「越境ECに挑戦したいけれど、決済方法がよく分からない…」そんな悩みを抱えるEC事業者の方へ向けて、この記事では、越境ECにおける決済の基礎知識から、最適な決済方法の選び方、手数料、セキュリティ対策、成功事例までをわかりやすく解説します。
越境ECで利用できる主要な決済方法

越境ECを成功させるためには、ターゲットとする国の顧客が日常的に利用している決済方法に対応することが不可欠です。ここでは、世界的に普及している主要な決済方法から特定の地域で影響力を持つ決済方法まで、それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、越境ECで最も利用される代表的な決済方法です。Visa、Mastercard、American Express、JCBなど世界中で普及しているため、国を問わず幅広いユーザーが利用できます。購入者にとっては入力だけで簡単に支払いが完了する利便性があり、売り手にとっても決済処理がスムーズで導入しやすいのが特徴です。
一方で、購入者が異議申し立てを行うことで返金義務が発生する「チャージバック」のリスクがあり、不正利用対策として3DセキュアやPCI DSS準拠が欠かせません。手数料は3〜5%ほどで、代行会社やブランドによって異なります。
PayPal
PayPalは世界2億人以上に利用されているオンライン決済サービスで、欧米や東南アジアを中心に高い普及率を誇ります。購入者はクレジットカードや銀行口座をPayPalに登録するだけで簡単に支払えるため、カード情報を直接入力する必要がなく安心して利用できる点が大きなメリットです。
売り手側にとっても多通貨対応や購入者保護制度が整っており、越境ECでは欠かせない決済方法の一つといえます。ただし、手数料が高めに設定されている場合があるほか、不正取引の疑いがあるとアカウントが一時凍結されるリスクがあり、入金が遅れる可能性には注意が必要です。
Alipay(アリペイ)
Alipayは中国で圧倒的なシェアを持つモバイル決済サービスで、中国市場をターゲットにした越境ECでは必須といえる存在です。ユーザーはスマートフォンアプリを通じてスムーズに支払いができ、利用ハードルが低いことから高い顧客満足度につながります。導入することで中国人顧客の購買行動に自然にフィットし、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、Alipayが提供するプロモーション機能やマーケティング施策と連携することで、さらなる顧客獲得やエンゲージメント向上も可能です。手数料は決済代行会社によって異なりますが、中国市場参入には非常に強力な選択肢となります。
WeChat Pay(微信支付)
WeChat Payは、中国最大級のSNSアプリ「WeChat」と連携したモバイル決済サービスで、Alipayと並ぶ中国の二大決済手段の一つです。ユーザーは普段のメッセージやSNS機能を利用する流れの中で、そのまま決済まで完結できるため、非常に高い利用率を誇ります。
越境ECにおいても導入メリットは大きく、中国人顧客にとって慣れ親しんだ決済手段を提供することで購入率が向上します。また、WeChat内のミニプログラムを活用したマーケティング施策やソーシャルコマース展開とも相性が良く、効率的な集客・販売促進が可能になります。
その他の決済方法(例:コンビニ決済、銀行振込など)
主要な決済方法以外にも、国や地域ごとに普及しているローカル決済が存在します。例えば東南アジアではGrabPayやGoPayといった電子ウォレットが広く利用され、日常的な決済手段として定着しています。欧州ではSofortやiDEALなど、銀行振込ベースのオンライン決済が高い利用率を誇ります。
一方、日本で一般的なコンビニ決済や銀行振込は一部地域では利用可能であるものの、海外顧客には馴染みが薄く、手続きの煩雑さや手数料の高さから敬遠されがちです。越境ECにおいては、ターゲット国の決済習慣や消費行動を正しく理解し、現地のユーザーが使い慣れた決済手段を導入することで購入ハードルを下げ、コンバージョン率向上につながります。
関連記事:eコマース市場の規模と成長予測は?最新トレンドと成功の秘訣を解説
