Amazon FBAを活用した販売では、売上や広告費に注目が集まりがちですが、見落とされやすいのが「FBA保管料」です。在庫を持つだけで毎月発生する保管料は、在庫設計を誤ると利益やキャッシュフローを静かに圧迫します。
特に企業でAmazonを運用する企業の場合、SKU数やロットが大きくなりやすく、保管料の影響は無視できません。本記事では、Amazon FBA保管料の仕組みや種類、確認方法を整理したうえで、無駄なコストを抑えるための在庫管理戦略と実践的な改善プロセスを解説します。
Contents
Amazon FBA保管料とは?

Amazon FBA保管料とは、FBA倉庫に商品を保管することで発生するコストを指します。FBAは物流業務をAmazonに任せられる一方で、在庫量や保管期間に応じて保管料が継続的に発生します。
法人がAmazonを運用する場合、この保管料は利益やキャッシュフローに直結するため、仕組みを正しく理解したうえで戦略的に管理することが重要です。
Amazon FBAの仕組みと保管料が発生する理由
Amazon FBAは、出品者が商品をAmazonのフルフィルメントセンターへ納品することで、保管、梱包、配送、カスタマー対応までをAmazonが代行する仕組みです。この物流インフラを維持するため、Amazonでは倉庫スペースの使用量に応じた保管料を設定しています。
保管料は単に「置いている期間」に対する費用ではなく、倉庫の回転率や運用効率を保つための調整コストという側面を持ちます。
そのため、在庫が増えすぎたり、売れ行きが鈍化して長期間滞留したりすると、出品者側の負担が大きくなる設計です。
Amazon FBAで発生する3種類の保管料

Amazon FBAでは、在庫の状態や保管期間、運用状況に応じて複数の保管料が発生します。代表的なのが月額で必ず発生する在庫保管手数料に加え、一定期間を超えた在庫にかかる長期在庫保管手数料、さらに在庫パフォーマンス悪化時に発生する保管超過手数料です。
これらを正しく区別して把握することが、コスト管理の第一歩となります。
FBA在庫保管手数料(月額保管料)の仕組み
FBA在庫保管手数料は、FBA倉庫に保管されているすべての商品を対象に、毎月発生する基本的な保管料です。この手数料は商品サイズや保管体積をもとに算出され、2025年に料金体系が改訂されました。改訂後も、在庫量が多いほどコストが増える構造は変わっておらず、特に計画性のない在庫積み上げは利益を圧迫する要因となります。
また、FBA在庫保管手数料は季節によっても変動し、年末商戦などの繁忙期は通常期よりも料金が高く設定されています。そのため、繁忙期をまたいで在庫を持ち越すと、想定以上に保管コストが増える可能性があります。売上予測と連動した在庫設計を行い、月額保管料を固定費として捉えた管理が求められます。
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FBA長期在庫保管手数料(271日以上)の影響
FBA長期在庫保管手数料は、FBA倉庫に271日以上保管されている在庫を対象に発生する追加コストです。この手数料は、通常の月額保管料とは別に請求されるため、該当するとコスト負担が一気に増加します。
長期在庫保管手数料の特徴は、売上が立たない在庫ほど負担が重くなる点です。特にニッチな商品は販売頻度が低くなりやすく、「いずれ売れるだろう」と判断を先送りにすると、気づかないうちにキャッシュフローを圧迫します。そのため、271日という基準を一つの判断ラインとし、返送や処分、販路切り替えを含めた意思決定を行うことが重要です。
FBA在庫保管超過手数料(在庫パフォーマンス低下時)
FBA在庫保管超過手数料は、在庫パフォーマンス指標(IPI)が一定水準を下回った場合に発生する手数料です。これは在庫量だけでなく、在庫回転率や過剰在庫の割合など、複数の要素をもとに総合的に判断されます。
戦略的に在庫を多めに持つケースもありますが、在庫パフォーマンスが悪化すると、保管超過手数料という形で直接的なコスト増につながります。この手数料はAmazon側からの「在庫最適化を求めるシグナル」とも言えるため、IPIを定期的に確認し、在庫設計やSKU構成を見直すことが、安定したFBA運用には欠かせません。
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セラーセントラルでAmazon FBA保管料を確認する方法

