「ライブコマースは日本では流行らないと言われるのはなぜ?」
「ライブコマースを活用して売上を伸ばしたい」
「日本の企業におけるライブコマースの成功事例が知りたい」
ライブコマースに参入しようとするにあたって、上記のような疑問や課題を持っている方がいるのではないでしょうか。「ライブコマースは流行らない」と言われる日本において、売上につながる配信を行うには企画や導線設計を工夫することが重要です。
本記事では、ライブコマースに参入する際のポイントや国内の企業の成功事例を解説します。ライブコマースを効果的に活用して売上を伸ばしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
中国のライブコマース市場は急速に拡大
ライブコマースとは、リアルタイムの動画配信によりユーザーと交流しながら商品を販売するマーケティング手法を指します。視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介するため、ECサイトでのプロモーションと比べて購買意欲を促進しやすいことが特徴です。
中国はライブコマース先進国であり、市場規模は近年で急速に拡大しています。中国におけるライブコマースの市場規模は2018年から5年で30倍以上に成長し、2023年の流通総額は4兆5,657億元(約91兆円、1元=約20円)を記録しました。
中国のEC最大手のアリババが運営する「天猫(Tモール)」や「淘宝(タオバオ)」などでもライブコマースが導入されており、配信を通じて商品を購入することが一般的となっています。
参考:電数宝|2023年(上)中国EC小売市場データ報告
日本のライブコマース市場は拡大を続けている
日本では「ライブコマースは流行らない」と言われていますが、実際には拡大を続けている市場です。NTTコムリサーチの調査によると、日本におけるライブコマースの市場規模は2020年の約140億円から2023年の約3,000億円と3年で約20倍に成長しました。
ライブコマースの認知度は31.9%であり、視聴経験者のうち商品を購入したことがあるユーザーは54.8%と半数以上を占めています。購入経験者を年代別に分析すると20代は66.2%、30代は59.6%であり、購買意欲の強い層では特に高い割合です。
また配信を視聴したことのないユーザーのうち19.8%には利用意向があり、ライブコマース市場のさらなる拡大が期待できます。
参考:CyberZ|デジタルライブエンターテインメント市場規模は急拡大
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション|「ライブコマース」に関する調査
ライブコマースが日本で流行らないと言われる3つの理由
ここでは「日本ではライブコマースは流行らない」と言われる主な理由を解説します。成長市場であるライブコマースへ参入し利益を得るには、批判的な意見がある背景を理解しておくことが重要です。適切な販売戦略を策定するためにも、本章の内容を確認しておきましょう。
1. 販売力のある配信者の不足
ライブコマースを成功させるには、商品のプロモーションや販売を行う「ライバー」が重要です。中国では「KOL(キーオピニオンリーダー)」と呼ばれる、商品知識が豊富で販売力の高いライバーが多く存在します。一方で日本には、商品の販売に特化したライバーがほとんどいません。
ライブコマースを実施する日本企業の多くは、芸能人やインフルエンサーをライバーとして起用します。動画や画像などで商品をPRしているインフルエンサーは多いものの、リアルタイムでの販売に特化した配信者は少ないのが現状です。
ライバーの販売力や商品知識が不十分な場合は売上につながりにくく、ライブコマースの効果を実感しづらくなります。配信者の販売力が課題の場合は、解決策として自社の営業スタッフをライバーとして起用しプロモーションを行う方法が挙げられます。
2. プラットフォームが未発達
中国ではライブコマース専用のプラットフォームが複数あり、ユーザーは日常的に視聴しています。一方、日本の場合はライブコマース用のプラットフォームが未発達であり、配信を通じて商品を購入する機会自体が少ない状況です。
日本にはライブ配信機能を持つサービスはいくつかありますが、ライブコマースに特化したプラットフォームはありません。またライブ配信プラットフォームとして有名な「Pococha」や「17LIVE」において、商品販売を目的としたコンテンツや外部ECへの誘導は禁止です。
