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景品表示法とは不当な広告や景品を禁止する法律!2つのルールや注意すべき場面も紹介

「ECサイト立ち上げにあたり景品表示法に注意する必要はあるの?」
「法律内に出てくる言葉の定義が知りたい」
「知らずに違反しているか不安なので確認したい」

このような疑問や不安をお持ちではありませんか。景品表示法はECサイトを運営する方が、商品の説明文や広告出稿を行う際に気をつけるべき法律の1つです。違反した場合には、措置命令や罰金の可能性もあります。

そこで本記事では、景品表示法内にある2つのルールを詳しく解説します。具体的な事例も紹介していくため、自社ECサイトや広告の表現が問題ないかを確認してみましょう。景品表示法の理解に不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。

景品表示法とは不当な広告や景品を禁止する法律

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」であり「景表法」と略されることもあります。虚偽・誇大広告や過度な景品提供の制限を行うことで、消費者が自主的・合理的に、商品やサービスを選べるような環境作りが目的です。

例えば、実際には調査していないが「売上No.1」と表記しているケースや、もともと5,000円で販売していたが「通常価格10,000円が今だけ半額」と記載している場合が該当します。

この場合、根拠のない広告や価格表記に意識がいき、商品やサービスの価値を消費者が正しく判断できない可能性があります。商品購入時に高額な「金券」や「プレゼント」を渡すことも、品質が十分でなくても景品があることで商品を買ってしまうことがあるため、制限対象です。

景品表示法に違反した際には、訂正および再発防止策の徹底である「措置命令」や罰金にあたる「課徴金納付命令」を受けます。違反内容が悪質だった場合や再発を繰り返す場合には、事業停止となる「差止請求」が行われる可能性もあります。

ステマ規制のような法律内に新しく追加されるルールもあるため、常に情報をアップデートし続けましょう。ステマ規制の具体的な内容については、関連記事の「ステマ規制の対象となる3つのケース!罰則と違反を防ぐ4つの対策も紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

景品表示法の2つのルール

景品表示法は、消費者の利益を守るために、不当な表示と過度な景品への制限を定めた法律です。違反した場合には措置命令や課徴金の罰則があるため、正しい表現や運用を心がけましょう。

ここでは、景品表示法にある2つのルールを詳しく解説していきます。現在のECサイト担当者はもちろん、これから始める方もぜひ参考にしてください。

1. 不当な表示の禁止

消費者が商品やサービスの購入を判断する際に合理的な決定を行えるよう、品質や価格などの必要な情報を正しく伝える必要があります。不当な表示の禁止は、消費者保護のために、実際よりも著しく優良または有利であると見せかける表示を規制する法律です。
不当な表示とは、以下の3つを表します。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • 商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示
引用元:消費者庁|表示規制の概要

優良誤認は、品質や規格など商品やサービスの「内容そのもの」について、有利誤認は価格や特典など「取引条件」について規制されています。故意でない場合でも違反となってしまうため、表現には十分注意してください。

2. 景品類の制限および禁止

過度な景品がなければ買うことのなかった商品を、消費者が購入してしまう可能性を下げるための法律が「景品類の制限および禁止」です。景品類の総額や最高額を定めることで、消費者が合理的な判断のもとで購入できる環境を整えています。

景品類とは、消費者を呼び込み購入を後押しする手段として渡す物品や金銭を指します。具体的には「商品券や金券」「旅行券やチケット」が該当しますが、値引きやアフターフォローは景品類には含まれません。

「景品類の制限および規制」の法律内には、4つの場面ごとに分けた規制内容が明記されており、商品の渡し方や業種によって適用する法律が異なります。

参照:消費者庁|景品規制の概要

景品表示法で禁止されている3つの「不当な表示」

景品表示法で禁止されている不当な表現には、3つの種類があります。商品やサービスごとに該当する項目が変わるため注意してください。

また「その他誤認されるおそれのある表示」は、環境変化に合わせて内容がアップデートされています。一度勉強したら終わりではなく、常に正しい情報を確認するようにしましょう。

1. 優良誤認表示

優良誤認表示は商品やサービスの規格や品質など、内容に関する不当表示を指します。景品表示法内では、以下のように定義されています。

  • 内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
  • 内容について、事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
引用元:消費者庁|表示規制の概要