Amazon FBA保管料を正確に管理するためには、セラーセントラル上で数値を定期的に確認することが欠かせません。感覚的な把握ではなく、請求額や対象在庫をデータとして把握することで、無駄な保管コストの早期発見につながります。
ここでは、月額保管料や長期在庫、在庫パフォーマンスを確認する具体的なポイントを整理します。
月額FBA保管料の請求額を確認する手順
月額FBA保管料の請求額は、セラーセントラルの支払い関連レポートから確認できます。具体的には、支払いダッシュボードやトランザクションレポートを確認することで、月ごとの保管料総額を把握できます。また、FBA在庫レポートを併用することで、SKU単位やASIN単位でどの商品がどれだけ保管料を発生させているかを確認することも可能です。
規模が拡大してくるにつれ、取扱SKU数が多くなりやすいため、全体の請求額だけを見るのではなく、保管料負担の大きい商品を特定する視点が重要です。月次で数値を確認し、想定よりも保管料が増えている場合は、在庫量や補充頻度を見直す判断材料として活用することが求められます。
長期在庫保管手数料の対象商品を特定する方法
長期在庫保管手数料の対象商品は、セラーセントラル内の在庫健全性レポートやFBA在庫年齢レポートから確認できます。これらのレポートでは、在庫の保管日数ごとに商品が分類されており、271日以上滞留している在庫を容易に特定できます。
重要なのは、すでに手数料が発生している在庫だけでなく、今後対象になり得る在庫を事前に把握することです。万人向けではないニッチ商品は販売サイクルが長くなりやすいため、判断が遅れると保管料負担が急増します。定期的にレポートを確認し、返送や処分、販路切り替えを検討するタイミングを早めることが、コスト抑制につながります。
在庫パフォーマンス指標(IPI)の確認ポイント
在庫パフォーマンス指標(IPI)は、FBA在庫管理の健全性を示す重要な数値です。セラーセントラルの在庫パフォーマンスダッシュボードから確認でき、在庫回転率や過剰在庫の割合などをもとにスコアが算出されます。
IPIが低下すると、在庫保管超過手数料が発生する可能性があるため、単なる参考値としてではなく、経営判断に直結する指標として扱う必要があります。短期的な売上だけでなく、在庫構成全体を見直す視点が重要です。IPIの内訳を確認し、改善ポイントを把握することで、安定したFBA運用につながります。
Amazon FBA保管料を抑えるための在庫管理戦略(考え方)

Amazon FBA保管料を抑えるためには、個別の対処に頼るのではなく、在庫管理全体の考え方を整理することが重要です。売上だけでなく、在庫回転率や保管期間を意識した設計を行うことで、保管料を固定費としてコントロールできます。
ここでは、在庫管理の基本戦略を解説します。
在庫回転率を基準にSKUを定期的に見直す
在庫管理において重要な指標の一つが在庫回転率です。在庫回転率が低い商品は、売上に対して保管料負担が大きくなり、利益を圧迫する原因となります。戦略的にSKUを増やすケースもありますが、すべてのSKUが同じ役割を持つわけではありません。
定期的に在庫回転率を確認し、主力SKUと補助的なSKUを切り分けることで、在庫構成を最適化できます。回転率の低い商品については、補充量の調整や取り扱い継続の是非を検討するなど、数値に基づいた判断が重要です。
長期滞留在庫は早期に返送・処分を検討する
長期間売れていない在庫は、保管料を発生させ続ける要因となります。特にFBAでは、271日を超えると長期在庫保管手数料が発生するため、判断の先送りはコスト増につながります。
「将来的な取引機会」のことを考え、在庫を残しがちですが、実際にはキャッシュフローを圧迫しているケースも少なくありません。一定期間売れ行きがない在庫については、返送や処分、他販路への切り替えを含めて早期に判断することが、保管料を抑えるための重要な戦略となります。
FBA料金シミュレーターで事前に保管コストを把握する
FBA料金シミュレーターは、新規商品や補充時の保管コストを事前に把握するための有効なツールです。商品サイズや想定在庫量を入力することで、月額保管料を含めたコスト感を把握できます。
事前シミュレーションを行わずに納品すると、想定以上の保管料が発生するリスクがあります。シミュレーターを活用し、売上・粗利と保管コストのバランスを確認したうえで在庫計画を立てることが、安定したFBA運用につながります。
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FBA保管料を最小化するための5つの実践プロセス(具体策)

