「OEMについてわかりやすく解説してほしい」
「OEMとODMとPBの違いって?」
「委託する側としてOEMの成功事例や注意点を調べている」
OEMに興味を持っている中で、上記のような疑問や悩みを抱えていないでしょうか。OEMを効果的に活用することで、製造コストを抑えながら商品のラインナップが増やせます。一方でOEMメーカー選びに失敗すると「希望しているスケジュールで商品が納品されない」といった不利益を被る場合もあるため注意が必要です。
そこで本記事では、OEMの意味や委託先企業を選ぶ際の注意点について紹介します。開発コストの削減や商品ラインナップに課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
OEMとは?ODMやPBとの違いもわかりやすく解説
まずは、OEMの意味や略称について解説します。製品の製造を行うにあたって、OEM以外にもODMやPBなど似た意味の用語があるため、混同しないよう定義を確認しておきましょう。
1. OEMとは
OEMとは「Original Equipment Manufacturing」の略称で、他社ブランドの商品を製造することです。実際に製造を行う企業は「OEM業者」や「OEMメーカー」と呼ばれます。一般的にOEMは、製造過程を外部の企業に委託するケースを指します。OEMは特定の業界に限らず、アパレルや自動車などの業種で幅広く取り入れられている方法です。
OEMに関しては販売元と製造元が違うため、違和感がある方もいるのではないでしょうか。OEMの場合、販売元の企業はあくまで製造を委託しているだけです。販売元企業が企画・開発に携わり、製造を別の企業や海外の工場に委託して商品を販売するケースは増えています。
2. ODMとの違い
ODMとは「Original Design Manufacturing」の略称で、受託する企業が商品の設計から製造までを行うことです。企業間の取り組み次第では、企画や製造に加えてOEM企業がマーケティングに携わる場合もあります。
OEMは商品の生産過程をメインに受託し、ODMは製造だけでなく企画や設計段階から携わります。ブランド力がある企業の場合は、ODMで設計から製造までを委託することで、販売に注力できる点がメリットです。
3. PBとの違い
PBとは「Private Brand」の略称で、小売業者が企画を行ったうえでOEMメーカーに製造を依頼することです。PBという呼び名自体は、販売を行う企業側で使われるのが一般的です。
OEMはメーカーが別の企業へ委託するケースを指し、PBは小売業者が商品を企画したうえで、販売元企業が製造を依頼します。製造された商品は、小売業者のブランド名で売り出されます。身近なケースとしては、コンビニエンスストアやスーパーなどが代表的です。
OEMの形態は主に2種類
OEMの取引形態は、大きく2種類に分かれます。それぞれ、どのような違いがあるのか理解しておきましょう。
1. 製造を委託する企業が主導
すでにブランドをもっている企業や、自社ブランドで新たに商品をつくりたい企業がコンセプト設計を行い、OEMメーカーに製造を委託するケースです。自社よりも委託先の技術が劣るようであれば指導を行い、逆の場合は委託先のノウハウを活用して製造を進めていきます。
委託する企業は、急に需要が伸びた場合でもOEMメーカーへ製造を依頼することで生産数を伸ばせます。また需要の見極めが難しい分野において、ロット数を少なくしてテストマーケティングを行える点もメリットです。
2. 製造を行うOEMメーカーが主導
OEMメーカーが商品を企画し、製造を委託する企業のブランド力を活用して販売するケースです。OEMメーカーの技術力や生産体制は整っているものの、ブランド力がないケースが該当します。
ブランド力のない会社は知名度がないことから魅力的な商品を販売しても、多くの消費者に購入してもらうことが難しい場合が多くあります。知名度がある企業のブランドを利用することで、OEMメーカーは効率的に自社の売上を伸ばすことができます。委託する会社にとっても、製造以外の業務に注力できる点がこの取引業態のメリットです。
企業がOEMに取り組む3つの理由
ここでは、企業がOEMに取り組む理由について解説します。OEMは自社のリソースや製造体制次第では、商品ラインナップを充実させるのに効果的な手法です。OEMに取り組むと、委託する企業にとって「どのようなメリットがあるのか」理解しておきましょう。
1. 商品の開発コストを削減できる
OEMに取り組むことで、商品製造を行うための自社の設備投資を行う必要がなくなり、商品開発から製造までのコストを抑えられます。