1つ目の表示には「カシミア混合率が50%だが100%と表記している」「無添加と記載したが、実際には添加物が入っている」などがあげられます。本来の商品よりも、優れた品質だと誤認させる表示を規制します。

2つ目は「適切な指標を用いずに合格実績1位と記載する」「自社限定と記載しているが、実際には他社も使用していた」といった内容です。事実と異なる内容で、競合他社よりも優れていると誤認させる表示を規制します。

その他にも、よくある誤認内容として以下のようなものが存在します。

  • 原産地
  • 製造方法
  • 受賞の有無

内容を正しく伝えることはもちろん、適切な調査がないまま競合他社と比較を行うことも、法律に抵触するリスクが高まるため注意してください。

2. 有利誤認表示

有利誤認表示は、価格や保証など取引条件に関する不当表示を指し、景品表示法では以下のように定義されています。

  • 取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
  • 取引条件について、競争業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
引用元:消費者庁|表示規制の概要

1つ目の表示には「安心3年保証と記載したが無料保証は1年だけ」「特別価格と書いてあるが、普段からその価格で販売している」などがあげられます。消費者が実際に受けられる特典と異なる場合や、支払う金額が変わる場合には表示方法に気をつけましょう。

2つ目は「内容量が他社商品の2倍と記載してあるが実際は同程度」「他社比較No.1の安さと書いてあるが、実際は調査をしておらずに安くなかった」などが該当します。不当な表示と同様に取引条件において、競合他社よりも優れていると誤認させる表示を規制しています。

取引条件は価格や保証のほかにも、支払い条件やアフターサービスなどが存在しているため、表示内容に問題がないか幅広く確認しておきましょう。

3. その他誤認されるおそれのある表示

変化を続ける社会の中で、優良誤認表示と有利誤認表示だけでは対応しきれない場合が多々あります。そのため内閣総理大臣の権限で、具体的なケースについて新たに不当表示を指定することできるようになりました。

令和6年時点だと、以下の7つが優良誤認・有利誤認以外の不当表示に該当します。

  • 無果汁の清涼飲料水等についての表示(昭和48年公取委告示第4号)
  • 商品の原産国に関する不当な表示(昭和48年公取委告示第34号)
  • 消費者信用の融資費用に関する不当な表示(昭和55年公取委告示第13号)
  • 不動産のおとり広告に関する表示(昭和55年公取委告示第14号)
  • おとり広告に関する表示(平成5年公取委告示第17号)
  • 有料老人ホームに関する不当な表示(平成16年公取委告示第3号)
  • 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年内閣府告示第19号)
引用元:消費者庁|表示規制の概要

環境の変化に伴い、新たな内容が増える可能性もあるため、適宜確認するようにしましょう。

景品表示法「景品類の制限および禁止」に注意すべき4つの場面

「景品類の制限および禁止」は、4つの内容があり、懸賞の種類や業種によって規制内容が異なります。消費者のためを思って購入特典を豪華にしていたとしても、景品表示法違反に該当する可能性があるため、事前に内容を把握しておきましょう。

具体例と合わせて解説するので、内容を理解して違反のリスクを抑えてください。

1. 一般懸賞

懸賞とは「くじなど偶然性を用いて定める方法」と「特定行為の優劣または正誤によって定める方法」の2通りがあります。前者はじゃんけんや当たり付きのお菓子、抽選会を指します。後者は、クイズの正誤や競争・競技によって優劣をつける方法です。

一般懸賞は、以降で解説する共同懸賞以外の場合を指します。具体例として、以下のような場面が想定されます。

  • 商品購入時に渡す抽選券を利用する抽選会
  • 特定の宝箱のみに当たりが入っている宝探しゲーム
  • クイズ大会

一般懸賞における景品の最高額については、広告制限告示で以下のように定められています。

  • 取引額が5,000円未満:取引価格の20倍
  • 取引額が5,000円以上:10万円

例えば、宝探しゲームの参加費が500円であれば、景品の最高額が500円×20倍=10,000円までとなります。なお、景品が複数ある場合の総額に関しては、懸賞に係る売上予定総額の2%までと定められています。100人が参加予定であれば、500円×100人=50,000円までです。懸賞の景品を用意する際は、最高額・総額の両方に注意してください。

