「CXを向上させてリピーター獲得につなげたい」
「CX向上施策のKPIはどのように設定すれば良い?」
「EC事業でCX向上につながる具体的な施策が知りたい」
自社のCX向上にあたって、上記のような疑問や悩みを抱えていないでしょうか。CXはユーザーが商品そのものや企業へ抱くイメージに関係しており、売上に直結する重要な要素です。
本記事では、ECにおけるCX向上のメリットや施策の手順を解説します。「ブランドのイメージアップを図りたい」「安定的に売上を得たい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
CXとは商品購入におけるユーザーの体験
CXとは「Customer Experience」の略で、商品に関わるすべての顧客体験を重視するというマーケティングの考え方です。「顧客体験価値」とも呼ばれ、商品の購入やサービス利用における「総合的な体験」や、ユーザーが一連の経験を通して評価する「価値」を指します。
CXにおいては、以下のようなすべての体験が評価対象です。
- 購入前のサイト閲覧
- 購入時の決済手続き
- 実際の使用
- 購入後のサポート
CXを向上させるには、価格や機能など商品そのものの「合理的価値」だけでなく、体験を通して得られる満足感や喜びなどの「感情的価値」も重要とされています。
CXが重視される理由
CXが重視されるのは、ユーザーが商品や企業へ抱くイメージが売上に大きく影響するためです。CXが売上に影響するようになった背景として、消費スタイルの変化が挙げられます。
以前は、商品の価格や機能などの合理的価値を重視する「モノ消費」でした。しかし近年では、価格や機能に大きな差のない商品が市場にあふれており、以前のような差別化が難しくなっています。そこで、商品の購入で得られる体験重視の「コト消費」へとシフトし、感情的価値への注目が高まりました。
さらに現在では、感情的価値を重視する「トキ消費」「イミ消費」にシフトしています。SNSにより体験を分かち合う「参加性」や、環境保全への「貢献意識」など、商品を通じてユーザーの感情的なニーズを満たすことが重要です。
CXの中でも特に感情的価値に着目し、ユーザーが体験を通して感じる満足度や信頼を高め、競合との差別化を図りましょう。
CX向上による3つのメリット
CX向上のためには具体的なメリットを理解したうえで、利益を得られるような施策の立案が必要です。ここでは、CX向上による具体的なメリットを3つ紹介します。効果的な施策を立案できるよう、CX向上のメリットを理解しましょう。
1. リピーターの獲得
CX向上は、リピーターの獲得に効果的です。ユーザーは商品の購入に伴う体験を通じて満足感が得られると、同じプロダクトをくり返し購入しやすくなるので、安定的な売上を確保できます。
またCX向上により、ユーザーの競合商品への乗り換え防止が可能です。商品の価格や機能に大きな違いがなければ、ユーザーはCXが優れた方を選びやすくなります。一度商品を購入したユーザーにリピーターになってもらうには、以下のような体験の提供が有効です。
- 予定通りの配達
- 問い合わせや返品時の対応が丁寧
- 購入者限定のキャンペーンがある
- 誕生日クーポンが届く
商品を購入したユーザーの満足度を高める施策を行えば、リピーターを獲得するとともにLTVの向上が狙えます。
2. ブランドのイメージアップ
CX向上に取り組むことでユーザーからの信頼度が高まり、企業のブランドイメージがアップします。ブランドに対して好意的なイメージを持ったユーザーは、ファン化しやすいことが特徴です。ファンを獲得すれば、商品の価格やスペックを変更した際に、顧客離れが起きるリスクが低くなります。
ブランドのイメージアップにつながる体験の例は、以下のとおりです。
- LPが魅力的
- ECサイトの操作性が良い
- 商品の特徴がわかりやすい
またファンになったユーザーは、同じブランド内で他の商品も購入する可能性が高くなります。上位モデルを勧める「アップセル」や、別商品とのセット購入を促す「クロスセル」が成功しやすく、客単価アップをねらえます。
