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倉庫管理システム「WMS」の4つの基本機能を紹介!導入のメリット・デメリットも解説

「WMSでできる業務を詳しく知りたい」
「システム導入によるメリットや注意点は?」
「選び方が分からないのでアドバイスがほしい」

このようなお悩みをお持ちではありませんか。倉庫管理システムであるWMSで業務を効率化することは、従業員と顧客の満足度を高めることにつながります。

本記事では、倉庫管理システムの概要や基本的な機能、導入するメリットについて詳しく解説します。システムを選ぶ際の基準が理解できる内容になっているため、導入を検討している方はぜひ最後までお読みください。

WMS(倉庫管理システム)の概要を解説

WMSはWarehouse Management Systemの略称で、倉庫内で行われる業務をサポートするシステムです。入出庫管理や在庫管理、出庫管理と幅広い業務で活用可能です。また、受注から配送までバックヤードで行われる業務を「フルフィルメント」と呼ぶこともあります。

商品の多様化やネットショッピング需要の増加により、倉庫内業務は正確性と速さの両方が求められます。しかし物流業界は人手不足が問題となっているため、従業員数を増やして対応する難易度は高まっているのが現状です。

そこで、WMSを導入し倉庫内業務の一部をシステムに代替することで、従業員の業務負荷を減らし、作業効率を上げられます。またシステムを用いることでデータの一元管理が可能になり、分析や改善などさまざまな業務で活用可能です。

また、WMSと類似するシステムとしてTMS(Transport Management System)と呼ばれる輸配送管理システムも存在しています。TMSは配車や配送を管理するシステムで、効率の良い運搬や進捗の可視化が可能になります。

WMSとTMSの2つのシステムを連動させることで、入荷から配達までを一気通貫で管理可能です。

WMSを用いて効率化できる業務である「在庫管理」を適切に行う方法については、関連記事の「フルフィルメントとは注文した商品が手元に届くまでの流れ!9つの手順を解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

WMS(倉庫管理システム)の4つの基本機能

WMSは倉庫内業務を機械で代替することで生産性をあげるシステムで、主に4つの業務管理を担えます。導入する際には自社の倉庫内業務の中で、負荷がかかっている箇所や手が回っていない箇所を優先してください。

まずは人手不足や従業員に別の業務を任せる際に「どのプロセスであればシステム代替可能か」を考えてみましょう。

1. 入荷管理

仕入れ先や卸会社から商品を倉庫に入れる業務を「入荷作業」と呼びます。入荷の際には、どの商品が「いつ」「どれくらい」倉庫に運ばれたかを確認します。例えばWMSの機能であるハンディターミナルを用いることで、システムを使って商品情報を読み取り、当初の予定と差異がないかが簡単に確認可能です。

また、バーコードがついていない商品は、在庫管理がしやすいようにラベル発行も行います。

2. 在庫管理

WMSで商品情報の一元管理を行うことで、各商品の使用期限や倉庫内のどこにいくつ保管してあるかも検索できるようになります。

情報が簡単に取り出せるため、出荷時に商品を探す手間がなくなり、スムーズに検品を行えるようになる点がメリットです。また、使用期限が短いものから優先して出荷できるようになるため、廃棄も減らせて在庫回転率の向上が見込めます。

また、個々の業務進捗状況がリアルタイムで同期できるため、同時に何人かが作業している場合でもピッキングする商品の重複やミスを減らせる点も特徴です。

3. 棚卸管理

商品の在庫確認や整理を行う棚卸業務は、手間や時間がかかるため多くの人手が必要です。しかし、WMS内にある在庫情報を活用することで、棚卸の指示が効率よく実施可能です。

また棚卸時に差異があった際には、その場でリストや報告書も自動で作れる機能があるため、さらなる効率化が図れます。

4. 出荷管理

注文を受けたら、出荷準備に向けて商品をピッキングします。WMSを用いることで、取り出す商品のリスト作成から保管場所の特定まで行うことで、素早いピッキングが可能です。

ピッキング後には、出荷に必要な納品書や送り状の作成もシステム上で可能であり、梱包や配送業務のサポートも行えます。届け先によって書式が異なる場合も、個別で設定しておけば対応可能です。