人件費や光熱費も含めた多額のコストをかけて製造体制を整えても売上が伸びず、設備投資のコストを回収できないケースもあります。OEMであれば工場や人材の確保といった、商品の開発にかかるコストやリスクを抑えることが可能です。
2. 製造以外の業務に注力できる
OEMメーカーに委託することで製造以外の業務に注力でき、必要なリソースを企画や集客といったほかの業務に充てられます。ECサイトを運営する場合は、商品の製造以外にもさまざまな業務があります。
商品の企画や販売する際のプロモーション戦略など、売上を増やすためには製造以外の業務にもリソースが必要です。また企業によっては、商品の企画と販売を同じ担当者や部門が担っているケースもあります。そこでOEMを活用することにより、担当者が製造以外の業務に注力できるようになります。
3. 在庫を抱えるリスクを抑えられる
小ロットから製造できるOEMメーカーに商品の製造を委託すれば、在庫を抱えるリスクを抑えられます。
OEMメーカーが小ロットで受注できる理由は、原料の調達や製造を自社でコントロールしやすいためです。仮に自社で小ロットの製造を行う場合、製造効率が悪くなり商品単価を高く設定しなければなりません。そのため、小ロットでの委託が可能であることを強みにしているOEMメーカーもあります。
新商品の場合は売上を予測しにくく、自社で製造しても売れなかった際に、余剰在庫になってしまうことがあります。しかしOEMであれば小ロットで依頼できるため、商品の売れ行きを見ながら、生産数を徐々に増やすといった対応が可能です。
OEMにおける委託側の3つの注意点
OEMにおける委託側の注意点は、大きくわけて3つあります。先々自社にとって不利益をもたらす可能性があるため、事前に理解しておきましょう。
1. 自社にノウハウが蓄積されない
製造を委託するにあたって、OEMメーカーに頼りすぎてしまうと、自社生産のノウハウが蓄積されません。委託する内容や取り組み次第では、OEMメーカー内で製造が完結する場合もあります。
ノウハウや製造のリソースがなくても商品を生産できるのは魅力ですが、すべて丸投げしてしまうと自社の成長を妨げてしまいます。規模の小さな会社がOEMに取り組む際は、自社の技術力も並行して高めていけるようにしましょう。
2. 生産コストのコントロールが難しい
自社で製造する場合と比較した際、生産コストがコントロールしづらいことに注意が必要です。気候の変動や社会情勢の影響を受けて、材料費が高騰する場合があります。
自社で製造している場合は、社会情勢なども踏まえて調達先を変えるなどしてコストカットが可能です。しかし、製造をOEMメーカーへ完全に委託している場合は調達先変更の指示が難しいため、材料費が高騰した際の利益率は低くなります。
3. 委託先が競合になる可能性がある
OEMが委託先の技術力向上や販売ノウハウの獲得につながることで、将来的に競合企業となる場合があります。OEMメーカーが委託された企業の商品開発や販売のノウハウを吸収して、自社ブランドを立ち上げるケースは多いです。
またOEMメーカーは大手ブランドの商品製造を受託すること自体が、自社のブランド力を高めることにつながります。OEMメーカーが自社の競合になるケースもあるため、委託先企業の選定は慎重に行わなければなりません。特別な資格や技術を用いて製造を行う場合は、とくに注意が必要です。
OEMメーカー選びで重要な3つのポイント
OEMメーカーを選ぶ際は、重要なポイントが3つあります。魅力的な製品を製造してもらえるよう、事前に理解しておきましょう。
1. 依頼する製品の開発実績
自社業種での開発実績があれば、製品の製造をスムーズに進められます。自社の業種において開発実績がない場合は「製造に時間がかかる」「そもそも希望している商品の生産ができない」といったこともあるため注意が必要です。
OEMメーカーによっては、得意としている業種や知見がない業種もあります。自社の業界における製造ノウハウがないOEMメーカーに依頼しても、魅力的な商品は作れません。そのためOEMを行う際は、自社の業界における製造実績がある企業に委託しましょう。
2. 希望するロット数とスケジュールへの対応
希望するロット数とスケジュールへの対応が可能であるかは、委託するOEMメーカー選びで重要なポイントです。OEMメーカーや商品によって、対応できるロット数が変わります。
また委託するOEMメーカー次第で、製造スケジュールが変わることは多いです。発売日や発売個数が決まっている場合は、自社の要望に応えてもらえるか確認をしておかなければトラブルになります。「自社の要望に対して応えられる体制があるか」を基準に、委託先となる企業を決めるようにしましょう。
3. 品質管理とサポート体制
