リテールメディアとは小売事業者が展開する広告媒体!導入メリットや成功事例を解説

「自社メディアやアプリを活かした広告配信の方法が知りたい」
「データを活かした精度の高い広告配信を行いたい」
「売上が停滞しており、新たな収益源を得たい」

このような要望をお持ちではありませんか。小売店が提供する広告媒体である「リテールメディア」を活用すれば、精度の高い広告配信が可能です。また、広告枠を販売することで本業とは別の収益を得られます。

本記事では、リテールメディアが注目された背景や利用者別のメリットを詳しく解説します。広告配信方法も合わせて紹介するため、リテールメディアに取り組みたい担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

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リテールメディアとは小売店が提供する広告媒体

リテールメディアとは、小売業を営む企業が提供する広告媒体のことです。メーカーやブランドが広告主として、小売店が運営するメディアに出稿する仕組みです。ECサイトやアプリのようなオンライン広告と、デジタルサイネージや店頭ポップのようなオフライン広告の両方が存在します。

小売業で収集した消費者の購買データや利用情報をもとに、ターゲットであるユーザーへ精度の高い広告配信を行える点が利点です。小売店側も新たな収益を得られる仕組みとして、近年注目が集まっています。

似た戦略として、オンライン・オフラインで得られる顧客接点データを統合することで、効果的なマーケティングを行うオムニチャネルという手法があります。オムニチャネルは企業視点の戦略であるのに対し、リテールメディアは広告主と小売店、顧客のそれぞれの視点から考える戦略である点が違いです。

オムニチャネルについては、関連記事「オムニチャネル戦略の5つの効果と実行方法を5ステップで解説【成功事例も紹介】」で詳しく解説しているため、こちらもぜひ参考にしてください。

リテールメディアが注目される3つの背景

リテールメディアは、個人情報規制の高まりやメディア活用方法の変化に伴い、近年注目を浴び始めました。アメリカと比較すると日本での市場規模はまだまだ小さいものの、今後数年で今の6倍ほどに成長する見通しもあります。

今後さらにリテールメディアが注目されていくであろう、3つの背景について解説していきます。

1. 個人情報保護の強化

プライバシーや個人情報保護の観点より、2023年にはGoogleが「サードパーティクッキー」の廃止を表明しました。クッキーとは消費者がWebサービスを訪れた際に、行動ログや入力情報を一時的に保存する仕組みです。

これまでは、このデータをもとにユーザーの属性や興味関心を推測し、広告へ活用していました。サードパーティクッキーが規制されると、広告主はユーザーの情報を得られないまま広告配信を行うため、精度が落ちてしまう懸念があります。

そこで小売企業が直接入手している「ファーストパーティデータ」の重要性が高まったのです。ファーストパーティデータを用いることで、規制を受けずに精度の高い広告配信が可能です。これにより、ファーストパーティデータが活用可能なリテールメディアが注目されるようになりました。

2. リテールDXの進化

リテールDXとは、仕入れから販売まで小売業における一連の業務を、IoTやAIのようなテクノロジーを活用しながら業務を行う仕組み構築を指します。リテールDXが推進されることで、さまざまなデータを活用した高度なマーケティングが行えるようになった点も、リテールメディアの促進の一因です。

例えば「過去の購買データをもとに顧客の属性を分析する」「商品ごとの売れ行きをもとに適切な訴求案を出す」といったマーケティング施策が実現できます。自社で保有している顧客データをリテールメディアのマーケティングに活用することで、ユーザーのニーズに合わせた広告配信が可能です。

3. 新たな市場を開拓する必要性

日本をはじめとする先進国では人口減少が進んでいる上に、手軽に開設できるネットショッピングも広く普及したことで、企業間での競争が激しくなっています。つまり、小売企業が本業だけで売上成長をする難易度は年々上がっている状況です。

一方で、精度の高い広告を配信できるリテールメディアは近年急成長しており、小売企業にとっては新たな収益源として注目されています。日本より早くから浸透していたアメリカでも、Amazonのような大手小売企業も続々と参入し、さらなる成長が予測されています。

