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中国向け越境ECの販路はどう選ぶ?モデルの違いと判断軸を解説

中国向けの越境ECは、市場の大きさから関心を持つ事業者が多い一方、制度の理解が不十分なまま始めて行き詰まる例も少なくありません。

扱える商品が限られていること、物流の方式によって条件が変わること、集客の仕組みが日本とは異なること。これらを把握しないまま販路だけを決めても、成立しません。

本記事では、物流モデルの違いと制度上の前提を整理したうえで、販路の選び方、始める前に確認すべきこと、そして注意点までを解説します。

なお、制度や条件は変更されることがあります。実際に検討する際は、公的機関の最新情報や専門家に確認したうえで進めてください。

確認したいポイント結論詳細
物流の方式は?直送と保税区の2つが基本在庫を国外に置くか、現地に置くかの違いです。
何でも売れる?扱える商品に制限がある優遇の対象となる品目が一覧で定められています。
販路の選び方は?商材と体制から判断する販路ごとに求められる条件も費用も異なります。
集客はどうする?現地のSNSが起点になる日本と同じ手法は通用しません。
始める前に?商材が扱えるかの確認販路より先に、制度上の可否を確かめます。

この記事でわかること

  • 直送モデルと保税区モデルの違い
  • 扱える商品に関する制度上の前提
  • 販路のタイプと、選定の判断軸
  • 始める前に確認すべき5つの項目
  • 集客の考え方と、実務上の注意点
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中国向け越境ECの仕組みは?

中国向けの越境ECには、商品をどこに置いて、どう届けるかによって複数の方式があります。この違いが、扱える商品や費用の構造を決めます。

販路の選定から入る事業者が多いのですが、実際にはこの方式の理解が先です。方式によって、選べる販路も変わってきます。

どのモールが良いかという問いの前に、自社がどの方式で販売できるのかを確かめる必要があります。

この順序を守るだけで、後戻りの多くは防げます。

販路の提案を受けてから制度を確認するという進め方では、判断の材料がそろいません。

直送モデルと保税区モデル

大きく分けると、注文を受けるたびに国外から個別に発送する直送方式と、あらかじめ現地の保税倉庫に在庫を置く保税区方式があります(参考:ジェトロ「中国における越境ECの概要と留意点」)。

項目直送方式保税区方式
在庫の場所国外に置く現地の保税倉庫に置く
届くまでの日数長くなりやすい短くできる
初期の負担在庫を送る必要がないまとめて送る費用が必要
向くケース販売数が読めない段階一定の販売数が見込める
対象地域広く対応できる指定された地域に限られる

最初から保税倉庫に在庫を置くと、売れ残った場合の負担が大きくなります。まず直送方式で反応を確認し、数量が見込めるようになってから切り替えるという順序が現実的です。

保税倉庫に置いた在庫は、簡単には引き上げられません。この点も含めて判断しましょう。

保管の費用も継続して発生します。回転の見通しが立たないうちは慎重に進めましょう。

扱える商品に制限がある

越境ECとして優遇された条件で輸入できる商品は、あらかじめ一覧で定められています。この一覧に含まれていない品目は、通常の輸入として扱われます。

通常の輸入となる場合、税の負担も手続きも変わります。想定していた価格で販売できなくなることもあります。

一覧は更新されることがあります。過去に確認した内容のまま進めず、直近の情報を確かめましょう。

商品によっては、直送方式では扱えず、保税区方式でのみ可能というものもあります。自社の商品がどちらに該当するかは、販路を決める前に確認すべき事項です。

この場合、在庫を持つ前提での投資が必要になります。小さく試すという進め方が取れないこともあります。

この制約があるかどうかで、参入の難易度は大きく変わります。早い段階で確認しておきましょう。

食品や化粧品では、成分や表示に関する要件も加わります。日本国内と同じ仕様のままでは販売できない場合があります。

原材料の一部が使用できない、表示の内容を変える必要があるといった対応が生じることもあります。商品そのものを見直す必要が出てくる場合もあります。

日本で販売している商品をそのまま出せると考えていると、この段階でつまずきます。

商品の見直しが必要になる場合、対応にかかる期間も見込んでおく必要があります。

購入する側にも条件がある

消費者が越境ECで購入できる金額には、1回あたりと年間の限度が定められています。高額な商品を扱う場合は、この点も考慮が必要です。

限度を超える部分は、優遇の対象外となります。単価の高い商材では、販売の設計そのものに影響します。

セット販売やまとめ買いを設計する際も、この条件を踏まえる必要があります。

日本での設計をそのまま持ち込まず、条件に合わせて組み直しましょう。

また、購入者本人が使用することが前提となっており、転売を目的とした取引は想定されていません。

この前提から、まとめ買いに制限がかかることもあります。大量購入を促す施策は、そのまま適用できない場合があります。

日本国内で有効な客単価向上の施策が、そのまま使えるとは限りません。

どの販路を使うべき?

