「自社メディアやアプリを活かした広告配信の方法が知りたい」
「データを活かした精度の高い広告配信を行いたい」
「売上が停滞しており、新たな収益源を得たい」
このような要望をお持ちではありませんか。小売店が提供する広告媒体である「リテールメディア」を活用すれば、精度の高い広告配信が可能です。また、広告枠を販売することで本業とは別の収益を得られます。
本記事では、リテールメディアが注目された背景や利用者別のメリットを詳しく解説します。広告配信方法も合わせて紹介するため、リテールメディアに取り組みたい担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
| 重要項目 | 概要 | 施策内容 |
| 成長背景と市場ポテンシャル | 個人情報規制強化・リテールDX進展・新収益源ニーズにより急成長市場へ | ファーストパーティデータ活用体制の構築、広告事業としての中長期戦略設計、早期参入による優位性確保 |
| 三者メリットと媒体設計 | 小売・広告主・消費者それぞれに価値を生む三方良しモデル | EC・アプリ・サイネージ・POPの統合設計、購買データ起点ターゲティング、体験を損なわない広告設計 |
| 事業化成功条件と実行体制 | データ基盤・会員規模・専任組織・営業力が収益化の鍵 | ID-POS×会員ID統合、専任チーム設置、KPI設計、小規模検証→段階拡張、成果レポートによる継続出稿促進 |
| <本記事から分かるポイント> ・リテールメディアの定義とオンライン・オフライン媒体像 ・注目背景(個人情報規制/リテールDX/新収益源) ・三者別メリット設計(小売・広告主・消費者) ・4種類(EC・アプリ・サイネージ・POP)の使い分け ・事業化の成功条件(データ基盤・会員規模・専任組織・営業力・KPI) |
Contents
リテールメディアとは小売店が提供する広告媒体
リテールメディアとは、小売業を営む企業が提供する広告媒体のことです。メーカーやブランドが広告主として、小売店が運営するメディアに出稿する仕組みです。ECサイトやアプリのようなオンライン広告と、デジタルサイネージや店頭ポップのようなオフライン広告の両方が存在します。
小売業で収集した消費者の購買データや利用情報をもとに、ターゲットであるユーザーへ精度の高い広告配信を行える点が利点です。小売店側も新たな収益を得られる仕組みとして、近年注目が集まっています。
似た戦略として、オンライン・オフラインで得られる顧客接点データを統合することで、効果的なマーケティングを行うオムニチャネルという手法があります。オムニチャネルは企業視点の戦略であるのに対し、リテールメディアは広告主と小売店、顧客のそれぞれの視点から考える戦略である点が違いです。
オムニチャネルについては、関連記事「オムニチャネル戦略の5つの効果と実行方法を5ステップで解説【成功事例も紹介】」で詳しく解説しているため、こちらもぜひ参考にしてください。
リテールメディアが注目される3つの背景
リテールメディアは、個人情報規制の高まりやメディア活用方法の変化に伴い、近年注目を浴び始めました。アメリカと比較すると日本での市場規模はまだまだ小さいものの、今後数年で今の6倍ほどに成長する見通しもあります。
今後さらにリテールメディアが注目されていくであろう、3つの背景について解説していきます。
1. 個人情報保護の強化
プライバシーや個人情報保護の観点より、2023年にはGoogleが「サードパーティクッキー」の廃止を表明しました。クッキーとは消費者がWebサービスを訪れた際に、行動ログや入力情報を一時的に保存する仕組みです。
これまでは、このデータをもとにユーザーの属性や興味関心を推測し、広告へ活用していました。サードパーティクッキーが規制されると、広告主はユーザーの情報を得られないまま広告配信を行うため、精度が落ちてしまう懸念があります。
そこで小売企業が直接入手している「ファーストパーティデータ」の重要性が高まったのです。ファーストパーティデータを用いることで、規制を受けずに精度の高い広告配信が可能です。これにより、ファーストパーティデータが活用可能なリテールメディアが注目されるようになりました。
2. リテールDXの進化
リテールDXとは、仕入れから販売まで小売業における一連の業務を、IoTやAIのようなテクノロジーを活用しながら業務を行う仕組み構築を指します。リテールDXが推進されることで、さまざまなデータを活用した高度なマーケティングが行えるようになった点も、リテールメディアの促進の一因です。
例えば「過去の購買データをもとに顧客の属性を分析する」「商品ごとの売れ行きをもとに適切な訴求案を出す」といったマーケティング施策が実現できます。自社で保有している顧客データをリテールメディアのマーケティングに活用することで、ユーザーのニーズに合わせた広告配信が可能です。
3. 新たな市場を開拓する必要性
日本をはじめとする先進国では人口減少が進んでいる上に、手軽に開設できるネットショッピングも広く普及したことで、企業間での競争が激しくなっています。つまり、小売企業が本業だけで売上成長をする難易度は年々上がっている状況です。