アップセルとクロスセルの施策については関連記事の「アップセルとクロスセルの意味や違いを解説!売上向上につながる3つのポイントや成功事例も紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
3. 口コミによる宣伝効果
CX向上によりファン化したユーザーは、商品や企業に対して好意的な口コミを発信してもらいやすくなります。購入者による口コミの宣伝効果は高く、新規ユーザー獲得への貢献が期待できます。
ファン化したユーザーは、ECサイトへのレビュー投稿だけでなくSNSを通じて口コミを発信するケースが多く、購入者の意見が拡散されやすいことが特徴です。また口コミの拡散によって商品や企業への認知度が高まりやすいため、広告コストの削減につながります。
ただし、ネガティブな口コミも同様に拡散されやすいことに注意してください。好意的な口コミが増えるようCX向上の施策を継続的に行い、ユーザーが満足する体験を提供し続けることが重要です。
SNSを活用してCX向上を図る方法については関連記事の「ECサイトの集客に効果的な5つのSNS運用方法!具体的なメリットと注意点も解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ECにおけるCX向上の施策5ステップ
CX向上のためには、ユーザーの体験に対する理解はもちろん、現状の課題に沿った施策の実施が必要です。ここでは、CX向上のために行うべき施策の具体的な手順を5つ解説します。CX向上に向けた施策を行う際に、ぜひ参考にしてください。
1. ペルソナの設定
効果的なCX向上施策を行うには、商品を購入する際の一連の体験におけるユーザーの価値観を正しく理解する必要があります。ユーザーの価値観を理解するためには、詳細なペルソナの設定が重要です。
ペルソナを設定する際は、企業目線で想定したターゲット層だけでなく、既存のユーザー情報や市場調査のデータを利用しましょう。より実際の顧客に近いペルソナを設定すれば、ユーザーの価値観を理解しやすくなります。
市場のデータは、以下のような方法で収集が可能です。
- SNSで感想や不満などの意見を収集
- ユーザーへのアンケート実施
- カスタマーサービス部門のデータを収集
設定したペルソナの価値観を洗い出す際は、以下のような心理状況を想定します。
- 商品を選ぶ理由
- 好感を抱く体験
- 不満に思う点
ユーザーの価値観を的確に理解し、効果的なCX向上施策の立案につなげましょう。
2. カスタマージャーニーマップの作成
「カスタマージャーニーマップ」とは、ペルソナが商品を購入するときの一連の行動を、時間軸に沿って表した資料です。ユーザーの行動ごとの心理状況を理解し、効果的なCX向上施策を立案するために作成します。
カスタマージャーニーマップは、書籍やWeb上で配布されているテンプレートを使用して作成が可能です。また、作成したカスタマージャーニーマップは定期的に見直す必要があります。
市場やユーザーを取り巻く環境は常に変化するため、四半期ごとなどと見直す頻度を設定し、アップデートして使用しましょう。
カスタマージャーニーマップの作成方法については、関連記事の「カスタマージャーニーが意味ないのは作成方法の問題!効果を高める5つの注意点を解説」にて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
3. 現状の見直しと課題の設定
カスタマージャーニーマップをもとに、自社で現在実施している顧客対応や課題を洗い出します。ペルソナが商品を購入するときの各行動において「自社がどのメディアや広告でアプローチしているか」「どのような顧客対応を実施しているか」をまとめましょう。
ユーザーが期待している体験と現在の顧客対応の差から、CX向上に向けた課題を設定します。適切な課題を設定するためには、ユーザー視点からの自社の評価が重要です。
「実際のユーザーの意見を収集する」「分析ツールを利用する」といった方法で客観的な評価を集めたうえで、早急に取り組むべき課題を設定しましょう。
4. KPIの策定
課題の設定と併せてKPI(数値目標)を策定しましょう。CXは感情的価値を含むため、そのものを数値化して評価することが難しいという特性があります。CX向上施策の効果検証や改善には、数値として測定できる指標を用いての評価が必要です。