関連記事:Amazon越境ECの始め方と成功のポイント|海外販売の仕組みや市場動向も解説
国・地域別の主要な決済方法

越境ECでは、ターゲットとする国や地域によって主要な決済方法が大きく異なります。顧客が慣れ親しんだ決済方法を提供することは、購入のハードルを下げ、コンバージョン率を高める上で不可欠です。
ここでは、主要なマーケットにおける決済方法のトレンドと、それぞれの地域で顧客に選ばれる決済方法を具体的に紹介します。
中国
中国ではキャッシュレス決済が圧倒的に普及しており、特にAlipayとWeChat Payが日常生活の中心的な決済手段となっています。クレジットカードよりもモバイル決済を好む傾向が強いため、越境ECでこの2つに対応しないことは大きな機会損失につながります。UnionPayカードも利用されていますが、最優先すべきはAlipayとWeChat Payです。
東南アジア
東南アジアは国ごとに経済状況が異なるため、決済方法も非常に多様です。電子ウォレットの普及が特に顕著で、GoPay(インドネシア)、GrabPay(タイ)、GCash(フィリピン)などが主要手段として定着しています。一方で、現金払い・銀行振込も依然として重要な選択肢です。越境ECでは、ターゲット国で最も利用されている電子ウォレットへの対応が成功の鍵となります。
北米
北米ではクレジットカード決済が依然として主流で、Visa・Mastercard・American Express・Discoverが幅広く利用されています。オンライン決済ではPayPalも高い支持を得ています。さらに、AffirmやKlarnaなどのBNPL(後払い)サービスが若年層を中心に急速に普及しており、導入することで購入率向上が期待できます。
その他の地域
ヨーロッパでは、クレジットカードに加え、Sofort(ドイツ)やiDEAL(オランダ)などの銀行振込ベース決済が一般的です。SEPAによる送金も広く活用されています。南米では、ブラジルのBoleto Bancárioのように現地特化型の決済が重要です。越境ECでは、地域ごとの習慣を把握し、現地で使われている決済方法に対応することが不可欠です。
関連記事:ECにおけるトランザクションとは「決済完了」の意味|活用事例と4つの特性を解説
決済代行サービスの選び方
越境ECで複数の決済方法を導入する際、個別に契約するよりも決済代行サービスを利用する方が効率的です。しかし、数あるサービスの中から自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。
ここでは、決済代行サービスを選定する際の重要なポイントと、おすすめのサービスを紹介します。
比較検討のポイント
決済代行サービスを選ぶ際には、以下の点を総合的に比較検討することが重要です。
手数料
初期費用、月額費用、決済手数料、為替手数料など、発生する全てのコストを把握しましょう。特に為替手数料は、海外取引において利益を大きく左右するため、必ず確認が必要です。
対応決済方法の種類
ターゲットとする国や地域で主要な決済方法(クレジットカード、PayPal、Alipay、WeChat Payなど)に対応しているかを確認します。多様な決済方法に対応しているほど、顧客の利便性が向上し、カゴ落ち防止に繋がります。
対応通貨
販売する国の通貨に対応しているか、また、日本円への換金レートが適切かどうかも重要なポイントです。
セキュリティ機能
不正利用対策(3Dセキュアなど)、PCI DSS準拠の有無など、顧客の決済情報を安全に保護するための機能が充実しているかを確認しましょう。セキュリティ対策が不十分だと、顧客からの信頼を失うだけでなく、企業側にも大きなリスクが生じます。
導入の容易さ
既存のECサイトシステムとの連携がスムーズか、API連携の柔軟性など、導入にかかる手間や時間を考慮します。
サポート体制
導入時や運用中に問題が発生した際に、日本語でのサポートが受けられるか、迅速に対応してくれるかなども重要な選定基準です。
実績
越境ECにおける実績や導入事例が豊富にあるサービスは、安心して利用できる目安となります。
4-2. おすすめの決済代行サービス