品質管理とサポート体制は、OEMメーカーへ委託する際に確認しておく必要があります。品質管理を行う体制が整っていない場合、納品された製品に不具合が発生し、販売できずに不利益を被る場合があるからです。
品質管理とは、製造時に不良品が発生しないように管理を行うことです。品質の高い製品を納品できる体制が、きちんと整えられているか確認しましょう。
また製品製造の知見をもたない企業の場合は、要望に合わせてサポートしてもらえるOEMメーカーなら安心して委託できます。委託する前には、製造実績だけでなくサポートについても確認するようにしましょう。
OEMにおける3つの成功事例
ここでは、OEMにおける成功事例を3つ紹介します。OEMは、さまざまな業界で活用されている方法です。代表的な事例を知ることが、OEMでの取り組みにおいて成功するイメージを持つのに役立ちます。
1. アパレル
アパレル系の企業においては人件費や材料費を抑えるために、海外で製品を製造しているケースが多くあります。海外で洋服などの衣類をつくる方が、材料費や人件費を削減できるからです。
アパレル業界における、OEMの有名な企業はユニクロです。ユニクロは中国やベトナムの企業に、洋服の製造を委託しています。国内のユニクロで販売されている商品であっても、タグを見ると中国製などと書かれているケースがあるはずです。
OEMはアパレル業界で主流となっており、製造コストを抑えるために海外の企業に製造を委託するケースが増えています。
2. 自動車
自動車メーカーは、OEMにおいて有名な事例がある業界です。例えばダイハツの「ブーン」は、トヨタでは「パッソ」という名前で販売されています。
また、マツダやスバルは自社で軽自動車の製造を行っていませんが、OEMを行うことでラインナップを増やしています。車を購入する方のなかには、特定のメーカーでしか買わない方もいるはずです。自社で軽自動車の製造を行っていなくても、OEMを活用することで消費者のニーズへ応えられるようになります。
3. 食品
食品は、OEMが積極的に行われている代表的な業界です。例えばスーパーやコンビニエンスストアは有名であり、イオンの「トップバリュー」やセブン-イレブンの「セブンプレミアム」といったPBは、OEMで製造されています。
特定のコンビニエンスストアだけで販売を行っている商品でも、製造は別の企業で行っているケースは多いです。OEMを活用して自社ならではの魅力的なオリジナル商品を販売することで、ブランドのイメージを向上させる効果が期待できます。
OEMで商品を作っても集客は自社で行う必要がある
OEMはあくまで製造を委託するため、商品の販売自体は基本的に自社で行う必要があります。どれだけ良い商品であっても、ECサイト上のみでしか掲載しないなどプロモーション戦略に問題がある場合は、販売個数を伸ばすのは難しくなります。
新商品のプロモーションは、数日で実施できるものではありません。納品されてから集客戦略を考えていては間に合わないため、商品の開発と同時並行で進めておく必要があります。
ECサイトにおける集客方法については、関連記事の「【徹底解説】ECサイトの集客に効果的な手法5選!成功事例も紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトでの販売戦略について相談するならFORCE-R
OEMによって商品を製造したあとで、ECサイトで販売する際にどのような戦略を取れば良いのかわからず、施策の立案が進まないケースもあります。OEM商品を自社ECサイトで訴求するにあたって、販売戦略を相談したい場合はFORCE-Rにご相談ください。
FORCE-RはEC業界の実績が豊富であり、OEMの新商品を発売する際に「どのようなプロモーションを仕掛けるのが良いか」提案できます。またECサイトで販売する場合、知見がない企業に対しても要望に合わせて施策の提案を行うことが可能です。
まとめ|OEM商品を加えて自社ブランドの売上アップにつなげよう
OEMとは、他社ブランドの商品を製造することです。OEMには商品の開発コストを抑えられるといったメリットがあるため、大手企業では積極的に行われています。
委託する際は「希望するロット数で対応してもらえるか」や「自社の業界における商品の製造実績があるか」を事前に確認しておく必要があります。また委託先の企業が先々競合になり得る可能性もあるため、OEMメーカーを選定する際は慎重に行いましょう。
OEMの新商品を自社ECサイトで販売する際に、どのようなプロモーション戦略を行えば良いかわからない場合は、EC業界における知見が豊富なFORCE-Rへご相談ください。専任のコンサルタントがターゲットに合わせて最適な戦略を提案し、ECサイトの売上アップに向けて全力でサポートいたします。