日本でも2021年時点で約90億円だった市場規模が、2026年には800億円を超える見通しです。新たな市場を作っていく点でも、リテールメディアは注目を浴びています。

参照:CARTA HOLDINGS|CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施~リテールメディア広告市場は2022年に135億円、2026年には805億円と予測~

【対象者別】リテールメディアのメリット

リテールメディアは「小売企業」「広告主」「消費者」の三方よしを考える戦略です。そのため、各対象者がどのようなメリットを受けられるかを事前に知っておくことが重要です。

ここでは、対象者別にメリットを紹介していくので、自社でリテールメディアを展開していく際の参考にしてください。

1. 小売企業(リテール企業)

小売企業にとっては、リテールメディアを通じた売上アップが可能です。なぜならデータを活かした、精度の高いターゲティング広告を用いた新規顧客の開拓が行えるためです。

また既存顧客にも「ニーズに合わせた広告配信」や「適切なタイミングでのクーポン配布」が実施できます。さらに広告枠をメーカーやブランドに販売することで、小売業以外での新たな収益源となる点もメリットです。

2. 広告主(メーカーやブランド)

サードパーティクッキーが規制されていくと、十分なユーザー情報が得られないまま広告配信を行うこととなり、精度の高い広告が出しづらくなります。そこで小売企業が持つ顧客データをもとに広告配信を行うことで、自社がターゲットにしたいユーザーへ適切なタイミングで情報が届けられます。

来店時に見るデジタルサイネージや、既存顧客の情報を取得しているアプリ上では、購買意欲の高いユーザーへ広告配信ができる点もメリットです。

3. 消費者

消費者としても、興味のない広告ではなく関心の高い情報を受け取れることで、ストレスなく買い物が楽しめます。またニーズはあるが気づいていなかった情報」へ触れることで、新たな気づきや購入機会の損失を回避することが可能です。

不要な広告を減らして関心の高い情報のみに触れられるようになれば、より快適な購買体験が実現します。

リテールメディアの4つの種類

リテールメディアには、ECサイトやアプリのようなオンラインとデジタルサイネージや店頭POPのようなオフラインの両方が存在しています。

それぞれの特徴や強みを把握しておくことで、自社にあった戦略を検討できます。ここで紹介する内容を、リテールメディアを始める際の参考にしてください。

1. ECサイト

ECサイトを用いる場合には、以下の箇所に広告を表示します。

  • バナー
  • 関連商品
  • 検索結果一覧

ECサイトを元々運営している場合には、手間やコストを抑えて開始できる点が特徴です。広告主であるメーカーは、自社サイトへ流入することがなかった新たな客層へ認知を広げられ、購入数の増加が期待できます。

ECサイト内での行動・購入履歴を活用することで、消費者のニーズに沿った広告配信が可能です。

2. アプリ

アプリを用いれば、プッシュ広告やメッセージによる情報配信が可能です。会員情報や行動履歴などのファーストパーティデータを活用することで、ターゲットごとに最適な広告配信が行えます。

また利用者の位置情報を特定できる機能を備えることで、来店中や店舗近くを通りがかった際にプッシュ通知を配信できます。クーポンの配布による購買意欲の向上や、存在に気づいてもらうことによる来店意欲の促進が可能です。

広告のようなオンライン施策と、店舗近くで通知を送るようなオフライン施策を融合させることで、新たな顧客接点を持てる点が特徴です。

3. デジタルサイネージ

店頭に設置されるデジタルサイネージは、静止画だけでなく動画や音声でも訴求が可能なため、見た人の記憶に残りやすい点が特徴です。曜日や時間帯、天気などの条件によって表示する内容を変更できるため、利用する顧客層に合わせた広告配信が可能です。

例えば気温が高くなってきた時期には「アイスコーヒーやかき氷」を、秋以降で冷え込む時間帯には「おでん」のように、天気や気温に併せた広告表示を行います。平日・休日で会社員とファミリーなど、来店層が変わる地域でも効果的です。

