Column

コラム

CRMツールとは?EC向けの比較ポイントと選び方をわかりやすく解説

注文データはカートに、問い合わせはメールに、アンケートは表計算ソフトに。顧客の情報が分散していると、誰がどんな顧客なのかを把握できません。

これを1か所にまとめ、施策に使える状態にするのがCRMツールです。ただし、導入すれば顧客理解が深まるわけではありません。何を知りたいのかが決まっていなければ、機能を使いこなせないまま費用だけが発生します。

本記事では、CRMツールの役割とECでできることを整理したうえで、導入を判断する基準、比較の軸、導入手順、そして注意点までを解説します。

確認したいポイント結論詳細
CRMツールとは?顧客情報を集約して活用する仕組み購買履歴や問い合わせを1か所にまとめて管理します。
MAとの違いは?管理が中心か、配信が中心か境界は曖昧で、両方の機能を持つ製品もあります。
導入すべき?顧客数と分析の必要性による数百件程度なら表計算ソフトでも対応できます。
比較の軸は?カートと連携できるか購買データが取り込めなければ、分析も配信もできません。
注意点は?データの整備が前提情報が散らかったまま入れても、正しく使えません。

この記事でわかること

  • CRMツールの役割と、他のツールとの違い
  • ECで実現できることと、その効果
  • 導入を判断する基準
  • タイプ別の特徴と、比較時の確認項目
  • 導入手順と、個人情報を含む注意点
EC支援の実績とサービスがわかる3点セットを無料配布中
顧客理解にもとづく改善に取り組みたい方へ。FORCE-Rの会社概要・支援実績・サービスの特徴をまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
> 資料ダウンロードはこちら

CRMツールとは?

CRMツールとは、顧客に関する情報を1か所に集約し、施策に活用できる状態にする仕組みです。購買履歴、問い合わせの記録、配信への反応などをまとめて管理します。

顧客との関係を継続的に管理するという考え方そのものを指す言葉でもあり、ツールはそれを実現する手段という位置づけになります。

この区別は重要です。ツールを入れることが目的化すると、考え方のほうが置き去りになります。

何を管理し、その情報をどう使うのかが決まっていれば、表計算ソフトでも実践できます。

他のツールとの違い

ツール中心となる役割CRMとの関係
カートシステム販売と受注購買データの供給元になる
MAツール配信の自動化管理した情報をもとに配信する
分析ツールサイト内の行動を可視化顧客単位の情報とは別軸
問い合わせ管理対応履歴の記録CRMに統合される場合もある

境界は明確ではありません。CRMとMAの機能を併せ持つ製品も多く、名称だけでは判断できないのが実情です。実際に何ができるかで比較しましょう。

大まかには、顧客情報の管理と分析が中心ならCRM、配信の自動化が中心ならMAと整理できます。ただし、この区別にこだわりすぎる必要はありません。

自社が実現したいことを先に挙げ、それができる製品を探すという順序で考えましょう。

導入する目的の整理については、ECサイトにCRMを導入する3つの目的!おすすめのツールや注意点も解説もあわせてご覧ください。

ECで扱う情報の範囲

氏名や連絡先といった基本情報に加え、購入回数、購入商品、最終購入日、購入金額、問い合わせの内容、配信への反応などが対象になります。

必要以上に多くの情報を集める必要はありません。施策の判断に使う項目に絞るほうが、管理の負担も漏えいの危険も減らせます。

取得した情報を使わないまま保管し続けることは、負債にもなり得ます。

これらを顧客単位で結びつけられることが、CRMの本質的な価値です。注文単位のデータだけでは、その人がどんな顧客なのかは分かりません。

同じ売上でも、1人が10回買ったのか、10人が1回ずつ買ったのかでは、事業の状態はまったく違います。この違いを把握できるかどうかが分かれ目です。

前者であれば関係が築けている状態、後者であれば新規獲得に依存している状態です。打つべき手はまったく変わります。

売上の推移だけを見ていると、この構造の違いには気づけません。

ECでは何ができる?