そこで近年は、InstagramやYouTubeなどの商品販売が可能なSNSのライブ配信機能を活用し、売上アップを実現している企業が増えています。
3. 大手企業の撤退事例が多い
ライブコマースが始まった当初は「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」など大手ECモールが参入したものの、撤退が続いたことでネガティブな印象を植え付けられました。ECモールではライブ配信自体は無料でしたが、ストリーミングサーバー代などのコストは各企業で負担する必要があったことで普及を妨げられたことが一因です。
現在では無料でライブ配信ができるサービスを利用する企業や、自社のECサイトにライブコマース機能を組み込むケースがあり徐々に普及しています。また、ライブコマースは成果が出るまで時間がかかるため当初は成功事例が少なく、参考になる企業を見つけづらいことが課題でした。
現在はライブコマースを活用した成功事例が増えているため、導入時の参考にすることで売上アップを狙えるでしょう。
ライブコマースをECで活用する5つのポイント
ここでは、ECでライブコマースを活用し利益につなげるポイントを解説します。成長市場であるライブコマースへ参入し商品の売上を伸ばしたい担当者様は、ぜひ参考にしてください。
1. 配信の目的を明確化する
ライブコマースを活用し売上アップを目指すには、自社ECにおける課題を洗い出し、配信の目的を明確化したうえで企画を立てましょう。一般的にライブ配信の目的としては、以下のような例が挙げられます。
- ECサイトへの集客
- 商品の魅力発信
- ユーザーレビューの収集
- ブランドの認知度アップ
- 顧客のファン化促進
販売やプロモーションに特化しすぎると顧客離れにつながるため、質問への回答など双方向のコミュニケーションを意識した企画を実施しましょう。また商品のターゲットを意識し「主婦なら平日の日中」「会社員なら就業後の時間帯」のようなスケジュールで配信します。配信頻度は週1〜2回、1回のライブにつき30分〜1時間が一般的です。
2. 適切な配信者を選択する
配信の目的を踏まえて、企画や商品の特徴に合ったライバーを起用しましょう。一般的にライブコマースにおける配信者は「自社の社員」または「芸能人・インフルエンサー」の2パターンです。
接客や営業に長けた自社の販売員をライバーとして育成できれば、売上の獲得を目指せます。また自社の社員が継続して出演することでスタッフ自身やブランドへのファンが増え、熱量のあるフォロワーの獲得が可能です。
既存のファンが多い芸能人やインフルエンサーを起用すれば、集客やブランドの認知度アップにつながります。インフルエンサーを起用する場合は、ブランドイメージに合っておりターゲット層からの人気が高い人材を選ぶことが重要です。社外の人材をライバーとして起用する際は事前にアイテムを使ってもらうほか、商品知識の共有を行いましょう。
3. 購入導線を設計する
ライブコマースを売上につなげるには、紹介した商品をスムーズに購入できるような導線設計が重要です。視聴者が紹介した商品に興味を持っても、商品ページが分かりづらいと購入意欲の低下につながります。
ライブコマースを行う際は「概要欄やコメントに商品リンクを提示する」「配信者が購入手順を説明する」などの導線を用意しましょう。視聴者限定の割引やクーポンの配布などを行えば、さらに購入を促せます。
また移動先の商品ページの世界観は、ブランドイメージと統一されていることが大切です。一貫性のないデザインやページの表示速度が遅い場合は、ユーザーの離脱につながります。
離脱を防ぐ商品ページのポイントについては関連記事の「売上が伸びる商品ページのデザインにおける7つの共通点!参考になるサイトも紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
4. アーカイブ動画を活用する
ユーザーが好きなタイミングで視聴できるよう、配信したSNS上や自社ECサイトでアーカイブを残しましょう。アーカイブ動画を活用すれば、リアルタイムで参加できなかった視聴者を含め多くのユーザーにアプローチでき売上アップが可能です。