ECサイトやアプリで配信した広告内容を繰り返し表示することでリマインドにつながり、商品を想起してもらいやすくなる点もメリットです。

4. 店頭POP

商品棚に設置する店頭POPでは、メーカー側と小売企業側で一緒に販売戦略を立てることで、より効果的な訴求が可能になります。例えば新発売のお菓子やデザートを、メーカーのSNSやECサイトと店頭POPの両方に、同内容で訴求することで顧客の認知度が高まります。

商品棚を見る際に「おすすめされている」「人気である」と感じてもらうことで、実際に手に取ってもらえる確率を上げられる点が特徴です。

リテールメディアの成功事例

国内外問わず、リテールメディアに挑戦している企業は多数存在しています。新しい取り組みを始める際には、成功している企業のやり方を取り入れていくことが近道です。

ここでは2つの企業の成功事例を紹介していきます。リテールメディアに挑戦する際、成功の確率があげられるよう取り入れられるポイントを探してください。

1. セブンイレブン

セブンイレブンでは、自社アプリ内で消費者の行動履歴をもとにした広告配信を実施しています。アプリには約2,000万人もの会員がおり、膨大な顧客データを活用することでニーズにあった情報配信が可能となります。

またリテールメディア専門の部署を作り、バナーを用いた新製品の宣伝やクーポン配布による購入の後押しを行うことで、購入数の増加を実現しました。今後は全国各地にある実店舗で、デジタルサイネージを活用した広告配信にも力を入れていく戦略です。

参照:DIAMOND Chain Store|リテールメディアに本格参入、顧客接点の質を高めて選ばれる媒体へ=セブン-イレブン・ジャパン

2. Walmart(ウォルマート)

アメリカにある大手小売企業であるWalmartは「アメリカ国内でトップ10に入る広告プラットフォーム」を目標に、リテールメディアを展開しています。自社ECサイトやアプリ内の広告設置だけでなく、自社で保有している顧客データと約5,000店舗に17万台設置されたデジタルサイネージを活用した広告配信も行っています。

その結果2022年には前年比40%成長の広告収入となり、新設したデジタル広告部門を中心に今後もリテールメディアを強化していく方針とのことです。

リテールメディアの立ち上げや運営にお困りならFORCE-Rへ相談

小売企業がリテールメディアを立ち上げることは、保有するデータを活用した精度の高い広告配信や新たな収益源の確保など、さまざまなメリットがあります。しかし、自社でリテールメディアの構築から運営、改善を行っていくためには専門知識を持った人材が必要です。また常に分析や改善案を出す必要があるため、専門部署の設置が欠かせません。

自社で専門知識を持った人材を中心とした部署を立ち上げるのが難しい場合には、リテールメディア運営の専門家に依頼することをおすすめします。

FORCE-Rであれば、既存のリソースやデータに合わせたリテールメディア構築から、最短で成果につなげるための施策立案や改善まで一気通貫でサポート可能です。また、自社の社員だけで運営ができる体制づくりも合わせて支援できます。リテールメディアを立ち上げる予定の企業担当者の方は、ぜひお問い合わせください。

まとめ|リテールメディアを活用して、新たな顧客や収益源を確保しよう

リテールメディアは「小売企業」「メーカーやブランドの広告主」「消費者」の3方良しな戦略です。小売企業が新たな収益源を得られ、広告主はサードパーティクッキーに依存せずに精度の高い広告配信が可能になるためです。

ただし、リテールメディアの構築や適切な広告配信を行うためには、メディア立ち上げの知見やマーケティングスキルが欠かせません。運用には手間もかかるため、専門人材や部署の確保がおすすめです。

FORCE-Rではメディア構築やマーケティング支援を得意とする専門スタッフがおり、リテールメディアを軌道に乗せるまで支援が可能です。リテールメディアにお悩みの企業担当者の方は、以下の問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

記事を書いた人

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ

本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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