できることを整理します。

できること内容得られる効果
顧客の分類購入回数や金額で層に分ける層ごとに施策を変えられる
対象を絞った配信条件に合う顧客だけに送る関係のない配信を減らせる
購買傾向の把握何をどの順で買っているかを見る提案する商品を決められる
対応履歴の共有問い合わせの記録を残す担当が変わっても継続できる
長期の価値の把握顧客あたりの累計を見る獲得にかけられる上限が分かる

顧客を層に分けられる

初回購入者、複数回購入している顧客、長期間購入がない顧客では、届けるべき内容がまったく異なります。この分類ができて初めて、施策を出し分けられます。

定期購入している顧客に初回限定のクーポンが届くような状態は、管理ができていないという印象を与えます。

全員に同じ内容を送る運用から抜け出すことが、CRM導入の最初の成果になります。

分類そのものは複雑にする必要はありません。初回購入者かどうかで分けるだけでも、配信の内容は変えられます。

慣れてきたら、購入回数や最終購入日を加えて細かくしていけば十分です。

最初から細かく分けすぎると、該当する人数が少なくなり効果も検証できません。

長期の価値を把握できる

1回の購入額だけでなく、その顧客が累計でいくら購入しているかが分かります。この数値が把握できると、新規獲得にかけられる費用の上限も判断できます。

初回は赤字でも、その後の購入で回収できるという構造の事業では、この視点が欠かせません。

ただし、回収できるという前提が崩れることもあります。定期的に実績を確認しましょう。

初回の獲得単価だけで広告の可否を決めていると、判断を誤ります。指標の設計そのものはECサイトに導入するべき7つのKPI!設定方法やKGIとの違いも紹介で整理しています。

継続購入の状況を管理できる

定期購入を扱っている場合、何回目の配送か、解約の兆候はあるかといった状況を把握できます。解約が集中する時期に手厚く接触するといった設計も可能になります。

解約の理由を記録しておけば、商品や運用の改善にもつながります。

定期購入の設計については楽天市場の定期購入を攻略!メリット・デメリットから利用者UP施策まで徹底解説!で解説しています。

対応の質を保てる

問い合わせの履歴が残っていれば、担当者が変わっても経緯を踏まえた対応ができます。同じ説明を繰り返させることもなくなります。

過去にトラブルがあった顧客への対応も、記録があれば慎重に進められます。属人化を防ぐという意味でも価値があります。

担当者の退職や異動によって、蓄積した経験が失われることも防げます。

顧客データの活用をご支援します
FORCE-Rは購買データの分析と消費者調査の両面から、根拠のある改善施策をご提案しています。何を把握すべきかの整理から、お気軽にご相談ください。
> お問い合わせはこちら

導入すべきかどう判断する?

規模と目的によって、必要性は変わります。

件数が少ないうちは表計算ソフトで足りる

顧客数が数百件程度であれば、注文データを書き出して集計するだけでも分析はできます。まずこの形で試し、何を知りたいのかを明確にしてから導入を検討しましょう。

リピート率や購入回数の分布は、この方法でも十分に把握できます。

数値を見て課題が明確になれば、必要な機能も自然に決まります。

手作業で回してみると、必要な項目と不要な項目が見えてきます。この知見がないままツールを選ぶと、機能の多さで判断することになります。

多機能な製品を選んでも、使わない機能に費用を払い続けることになります。

何を知りたいのかが決まっているか

リピート率を上げたいのか、休眠顧客を掘り起こしたいのか、上位顧客を維持したいのかで、必要な機能は変わります。目的が曖昧なまま導入すると、使いこなせません。

複数の目的がある場合も、優先順位をつけておきます。すべてを同時に進めようとすると、どれも中途半端になります。

最初の目的が達成できれば、次の課題に取り組む余裕も生まれます。

データを扱える体制があるか

集計し、示唆を読み取り、施策に落とす担当が必要です。この人がいなければ、蓄積されるだけで活用されない状態になります。

専任である必要はありませんが、月に数時間は確保できる状態が前提です。

誰が担当するかを決めずに導入すると、結局誰も触らないまま費用だけが発生します。

ツールの費用より、運用にかかる人的なコストのほうが大きくなることもあります。誰がどれだけ関われるかを確認しておきましょう。

モールが中心の場合は制約がある

モールでは、顧客情報を自社で自由に扱えないことがあります。取得できる範囲を確認したうえで、導入の要否を判断してください。

自社ECサイトを併用しているなら、そちらの顧客を対象に始めるという進め方もあります。

モールで獲得した顧客に、同梱物を通じて自社サイトを案内するという流れも考えられます。

どう比較する?