販路にはいくつかの型があり、それぞれ求められる条件が違います。

販路の型特徴向いている事業者
総合型のモール集客力があるが競争も激しいブランド力と予算がある
SNS起点の販売発信から購入までつながる世界観を伝えたい商材
特定分野に強い販路関心の近い層に届きやすい専門性の高い商材
自社サイト自由度が高いが集客が課題既に認知がある
現地の事業者に卸す販売は任せられる自社で運営する体制がない

総合型のモール

多くの利用者を抱えるため、出品するだけで一定の露出が得られるのが利点です。一方、出店には審査があり、商標の登録や実績を求められることがあります。

審査の基準は公開されていない部分もあり、申請してみなければ分からない面もあります。

準備に時間がかかるため、余裕を持った計画が必要です。

費用も、出店料、保証金、手数料、そして販促の費用が必要になります。競合も多いため、広告を出さなければ埋もれるという構造は日本のモールと同じです。

初期の負担が大きいため、試しに出してみるという進め方には向きません。ある程度の投資を前提に判断する必要があります。

出店を支援する事業者を通じて進める形もあります。費用は増えますが、手続きの負担は減ります。

自社で対応できる範囲を見極めたうえで、任せる部分を決めましょう。

SNS起点の販売

現地では、SNS上で商品を知り、そのまま購入するという流れが一般的になっています。発信と販売が近い距離にある点が特徴です。

複数の媒体があり、それぞれ利用者層も使われ方も異なります。自社の商材に合うものを見極める必要があります。

媒体の勢いも変化します。数年前の情報をもとに判断しないよう注意しましょう。

実際に現地で使われている状況を確認できる手段を持っておくと安心です。

世界観や使い方を伝えられる商材では、この形が力を発揮します。ただし、継続的に発信できる体制が前提になります。

一度投稿しただけでは効果は出ません。日々の運用を担える人がいるかを、開始前に確認しましょう。

投稿の内容も、日本向けとは変える必要があります。同じ素材の使い回しでは反応しません。

自社サイトで販売する

自由度は高いものの、集客をすべて自社で行う必要があります。すでに現地で認知がある場合を除き、単独で成立させるのは容易ではありません。

モールやSNSで認知を得たうえで、自社サイトへ誘導するという組み合わせが現実的です。

また、現地からのアクセスに関する環境の違いにも注意が必要です。表示が遅い、つながりにくいといった状態では成立しません。

日本国内で問題なく表示されていても、現地では別の結果になることがあります。実際に確認する手段を用意しましょう。

選定の判断軸

どれを選ぶかは、次の観点で判断します。

  • 自社の商材が扱える方式に対応しているか
  • 出店の審査条件を満たせるか
  • 初期費用と月々の負担が事業規模に合うか
  • 現地の言語で運用できる体制があるか
  • 物流と在庫の条件に対応できるか

最も重要なのは運用できる体制があるかです。出店できても、問い合わせに答えられなければ評価は下がります。

現地では、対応の速さが評価に直結する傾向があります。営業時間の違いも考慮した体制が求められます。

自動で応答する仕組みを併用するという方法もあります。

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始める前に確認すべきことは?

販路を決める前に確かめておくべき項目があります。

商材が扱えるか

最優先の確認事項です。制度上扱えない商品では、どの販路を選んでも成立しません。品目ごとに条件が異なるため、個別に確認が必要です。

複数の商品を扱っている場合、すべてが同じ条件とは限りません。品目ごとに整理しておきましょう。

扱える商品だけで販路を成立させられるかも、あわせて検討する必要があります。

主力商品が扱えない場合、そもそも参入の判断から見直すことになります。

食品では、原材料や添加物に関する基準、表示の要件が加わります。化粧品でも、成分によっては取り扱いに制約があります。

表示と説明の準備

商品説明はもちろん、注意書きや使用方法も現地の言語で用意する必要があります。翻訳の質が、そのまま信頼につながります。

自動翻訳をそのまま使うと、不自然な表現が残ります。現地の言葉として自然かを確認できる体制を確保しましょう。

商品名の翻訳も重要です。意味が伝わらない、あるいは別の意味に受け取られる表現になっていないかを確認してください。

画像に含まれる文字も対象です。日本語のまま掲載されていると、内容が伝わりません。

物流と在庫の設計

届くまでの日数が長いと、それだけで購入されにくくなります。どの方式を使い、どれだけの在庫を持つかを、販売の見通しとあわせて設計します。

現地の消費者は、到着までの日数に敏感です。日数の表示と実際が食い違えば、評価にも影響します。

通関の状況によって日数が変わることもあります。余裕を持った表示にしておきましょう。

継続的な出荷を前提とした体制については、D2Cにおける物流の重要性でも触れています。

決済の対応

現地で使われている決済手段に対応できなければ、購入されません。日本で一般的な手段とは異なる点に注意が必要です。

モールを使う場合は、その仕組みに含まれることが多くなります。自社サイトで販売する場合は、個別に用意する必要があります。

入金の時期や手数料の条件も、日本国内での取引とは異なります。資金繰りへの影響も確認しておきましょう。

為替の変動による影響も、価格設定の際に考慮が必要です。

商標と権利の確認

現地での商標が、自社とは無関係の第三者に登録されていることがあります。この状態では、販売そのものが困難になる場合があります。

本格的に展開する前に、権利の状況を確認しておきましょう。必要であれば、出願を検討することになります。

出願から登録までには期間がかかります。展開を決めてから動くのでは間に合わないこともあります。

集客はどうする?