FBA保管料を抑えるためには、場当たり的な対応ではなく、日常運用の中に改善プロセスを組み込むことが重要です。在庫状況を定期的に可視化し、判断基準を明確にすることで、無駄な保管コストを継続的に削減できます。
ここでは、実務で実行しやすい5つの具体的なプロセスを整理します。
在庫パフォーマンス指標を定期的にチェックし改善につなげる
在庫パフォーマンス指標(IPI)は、FBA在庫管理の状態を総合的に示す重要な指標です。IPIを定期的に確認することで、過剰在庫や回転率低下といった課題を早期に把握できます。
重要なのは、スコアの高低だけで判断せず、内訳となる指標を確認することです。IPIが低下している場合は在庫構成が現在の売上規模に適していない可能性があります。改善ポイントを明確にし、補充量の調整やSKU整理を行うことで、保管料増加を防ぐことができます。
長期間滞留している在庫は早期に整理・判断する
長期間FBA倉庫に滞留している在庫は、売上を生まないまま保管料だけを発生させる要因となります。特に271日を超えると長期在庫保管手数料の対象となるため、判断の先送りはコスト負担を大きくします。
一定期間売れ行きがない在庫については、返送や処分、販路切り替えを含めた整理を早期に行うことが、保管料最小化の基本となります。
一定期間動きのない商品は利益率とキャッシュフローで見極める
在庫の継続保有を判断する際は、「いつか売れるだろう」ではなく、利益率とキャッシュフローの観点から評価することが重要です。売上が発生していない期間でも、保管料は毎月発生するため、実質的な利益率は時間とともに低下します。
粗利率が高い商品であっても、回転が遅ければ資金が固定化され、他の成長投資に回せなくなります。一定期間動きのない商品については、今後の売上見込みと保管コストを比較し、継続保有か整理かを数値で判断することが、健全な在庫運用につながります。
【在庫最適化①】価格調整によって在庫回転を優先する
在庫を整理する手段の一つとして、価格調整によって在庫回転を高める方法があります。短期的に利益率が下がる場合でも、在庫を早期に現金化することで、保管料の発生を止める効果が期待できます。
重要なのは、値下げそのものではなく、在庫回転を優先するという判断です。保管料が積み重なる前に価格戦略を見直し、回転率を改善することで、トータルで見た収益性を高めることが可能になります。
【在庫最適化②】返送や販路切り替えで在庫を圧縮する
価格調整でも回転が見込めない場合は、在庫をFBA倉庫から返送し、他の販路へ切り替える選択肢も検討すべきです。返送によってFBA保管料の発生を止めることで、固定費化していたコストを抑えられます。
自社ECや卸、法人向け販売など複数の販路を持つケースも多く、FBAに固執しない柔軟な判断が重要です。在庫を圧縮し、資金を再配分することで、全体の事業効率を高めることにつながります。
まとめ|Amazon FBA保管料の理解は利益改善へ
Amazon FBA保管料は、単なる運用コストではなく、在庫設計や資金繰りに大きな影響を与える要素です。特に企業がAmazonを活用する場合、売上拡大だけでなく、保管料を含めたコスト管理が利益改善の鍵となります。
保管料の仕組みや確認方法を理解し、在庫回転率や在庫パフォーマンスを基準に判断することで、無駄なコストを抑えた運用が可能になります。FBA保管料を正しく管理することは、Amazon事業を中長期で成長させるための重要な経営判断と言えるでしょう。