タイプと確認項目の両面から整理します。

タイプ別の特徴

タイプ特徴向いている事業者
カート付属型使用中のカートに含まれる追加費用を抑えたい
EC特化型購買分析や配信に強いリピート施策を強化したい
汎用型業種を問わず使える独自の項目を管理したい
統合型MAや問い合わせ管理も含む複数のツールをまとめたい

まず確認すべきは、使っているカートに機能が含まれていないかです。すでに使える機能があるなら、新たに契約する前にそちらを試しましょう。

必要な分析ができるかを確かめてから、足りない部分を補う形で追加を検討するほうが無駄がありません。

既存の機能で足りるのであれば、新たな契約そのものが不要になります。

確認すべき項目

  • 使っているカートと連携できるか
  • 複数の販路のデータを統合できるか
  • 顧客の分類条件を自由に設定できるか
  • 配信機能を含むか、外部と連携するか
  • データを書き出せるか
  • 費用体系と、顧客数が増えたときの変化
  • 最低利用期間と解約時の条件
  • 導入支援とサポートの内容

特に見落とされやすいのがデータを書き出せるかです。将来乗り換える場合、蓄積した情報を持ち出せなければ、ゼロからやり直すことになります。

書き出せる形式も確認しておきましょう。独自の形式でしか出せない場合、他のツールで使えないことがあります。

解約後にデータがどう扱われるかも、契約前に確認しておくべき点です。

複数販路の統合ができるか

モールと自社ECを併用している場合、同じ人が別の顧客として登録されます。これを名寄せできるかどうかで、把握できる実態は変わります。

名寄せができなければ、リピート率も実際より低く出ます。数値の解釈にも影響する点です。

ただし、モール側の制約で完全な統合ができない場合もあります。どこまで可能かを事前に確認しておきましょう。

統合が難しい場合は、販路ごとに別々に管理するという割り切りも必要です。無理に統合するより、正確に把握できる単位で運用するほうが有益です。

分類の条件を自由に設定できるか

購入回数、最終購入日、購入商品、購入金額といった条件を組み合わせて絞り込めるかが重要です。固定された分類しか使えない製品では、自社の課題に合った分析ができません。

たとえば、特定の商品を買った人のうち、3か月以上購入がない層といった抽出ができるかを確認しましょう。

この抽出ができるかどうかで、打てる施策の幅は大きく変わります。

画面の使いやすさ

日々操作するのは現場の担当者です。実際に触ってもらい、扱えるかを確認してから決めましょう。決裁者だけが判断すると、現場で使われない結果になります。

試用期間が設けられている製品であれば、実際のデータを入れて動かしてみるのが確実です。

標準的なデータでは問題なく動いても、自社の条件では合わないことがあります。

導入はどう進める?