越境ECで特に実績があり、多くの事業者から選ばれている主要な決済代行サービスをいくつかご紹介します。
| サービス名 | 簡潔な特徴 |
|---|---|
| Stripe(ストライプ) | 世界中で利用。開発者向けAPIが充実し、柔軟なカスタマイズが可能。手数料体系がシンプル。 |
| PayPal(ペイパル) | 世界的に認知度が高い。アカウント登録で簡単に決済でき、売り手・買い手の保護が強み。 |
| Shopify Payments | Shopifyストアとの連携が容易。追加手数料なしで主要クレカ決済が利用可能。越境EC向け。 |
| GMOペイメントゲートウェイ | 日本の主要サービス。多様な決済方法、強固なセキュリティ、手厚いサポートが特徴。越境ECにも対応。 |
| SBペイメントサービス | ソフトバンクグループ提供。豊富な決済手段と高いセキュリティレベル。大規模ECにも対応可能な柔軟性。 |
これらのサービスはそれぞれ特徴が異なるため、自社のビジネスモデルやターゲット地域、予算に合わせて最適なものを選びましょう。
決済手数料と為替手数料について
越境EC事業を運営する上で、決済手数料と為替手数料は利益に直結する重要なコストです。これらの手数料を正確に理解し、適切に管理することが、収益最大化の鍵となります。
手数料の種類
越境EC決済において発生する手数料は多岐にわたります。主な手数料の種類とそれぞれの概要を理解しておきましょう。
| 費用項目 | 簡潔な説明 |
|---|---|
| 決済手数料 | 売上金額に対して課される手数料(相場は数%)。取引ごとに発生し、売上増加に伴い影響大。 |
| 為替手数料 | 外貨決済を自国通貨に換算する際に発生。為替レートに上乗せされることが多い。 |
| 初期費用 | 決済システムの導入や設定にかかる費用。無料の場合もあるが、カスタマイズ時に発生することも。 |
| 月額費用 | システムやサービスの維持管理にかかる固定費用。取引量に関わらず毎月発生。 |
| トランザクション手数料 | 個々の取引ごとに発生する少額の手数料。決済手数料とは別で、小口取引が多い場合に影響大。 |
これらの手数料は、決済代行会社や選択する決済方法によって大きく変動するため、事前にしっかりと比較検討することが不可欠です。
手数料を抑える方法
越境ECで利益を最大化するには、決済手数料を抑える工夫が欠かせません。まず、複数の決済代行サービスを比較し、決済・為替手数料や月額費用まで総合的に検討しましょう。取引量が増えてきたら、ボリュームディスカウントの交渉も有効です。
また、為替変動の影響を避けるため、為替予約などのリスクヘッジを行うことも重要です。さらに、地域によっては電子ウォレットの方が手数料が低い場合があるため、低コストな決済方法を推奨すると効果的です。自社に有利な決済通貨を選ぶことで、全体のコスト削減にもつながります。
越境EC決済のセキュリティ対策

越境ECでは、国内外の顧客を対象とするため、決済に関するセキュリティリスクが増大します。不正利用や詐欺から顧客と自社を守り、信頼性の高いECサイトを運営するためには、適切なセキュリティ対策が不可欠です。
越境ECにおいて安全な決済環境を構築するためには、以下の主要なセキュリティ対策を講じることが重要です。
PCI DSS準拠
PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、クレジットカード情報の保護を目的とした国際的なセキュリティ基準です。クレジットカード情報を扱うECサイトは、この基準に準拠することで、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。決済代行サービスを利用する場合でも、そのサービスがPCI DSSに準拠しているか確認しましょう。
3Dセキュア
3Dセキュアは、オンライン決済における本人認証サービスです。カード会社に事前登録したパスワードやワンタイムパスワードを入力することで、カード情報の盗用による不正利用を防ぎます。特に海外では、3Dセキュアが広く普及しており、導入することで顧客の安心感を高め、チャージバックのリスクも軽減できます。
トークン決済