日本と同じ手法は通用しません。使われている媒体そのものが違います。

SNSでの発信が起点になる

現地では、SNSで知り、そこで評価を確認し、購入するという流れが定着しています。検索から始まる日本の行動とは異なります。

継続的な発信の設計については、SNS運用の方法とポイントで扱っている考え方も参考になります。ただし、使う媒体は現地のものになります。

第三者の発信が信頼につながる

企業からの説明より、実際に使った人の投稿が重視される傾向があります。使用感を伝える投稿が、購入の判断材料になります。

検索して調べるのではなく、信頼している発信者の投稿から知るという流れが強い点も特徴です。

この構造を理解しないまま、日本と同じ検索対策に費用をかけても成果は出ません。

どこで知られ、どこで判断されるのかを、まず把握しましょう。

依頼して発信してもらう場合は、広告であることが分かる形にする必要があります。この点は日本と同様です。口コミの活用については口コミ・UGCの獲得支援でもご紹介しています。

現地の商習慣に合わせる

大型の販促期間があり、その時期に購入が集中します。在庫の準備も、この周期に合わせて計画する必要があります。

この時期に在庫を切らすと、1年で最大の機会を逃すことになります。

価格の見せ方や、まとめ買いへの反応も日本とは異なります。実際の反応を見ながら調整しましょう。

日本で効いた訴求がそのまま通用するとは限りません。前提を持ち込まず、現地の反応から学ぶ姿勢が必要です。

現地の担当を確保する

言語だけでなく、文化や商習慣を理解している人が必要です。翻訳できるだけでは、細かな判断ができません。

現地の反応を読み取り、次の手を考えられる人がいるかどうかで、成果は大きく変わります。

社内に人材がいない場合、この点が最大の障壁になります。

社内で確保できない場合は、支援する事業者と組むという選択肢もあります。

注意すべき点は?

進めるうえで、見落とされやすい点を挙げます。

制度が変わることを前提にする

扱える品目、税率、限度額といった条件は、見直されることがあります。一度確認したまま運用を続けると、実態と合わなくなる可能性があります。

制度の変更が、事業の前提を覆すこともあります。情報を得る経路を確保しておきましょう。

公的機関が公開している情報を定期的に確認する担当を決めておきましょう。

支援する事業者と組んでいる場合も、最終的な確認は自社の責任です。任せきりにしないようにしましょう。

模倣品への対応

一定の認知を得ると、模倣品が出回ることがあります。商標の登録は、この対策としても意味を持ちます。

模倣品が出た場合の対応方法も、あらかじめ確認しておくと安心です。

販路によっては、権利者向けの申告の仕組みが用意されている場合もあります。

価格の設定

関税や手数料、物流の費用を含めると、日本国内より高くなるのが通常です。この価格で選ばれる理由があるかを確認しましょう。

価格だけで比べられると、現地の商品には勝てません。日本製であることや品質が、価格差を上回る理由になるかを見極めましょう。

その理由を伝えられなければ、価格差はそのまま不利になります。

日本での販売価格と大きく差がある場合、顧客が両方の価格を知っているという前提で説明できる状態にしておく必要があります。

返品と問い合わせ

国をまたぐ返品は、費用も手間もかかります。どこまで対応するのかを、あらかじめ決めて明示しておきましょう。

返送してもらうより、現地で処分してもらうほうが安く済む場合もあります。金額に応じた対応の基準を決めておきましょう。

問い合わせへの対応も、時差と言語の両方を考慮した体制が必要になります。

返信が遅いだけで評価が下がる場合もあります。対応できる時間帯を明示しておきましょう。

小さく始めて確かめる

最初から大きな投資をするのではなく、限られた商品と数量で反応を確認する進め方が安全です。想定と違う結果になることは珍しくありません。

売れる商品が事前の予想と異なることもあります。実際のデータを見てから、規模を判断しましょう。

日本で人気の商品が現地でも売れるとは限りません。逆に、想定していなかった商品が動くこともあります。

この発見を得るためにも、まず少数の商品で試す価値があります。

まとめ

中国向けの越境ECでは、販路を決める前に、自社の商材が制度上扱えるかを確認することが出発点になります。扱える品目は一覧で定められており、方式によって条件も変わります。

物流は、国外から個別に発送する直送方式と、現地の保税倉庫に在庫を置く方式があります。最初は直送方式で反応を確認し、数量が見込めてから切り替えるという順序が現実的です。

販路は、総合型のモール、SNS起点の販売、自社サイトなどから、商材と体制に応じて選びます。最も重要なのは運用できる体制があるかどうかです。あわせて、表示の準備、決済、商標の確認を済ませ、小さく始めて反応を確かめながら進めてください。制度は変更されるため、公的機関の情報を定期的に確認する運用も必要です。

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