CX向上施策の評価には、一般的に以下のようなKPIを策定します。
- CV率(購入率)
- LTV(顧客生涯価値)
- NPS(顧客推奨度)
- CS(顧客満足度)
- 解約率
CX向上のためには明確なKPIを決めて施策を行うほか、効果検証と継続的な改善が必要です。
ECサイトにおけるKPIの策定については関連記事の「ECサイトに導入するべき7つのKPI!設定方法やKGIとの違いも紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
5. 戦略策定と継続的な改善
KPIの達成に向け、具体的な戦略を策定しましょう。CX向上には、個々のユーザーのニーズに対応する「One to Oneマーケティング」の施策が効果的です。
One to Oneマーケティングの例としては、以下のような施策が挙げられます。
- メルマガ配信
- レコメンデーション
- リターゲティング広告
- LPのセグメント配信
- DM送付
個々のユーザーへ対応するには膨大な手間がかかるため、MA(マーケティングオートメーション)やWeb接客ツールなどを利用して効率化を図ることがおすすめです。CX向上を目指すには同じ施策を続けるだけでなく、PDCAサイクルを回して継続的に改善しましょう。
EC事業におけるCX向上施策の成功事例
CX向上施策を行い、CV率をアップさせたEC事業の成功事例を紹介します。成功事例におけるユーザーの心理状況や感情的価値に着目し、CX向上戦略を策定する際の参考にしてください。
1. レコメンデーションによりCV率2.75倍【ナノ・ユニバース】
株式会社TSIホールディングスが展開するブランド「ナノ・ユニバース」は、実店舗だけでなく自社ECサイトでもアパレルを販売しています。サイトを訪れたユーザーの購買意欲は高いものの、離脱してしまう潜在顧客の多さが問題でした。
そこで、潜在顧客にアプローチする施策として「レコメンデーション機能」を実装しています。商品をお気に入り登録したユーザーに対し、クーポンを提示することでCV率が2.75倍にアップしました。
実店舗で行っているような顧客への「声かけ」をECサイト内で実現し、ユーザーの購入を後押ししたことがCV率アップの要因と考えられます。
2. 口コミの掲載でCV率1.16倍【ヤッホーブルーイング】
株式会社ヤッホーブルーイングでは、自社ECにてクラフトビールの定期宅配サービスを販売しています。1年間と長期のサブスクリプションサービスのため、契約をためらうユーザーの取りこぼしが課題でした。
そこでSNS上の口コミをECサイトに表示させるシステムを取り入れ、購入者の率直な意見を前面に出したところ、CV率が1.16倍に向上しています。そのほかに「直接SNS上でコミュニケーションを取る」「投稿を促すキャンペーンを実施する」といった方法で口コミを喚起させています。
またSNS上や既存ユーザーにアンケートを取ってNPS(顧客推奨度)を計測し、熱量の高いファンを獲得する試みを続けていることも、高いCV率を維持している要因です。
EC事業のCX向上施策ならFORCE-R
CX向上のためには、商品購入におけるユーザーの心理状況を分析し、個々のニーズに沿った対応を行いましょう。FORCE-Rでは独自の「定量×定性」の分析により、ユーザー視点を可視化することで、CX向上における課題設定と戦略策定が可能です。
CX向上施策にお悩みの方は、ぜひFORCE-Rへお問い合わせください。経験豊富な専門コンサルタントがクライアント様と密に連携を取り、CX向上施策の立案やサポートを行います。
CX向上にはユーザー視点の分析が鍵
CX向上が実現するとリピーターが増え、継続的な売上や新規ユーザーの獲得が期待できます。CX向上のためには自社の顧客対応をユーザー視点から評価し、適切な課題やKPIの設定が重要です。
FORCE-Rではクライアントが抱えている課題を分析し、最適なKPIを設定できるようアドバイスいたします。ユーザー視点の分析やKPIの設定にお悩みの方は、お気軽にFORCE-Rへご相談ください。CX向上に向けて、専門コンサルタントが併走してサポートいたします。