので、時間をかけて取り組みましょう。

【業界別】D2Cの成功事例

ここでは、業界別にD2C取引の成功事例を紹介します。他社の成功事例を分析することで、自社でも取り入れられる手法や課題の発見につながります。

1. アパレル|FABRIC TOKYO

「FABRIC TOKYO」はスーツからジャケット、チノパンまでビジネスウェア全般を手掛けるメーカーです。従来は店舗を訪問しての採寸が必須であった「オーダーメイドスーツ」をスマホで完結可能とした企業です。

その手軽さと親しみやすさを武器に、テーラーに対して感じる「敷居の高さ」を排除しつつ、D2C最大のメリットといえる「安価での提供」でスーツを扱う競合他社との差別化に成功しました。

消費者の自宅へ訪問しての採寸も実施しているため、顧客とのリアルな接点を築くことにも重きを置いています。オーダースーツをより身近で手軽に手に入れてもらうために始めたスマホ完結型の販売手法は、インターネットとスマホが普及した現代にマッチした事業戦略です。

2. 化粧品|BULK HOMME

「BULK HOMME」は、男性向けの化粧水や乳液といったメンズスキンケアの商品を取り扱う企業です。品質とパッケージのデザインへ徹底的にこだわり、ブランド力を伝えるコンセプトを掲げています。

知名度を上げるための施策としては、著名人やインフルエンサーを広告へ起用。同時に自社の魅力やビジネスウェアに関する悩みを解決するべく、オウンドメディアでの発信にも力を入れており、SEO対策も実施して知名度を高めています。

また、BULK HOMMEでは単品販売だけでなく定期購入コース(サブスクリプション)も提供しており、継続的な顧客との接点を構築しています。

3. 食品|CRAFT X

「CRAFT X」は、2020年1月に創立された日本発のクラフトビールブランドです。「日本のモノづくりとテクノロジーの融合」をテーマに掲げてブランド力を育成中です。

CRAFT Xの施策の特徴は「メーカーと消費者の距離感の近さ」にあります。D2Cモデルの特徴ともいえる点を武器にテスト販売を重ねて、消費者に対してアンケートを実施。消費者からのリアルなフィードバックをもとに、商品開発に取り組んでいます。

主力商品の「クリスタルIPA」は、発売から1年7ヶ月で6回もの調整を入れるなど、消費者の意見を確実に商品に落とし込んでいます。消費者の声を商品開発から販売までに反映させやすい、D2Cだからこそ実現する取り組みです。

D2C事業を成功させるサポートならFORCE-R

D2Cビジネスを始めるには、自社で管理するECサイトが必要不可欠です。ECシステムを立ち上げて、ユーザーファーストなECサイトを構築するには、高度な技術と多岐にわたる知識が求められます。

FORCE-Rでは、クライアントの状況をヒアリングした上で、最適なECシステムの構築をサポートします。経験豊富な専門コンサルタントが専属でサポートしますので、知識と技術に不安な場合でも安心してご相談ください。

また、20万人以上のモニターを活用して消費者視点での課題発掘も可能です。これまでのノウハウやデータを共有することで将来的な内製化も目指せますので、D2C事業をすばやく軌道に乗せたい企業さまは、ぜひ以下のリンクからお問い合わせください。

まとめ|D2Cは消費者の声を商品に反映させ収益性も高められる取引形態

D2Cは、主な販売方法であるEC市場と同様に拡大中です。自社が開発から販売まで手掛ける「D2C」であれば、インターネットの普及とともに細分化したユーザーニーズへ柔軟に対応できます。

また、卸売業者や小売店などを仲介せず顧客とダイレクトにつながれるため、商品やサービスに対する評価を直に受け取れます。小ロットでの商品開発を可能とする製造ツールも普及し始めているため、事業規模の小さい中小企業でも参入可能です。

自社の商品やサービス、コンセプトに共感するファンを獲得できれば少ない広告費で売上を伸ばせる上、販売店へのマージンがなくなるため高い収益性を誇ります。D2C事業に関してお悩みをお持ちの企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。


記事を書いた人

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ

本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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