順序を守ることで、立ち上げの失敗を防げます。

STEP1:知りたいことを言語化する

リピート率の実態を把握したい、休眠顧客の割合を知りたいといった目的を先に決めます。ここが定まれば、必要な機能も絞れます。

STEP2:現状のデータを確認する

注文データにどんな項目があるか、顧客を識別できる情報が揃っているかを確認します。ゲスト購入が多い場合、同一人物を特定できません。

この段階で不足が分かれば、先に取得する仕組みを整えることもできます。

メールアドレスや電話番号での名寄せができるかも確認しておきましょう。

STEP3:候補を絞って比較する

カートとの連携を最低条件として、3社程度に絞ります。同じ条件を伝えて見積もりを取れば、比較の前提も揃います。

候補を増やしすぎると、比較の軸が定まらず判断できなくなります。

確認項目を一覧にして、各社の回答を並べる形にすると判断しやすくなります。

STEP4:データを整えてから移行する

顧客情報の重複、表記のゆれ、購買履歴の紐づけを確認します。散らかったまま移行すると、整理の作業が後から発生します。

この作業は地味ですが、後の運用の精度を左右します。時間を確保して取り組む価値があります。

顧客数が多いほど、この作業には時間がかかります。スケジュールに組み込んでおきましょう。

STEP5:小さく使い始める

すべての機能を一度に使おうとせず、まず1つの分析や配信から始めます。成果が確認できてから、範囲を広げましょう。

初回購入者の割合を把握する、休眠顧客を抽出するといった単純な使い方から始めるのが現実的です。

STEP6:定期的に確認する運用にする

月に一度は数値を確認する時間を設けます。見る日を決めておかなければ、蓄積されるだけで終わります。

注意点は?

運用面と法令面の両方で、押さえておくべき点があります。

個人データの取り扱い

顧客情報を扱う以上、利用目的を明示し、その範囲内で使うことが前提になります。取得した目的を超えて利用する場合は、あらためて同意が必要になることもあります(参考:個人情報保護委員会)。

外部のサービスに保管する場合、委託先の管理も自社の責任です。契約内容と、データがどこに保管されるかを確認しておきましょう。

海外にデータが保管される場合は、別の確認事項が生じることもあります。

社内でも、誰がどの情報にアクセスできるかを決めておく必要があります。全員が全情報を見られる状態は、漏えいの危険を高めます。

権限の設定ができる製品かどうかも、選定時の確認項目に含めておきましょう。

データが整っていなければ機能しない

入力の表記がばらばら、同じ人が複数登録されているといった状態では、正しい分析はできません。導入後も、データの質を保つ運用が必要です。

ゲスト購入を許可している場合、同一人物の特定はさらに難しくなります。会員登録を促す設計とあわせて考えましょう。

新規に登録される情報の形式を統一する仕組みも、あわせて整えておきましょう。

入力の際に選択肢から選ぶ形にしておけば、表記のゆれは大幅に減らせます。

蓄積するだけで終わらせない

情報が溜まっていくこと自体には価値がありません。分析し、施策に落とし、結果を確認するところまでが一連の流れです。

月に一度、数値を見て次の打ち手を決める場を設けておきましょう。

導入から数か月経っても何の施策も打てていない場合、目的の設定か体制に問題があります。

この状態が続くなら、いったん契約を見直す判断も必要です。

ツールに期待しすぎない

顧客理解が深まるかどうかは、数値をどう読み解くかにかかっています。ツールは材料を揃える仕組みであり、判断するのは人です。

数値だけでは分からないことも多くあります。なぜ離れたのか、なぜ選ばれたのかは、顧客に聞かなければ分かりません。定性的な情報とあわせて活用しましょう。

離脱した顧客に理由を尋ねる調査を組み合わせると、数値の背景が見えてきます。対象を絞り込めるという点でも、CRMとの相性は良好です。

まとめ

CRMツールは、顧客に関する情報を1か所に集約し、施策に活用できる状態にする仕組みです。顧客を層に分ける、長期の価値を把握する、対応履歴を共有するといったことが可能になります。

導入の判断は、顧客数と目的で決まります。数百件程度であれば表計算ソフトでも分析でき、まずその形で何を知りたいのかを明確にしてから検討する順序が確実です。

比較では、カートとの連携、複数販路の統合、分類条件の自由度、データの書き出し、費用体系を確認します。導入前にデータを整え、小さく使い始めてください。蓄積するだけで終わらせず、月に一度は数値を確認する運用まで含めて設計しましょう。

顧客理解から売上改善まで、ご相談ください
FORCE-Rは、購買データの分析からリピート施策、商品ページ改善、広告運用までを一貫して支援しています。まずは資料で支援内容をご確認いただくか、現状の課題をお気軽にご相談ください。
> 資料ダウンロードはこちら
> お問い合わせはこちら
一覧に戻る

弊社の紹介資料が
ダウンロードできます

3セットドキュメント

    *は必須入力です

    氏名*
    メールアドレス*
    電話番号*
    会社名*

    Check

    こんな記事も読まれています。

    TOP

    Contact

    お問い合わせ

    03-6555-4129

    お気軽にお問い合わせください。