商品を慎重に検討したい視聴者にとって、アーカイブ動画は不安点を解消して購入を後押しする役割があります。瞬間的な売上につなげるライブ配信とは異なり、くり返し視聴できるアーカイブ動画を活用すれば継続的な収益の獲得が可能です。
またライブ動画をそのまま掲載するのではなく、商品ページのリンクや購入ボタンなどを組み込みましょう。そのほかに「インパクトのある部分を切り取ってショート動画にする」「編集して特定のテーマに絞ったコンテンツを作る」などの活用方法があります。
5. データを分析し改善を続ける
ユーザーとの交流が重視されるライブコマースはブランディングの役割が大きく、短期間では成果を得づらい施策です。売上につなげるためには、改善をくり返しながら長期的に運用しましょう。
事前にライブコマースにおける以下のようなKPI(目標値)を設定し、分析ツールを活用して計測します。
- 視聴者数
- 視聴時間
- コメント数
- CV(購入)率
- 離脱率
計測したデータをもとに、配信スケジュールやプロモーション方法を見直すことが大切です。またユーザーのコメントでニーズを把握し、意見をもとにサービスの改善や新商品の開発につなげます。
EC運営におけるKPIについては関連記事の「ECサイトに導入するべき7つのKPI!設定方法やKGIとの違いも紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
日本のライブコマースにおける2つの成功事例
ここでは、日本の企業におけるライブコマースの成功事例を紹介します。成功事例におけるライバーの選択や販促施策に着目し、自社でライブコマースを実施する際の参考にしてください。
1. 【アイスタイルリテール】美容部員による配信で購入意欲が6倍以上アップ
アイスタイルリテールは、日本最大級の化粧品の総合情報Webサイト「@cosme」を運営する企業です。2021年12月のショッピングイベント「@cosme BEAUTY DAY」では、美容部員によるライブコマースを開催しました。
54時間のイベント開催中に11億円を超える売上を達成し、これは前年比160%の流通総額です。また配信後のアンケート調査によると、Webサイトと比較して購入意欲は6倍以上に増加し、ライブコマースの売上への貢献が伺えます。
ユーザーからの質問に対して美容部員がリアルタイムで返答するという配信の内容で、興味喚起に成功したことが売上増加の一因です。イベントにおける累計視聴者数は、通常の配信時の約3倍である1.5万人超に上りました。
参考:アイスタイルリテール|登壇/セミナー情報 22.05.08
2. 【アルページュ】視聴者限定クーポンを配布し1日の売上100万円を突破
アルページュは6ブランドのレディースアパレルを展開しており、実店舗やECでの販売を行う企業です。ライブコマースではインフルエンサーは起用せず、各ブランドの店舗スタッフが新商品や着こなし方を紹介しています。
新宿店のリニューアルを記念したライブ配信では、1日のみ有効の視聴者限定クーポンをDMで配布しました。別の施策ではクーポン消化率が1桁台でしたが、ライブ配信時の使用率は13%を超えており、売上アップへの貢献が伺えます。配信後は多くの視聴者が店舗に来店し、新宿店の1日の売上額は100万円超えを達成しました。
ライブコマースのデータ分析ならFORCE-R
日本におけるライブコマースの市場は拡大を続けており、今後も成長が見込まれる分野です。ただしライブ配信で紹介する商品や企画がユーザーのニーズに沿っていない場合、顧客離れにつながるため注意しましょう。
ライブコマースを活用してECの売上アップを狙うには、配信時のデータを分析して改善をくり返すことが重要です。FORCE-Rでは独自の「定量×定性」の分析により、ライブコマースにおけるユーザーのニーズを可視化できます。
まとめ|ライブコマースを活用し売上アップを狙おう
ライブコマースをECで効果的に活用するためには、配信の目的に応じた企画を立てることが重要です。自社ECサイトにおける課題を明確化し、改善につながるようなライブコマースを企画しましょう。
FORCE-Rでは経験豊富な専門コンサルタントがECサイト運営における課題を洗い出し、売上アップにつながるライブコマースの企画の提案が可能です。ライブコマースを効果的に活用しECの売上アップを目指したい方は、ぜひお問い合わせください。