参照:消費者庁|「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について

2. 共同懸賞

多数の事業者が共同で実施する懸賞であり、以下の3つの場合を指します。

  • 一定の地域における小売・サービス業者の相当多数が共同して行う場合
  • 一定の商店街における小売・サービス業者の相当多数が共同して行う場合
  • 一定の地域における一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合
引用元:消費者庁|懸賞による景品類の提供に関する事項の制限

一定の地域は1つの市区町村、相当多数は過半数が目安となります。それぞれ具体例をあげると1つ目は「商工会議所」、2つ目は商店街で開催する「夏祭りセール」、3つ目は「地酒フェスタ」や「ラーメン祭り」です。

最高額は取引額にかかわらず30万円まで、総額は懸賞に係る売上予定総額の3%までとなっているため注意しましょう。

3. 総付景品

一般消費者に対し、「懸賞」によらずに提供される景品が「総付景品(そうづけけいひん)」です。「ベタ付け景品」と呼ばれることもあります。商品やサービスの購入者や来店者に対して、もれなく全員に景品を提供する場合が該当し、先着順の場合も含まれます。

景品類の最高額は、以下のように定められています。

  • 取引額が1,000円未満:200円
  • 取引額が1,000円以上:取引価格の20%

ただし、以下の場合は景品として渡す場合も上記の制限は適用されません。

  • 商品の販売若しくは使用のため又は役務の提供のため必要な物品又はサービスであ って、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
  • 見本その他宣伝用の物品又はサービスであつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
  • 自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する 証票であつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
  • 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであつて、正常な 商慣習に照らして適当と認められるもの
引用元:消費者庁|一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限

「家具の配送や演劇でパンフレットの配布」や「化粧品の試供品やジムの無料体験」が具体例としてあげられます。ECサイト内で試供品や購入特典を渡す場合には、事前に法律上問題がないか確認を行いましょう。

4. 業種別景品告示

以下4つの特定業種においては「一般懸賞」「共同懸賞」「総付懸賞」の3つの規制だけでなく、追加で提供できる景品類の規制が設けられています。

  • 新聞業
  • 雑誌業
  • 不動産業
  • 医療品医薬品業、医療機器業および衛生検査

例えば、新聞や雑誌のアンケートやクイズの場合は、上限額が3万円までです。これら4業種にあたる事業者の方は、事前に告示を確認しておきましょう。

参照:公正取引委員会|新聞業における景品類の提供に関する事項の制限
参照:公正取引委員会|雑誌業における景品類の提供に関する事項の制限
参照:公正取引委員会|不動産業における一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限
参照:公正取引委員会|医療用医薬品業,医療機器業及び衛生検査所業における景品類の提供に関する事項の制限

景品表示法を守れているかお悩みならFORCE-Rへ相談

景品表示法には「不当表示の禁止」と「景品類規制」の、2つのルールが存在しています。違反した場合は、措置命令や課徴金の納付が必要となり、最悪の場合は差止請求のリスクも発生します。

法律内容を正しく理解し、適切な運用や表現を用いることが必要です。しかし法律内では専門用語も多いため、自社に景品表示法に詳しい方がいない場合は、判断に迷うこともあるでしょう。

そのため、表記内容に不安を感じた場合は、早めにプロに相談することがおすすめです。FORCE-Rでは専門スタッフによる表現方法に関する相談はもちろん、法律内容に沿った運用のアドバイスが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ|景品表示法を正しく理解し、消費者から信頼される商品やサービスを届けましょう

景品表示法は誇大・虚偽広告や過大な景品で、消費者が本来の品質や価格ではない部分によって、合理的でない判断を行うリスクを減らすための法律です。

ステマ規制など、社会の変化に合わせて新たな規制内容も増えているため、常に情報をアップデートし続ける必要があります。景品表示法に不安な点がある場合は、お気軽にFORCE-Rにご相談ください。専門のスタッフがクライアントに合わせた運用や、違反防止策の策定をサポートいたします。

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ:本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。 その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。 楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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