受注してから出荷までのスピードを早めることで、商品が顧客に届くまでの時間も短縮されて、満足度を高めることにつながります。

WMS(倉庫管理システム)を導入する4つのメリット

ECサイトでの買い物が主流になった現代において、倉庫業務の負荷は増え、さらに複雑化しています。そのため、従業員の負荷や過度な労働を減らし、業務効率を高めていくことが重要です。

WMSを導入することで従業員の負担を減らし、売上につながる業務を任せられるようになります。また、正確性が高まるためミスも減り、顧客満足度の向上にもつながっていきます。倉庫業務の効率化を図る際には、ここで紹介するWMSのメリットを把握した上で導入を検討しましょう。

1. ミスの削減

倉庫内作業は膨大な業務量があります。また、さまざまなECサイトからの注文や多くの商品を扱うため、繰り返しの業務では対応できない場合もあります。そのためすべての作業を人の手で行うと、ミスが発生するリスクが高まってしまいます。

そこでWMSを導入し、システムで管理することでミスを減らすことができます。入荷業務は「ハンディターミナルで読み込む」、出荷準備は「在庫管理している情報をもとに使用期限の近いものから配送する」ことが例としてあげられます。

このようにシステムが行った方が正確性が高まる業務に、優先してWMSを導入していきましょう。

2. 業務の効率化

商品を探すために倉庫内を歩き回り、どの商品の使用期限が一番短いかを人の手で探すことは手間と時間がかかります。「歩く・探す・運ぶ」など誰でもできる業務をシステムに代替することで、効率化が実現します。

業務の効率化が行えると人件費の削減だけでなく、売上に直接つながる業務に従業員の時間を使えるようになる点もメリットです。

3. 業務品質の平準化

システムを用いることで、業務を行う際に必要だった経験や知識量が不要になります。今までは社員でないと対応できなかった業務が、誰がやっても問題ない状態へと変わります。

社員が実施していた業務をアルバイトやパートに任せることで、人件費の削減が可能です。また人員配置の変更や急な退職があった際にも、作業の精度やスピードを落とすことなく今まで通りの業務を行える点も魅力です。

4. 在庫状況の可視化

WMSの導入は、リアルタイムで在庫状況や作業進捗の管理を可能にします。在庫管理を行うことで、顧客からの問い合わせに対してスピーディーに回答でき、顧客満足度を高めることにつながります。さらに使用期限の把握が簡単にできるため、廃棄の削減も可能です。

また作業状況を可視化することで、効率の良い業務や適正がある従業員が一目で分かるようになります。そのため適切な人員体制への変更や、業務体制の見直しも可能です。

卸会社や受注先とシステムを共有することで、生産数や仕入れ数を検討する際のデータとしても使えます。

生産数や仕入れ数の検討に活用できる分析方法については、関連記事の「ABC分析とは商品を重要度ごとに分類する手法!必要性と在庫管理に活用する手順をわかりやすく解説」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

WMS(倉庫管理システム)を導入する2つのデメリット

WMSを導入時には、必要な費用の計算と業務フローの見直しを検討しましょう。導入時のコストや月々かかる費用だけでなく、突発的に発生する可能性があるメンテナンス費も計画に入れておくことが重要です。こちらで解説する注意点に気をつけて、WMSを活用していきましょう。

1. 導入だけでなく改修の費用も見込んでおく必要がある

システム導入時には、機材費や設定費用のコストや利用料としてランニングコストが発生します。また、業務内容に合わせて機能を調整する場合や故障の際に改修するための費用も、事前に計画に入れておきましょう。

また、WMSは販売管理システムや生産管理システムなど、他の業務で用いるシステムと連携することでさらなる価値を発揮します。ただし、連携するためには双方のシステムに改修作業が発生する可能性があります。

同じ販売会社のシステムを一括で導入する場合には問題なくても、別企業のシステムを組み合わせる場合には、想定外の支出により予算を超えないように注意してください。

2. 業務フローの見直しが必要

今まで行っていた業務内容にシステムを組み込むことで、順番ややり方が変わるため、改めて業務フローを見直す必要があります。業務に慣れるまでは、今までよりも時間がかかってしまう場合もあるため、成果が出るまでは根気強く改善を続けましょう。

また、システムが使えるようになるための指導に時間と労力がかかる点にも注意が必要です。どの社員でも使えるようにするため、自社の業務フローに合わせたマニュアルを最初に作ることをおすすめします。