トークン決済は、実際のクレジットカード情報を直接扱わず、代わりに「トークン」と呼ばれる別の情報に置き換えて処理を行う方法です。これにより、ECサイト側でカード情報を保持する必要がなくなり、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
不正検知システム
AI(人工知能)などを活用した不正検知システムは、過去の不正データや取引パターンを分析し、疑わしい取引をリアルタイムで検知・ブロックします。高額商品や短期間での複数購入など、不正利用の可能性が高い取引を自動的に判別し、被害を未然に防ぐ上で非常に有効です。
SSL/TLS暗号化
SSL/TLSは、ウェブサイトとユーザー間の通信を暗号化する技術です。これにより、決済情報や個人情報が第三者に傍受されるのを防ぎ、安全なデータ送受信を保証します。ECサイトのURLが「https://」で始まることを確認し、常に最新のSSL/TLS証明書を使用することが重要です。
チャージバック対策
チャージバックとは、顧客がクレジットカード会社に不正利用を申し立て、決済を取り消すことです。越境ECでは、言語や文化の違いからチャージバックが発生しやすいため、適切な商品発送、追跡番号の提供、顧客サポートの強化など、予防策を講じることが求められます。また、不正検知システムの導入もチャージバック対策に繋がります。
これらの対策を複合的に実施することで、越境ECにおける決済の安全性を高め、顧客からの信頼を獲得し、安定した事業運営に繋げることができます。
越境EC決済導入の手順
越境EC事業を成功させる上で、適切な決済方法の導入は避けて通れません。ここでは、決済方法の選定からシステム連携、テスト運用、そして本番稼働に至るまでの一連のプロセスを具体的に解説します。
これらの手順を理解し、計画的に進めることで、スムーズな海外展開と売上拡大を実現できるでしょう。
1. 決済代行サービスの選定と契約
越境EC決済導入の第一歩は、決済代行サービスの選定と契約です。自社のターゲット市場、取り扱い商材、予算に合うサービスを比較検討し、手数料、対応通貨、セキュリティ体制、サポート内容などを十分確認したうえで契約します。
2. システム連携(API連携またはモジュール導入)
次に、契約した決済代行サービスとECサイトを連携させます。多くのECプラットフォームでは、提供されている専用モジュールやプラグインを導入することでスムーズに接続できます。より柔軟なカスタマイズが必要な場合はAPI連携を行い、開発チームや外部ベンダーと協力して実装します。
3. テスト環境での検証
システム連携が完了したら、テスト環境で実際の購入フローを想定して検証します。決済が正常に完了するか、エラーが発生しないかを複数の決済方法・デバイスでチェックし、潜在的な不具合を洗い出して本番稼働前に解消します。
4. 本番環境への移行
テスト運用で問題がないことを確認した後、本番環境へ移行します。実際の顧客が決済を利用できる状態に切り替える際は、サイトのトラフィックが少ない時間帯を選ぶなど、顧客への影響を最小限にする配慮も重要です。
5. 運用開始後のモニタリングと改善
導入後は終わりではなく、決済エラー率やチャージバック状況、顧客からのフィードバックなどを継続的にモニタリングします。その結果をもとに、決済方法の追加・変更やセキュリティ強化などの改善を重ね、顧客体験の向上と売上機会の最大化を目指します。
まとめ
越境ECビジネスを成功させる上で、決済方法は売上を左右する重要な要素です。この記事では、越境ECにおける決済の基本から、主要な決済方法、国・地域別の特徴、決済代行サービスの選び方、手数料、セキュリティ対策、そして導入手順までを網羅的に解説しました。
顧客が安心して、かつスムーズに購入できる決済環境を整えることは、コンバージョン率向上に直結します。自社のターゲット層や販売地域を考慮し、最適な決済方法を選定することが、越境ECビジネスを加速させる鍵となるでしょう。この記事で得た知識を活かし、あなたの越境EC事業を次のステージへと進めてください。
越境ECついてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
【無料相談はこちら】