WMS(倉庫管理システム)を導入する際の3つの選定基準

WMSは販売企業ごとに形態や基本機能が異なります。実際に任せたかった業務ができないとなった場合、機能を追加するためにさらにコストがかかるため注意が必要です。

また、システムを一度導入したあとに他社システムに変更する場合は、費用が追加でかかる点はもちろん、せっかく変更した業務フローや覚えた使い方が無駄になってしまいます。こちらで紹介するポイントに注目しながら、長く使えるサービスかも合わせて確認してください。

1. システムの形態

WMSには以下の3つの形態が存在します。

  • クラウド型
  • オンプレミス型
  • パッケージ型

クラウド型はシステムをネットワーク経由で利用するシステムです。インターネット環境があれば手軽に使えるため、初期コストが安く中小企業でも導入しやすい点が特徴です。

オンプレミス型は自社内にサーバーを設置する形式を指します。費用はクラウド型に比べて高くなりますが、自社に合わせたカスタマイズ自由度の高い点が特徴です。

パッケージ型は、オンプレミス型と同様に自社にサーバーを設置するシステムです。しかし、最初から決まった要件で導入するため、オンプレミス型と比較して導入に手間がかからず、費用も抑えられます。

各形態の特徴を理解した上で、目的や代替したい業務内容に合わせて決めていきましょう。

2. 実績・口コミ

業務の基盤となるシステムであるため、長く使えることやエラーが起きにくいことが重要です。そのため、導入実績や口コミを事前に確認しておきましょう。

またシステムの機能や開発会社が得意とする、業界や業務内容が異なる場合もあります。評判が良い場合でも安心せず、できるだけ自社の条件に近い口コミを確認しておくことで失敗のリスクを減らせます。

3. サポート・セキュリティ体制

WMSは倉庫内業務に欠かせないシステムです。エラーにより業務が止まってしまうと、後工程まで遅れが発生してしまいます。そのため、業務中にエラーが起こった際や何か困ったことが起きた際にすぐに対応してもらえるよう、サポート体制が整っているかを確認しておきましょう。

問い合わせ方法や、対応してもらえる時間帯を事前にチェックしておくと安心です。また、社内の多数のデータをシステムに取り込むため、セキュリティ体制が万全であるかも合わせて確認してください。

WMS(倉庫管理システム)の導入にお悩みならFORCE-Rへ相談

WMSを導入することで、ミスの削減や業務の効率化が実現します。特に人手不足に困っている企業におすすめのシステムです。また、人件費の削減やより売上につながる業務を従業員に任せられるメリットもあります。

ただし、WMSは導入して終わりではなく、業務になじむようにフローを見直し、組織体制や従業員の配置を整える必要があります。生産性のために導入したシステムが、逆に業務負荷を増やしてしまう可能性もあるため、業務内に取り入れていく際には専門家のアドバイスを受けることも検討してください。

スムーズな導入支援はもちろん、現在の業務内容にシステムをどう組み込んで変更していくかまでサポート可能です。

また、FORCE-Rでは導入時の支援に限らず、自社だけで運用していくためのサポートも実施します。WMSの導入を検討している企業担当者は、お気軽にFORCE-Rまでお問い合わせください。

まとめ|WMS(倉庫管理システム)を活用して業務を効率化しよう

WMSを用いることで業務量の削減はもちろん、経験や知識がなくても倉庫内業務が行えるようにできます。標準化できるとアルバイトやパートの活用も可能になり、人件費を抑えられます。また従業員は、売上に直結する業務に集中できる点もメリットです。

また、WMSを他のシステムと連携することで倉庫内業務だけでなく、すべてのプロセスにおいて人が行う作業を最小限にすることで、ミスの少ないスムーズな業務が可能です。

WMSの導入を検討している企業は一度専門家へ相談することで、解決できる課題や受けられるメリットが明確になります。 FORCE-Rでは強みである専門知識と組織体制により、手厚いサポートをお約束します。WMSの導入を検討している方は、ぜひご相談ください。

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執行役員 WEBコンサルティング事業部 ECグループ:本多 一成

EC事業会社にて、Amazon/楽天/Yahoo!ショッピングの運営、物流・CSなどに携わる。 その経験をもとに、各モールのコンサルタントとしてFORCE-Rに従事。 楽天市場が得意。担当案件では前年比200%の売上達成した実績も。

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