一方で、精度の高い広告を配信できるリテールメディアは近年急成長しており、小売企業にとっては新たな収益源として注目されています。日本より早くから浸透していたアメリカでも、Amazonのような大手小売企業も続々と参入し、さらなる成長が予測されています。
日本でも2021年時点で約90億円だった市場規模が、2026年には800億円を超える見通しです。新たな市場を作っていく点でも、リテールメディアは注目を浴びています。
参照:CARTA HOLDINGS|CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施~リテールメディア広告市場は2022年に135億円、2026年には805億円と予測~
リテールメディア市場の最新動向と今後の成長ポテンシャル
リテールメディアは拡大初期段階にあり、参入余地が大きい成長分野といえます。理由として、日本国内では2021年に約90億円規模だった市場が2026年には800億円を超える見通しとされ、数年間で急拡大する予測が示されています。さらにEC利用率の上昇や購買データの統合が進むことで、追加的な市場拡張も期待されているのです。
海外では、AmazonやWalmartが広告事業を高収益部門へ育成し、本業を上回る利益率を生み出している点が注目材料です。検索広告やSNS広告に続く第三の広告市場と呼ばれる背景には、購買履歴に直結したデータ活用による高い投資対効果があります。
成長段階で参入すれば広告商品設計や主要取引先との関係構築で優位性を確保できるため、機会損失を避ける意味でも早期検討が重要といえます。
【対象者別】リテールメディアのメリット
リテールメディアは「小売企業」「広告主」「消費者」の三方よしを考える戦略です。そのため、各対象者がどのようなメリットを受けられるかを事前に知っておくことが重要です。
ここでは、対象者別にメリットを紹介していくので、自社でリテールメディアを展開していく際の参考にしてください。
1. 小売企業(リテール企業)
小売企業にとっては、リテールメディアを通じた売上アップが可能です。なぜならデータを活かした、精度の高いターゲティング広告を用いた新規顧客の開拓が行えるためです。
また既存顧客にも「ニーズに合わせた広告配信」や「適切なタイミングでのクーポン配布」が実施できます。さらに広告枠をメーカーやブランドに販売することで、小売業以外での新たな収益源となる点もメリットです。
2. 広告主(メーカーやブランド)
サードパーティクッキーが規制されていくと、十分なユーザー情報が得られないまま広告配信を行うこととなり、精度の高い広告が出しづらくなります。そこで小売企業が持つ顧客データをもとに広告配信を行うことで、自社がターゲットにしたいユーザーへ適切なタイミングで情報が届けられます。
来店時に見るデジタルサイネージや、既存顧客の情報を取得しているアプリ上では、購買意欲の高いユーザーへ広告配信ができる点もメリットです。
3. 消費者
消費者としても、興味のない広告ではなく関心の高い情報を受け取れることで、ストレスなく買い物が楽しめます。また「ニーズはあるが気づいていなかった情報」へ触れることで、新たな気づきや購入機会の損失を回避することが可能です。
不要な広告を減らして関心の高い情報のみに触れられるようになれば、より快適な購買体験が実現します。
関連記事:ライブコマースが日本で流行らない3つの理由!ECで活用する方法と成功事例を紹介
リテールメディアの4つの種類
リテールメディアには、ECサイトやアプリのようなオンラインとデジタルサイネージや店頭POPのようなオフラインの両方が存在しています。
それぞれの特徴や強みを把握しておくことで、自社にあった戦略を検討できます。ここで紹介する内容を、リテールメディアを始める際の参考にしてください。
1. ECサイト
ECサイトを用いる場合には、以下の箇所に広告を表示します。
- バナー
- 関連商品
- 検索結果一覧
ECサイトを元々運営している場合には、手間やコストを抑えて開始できる点が特徴です。広告主であるメーカーは、自社サイトへ流入することがなかった新たな客層へ認知を広げられ、購入数の増加が期待できます。
ECサイト内での行動・購入履歴を活用することで、消費者のニーズに沿った広告配信が可能です。
2. アプリ
アプリを用いれば、プッシュ広告やメッセージによる情報配信が可能です。会員情報や行動履歴などのファーストパーティデータを活用することで、ターゲットごとに最適な広告配信が行えます。
また利用者の位置情報を特定できる機能を備えることで、来店中や店舗近くを通りがかった際にプッシュ通知を配信できます。クーポンの配布による購買意欲の向上や、存在に気づいてもらうことによる来店意欲の促進が可能です。
広告のようなオンライン施策と、店舗近くで通知を送るようなオフライン施策を融合させることで、新たな顧客接点を持てる点が特徴です。
3. デジタルサイネージ
店頭に設置されるデジタルサイネージは、静止画だけでなく動画や音声でも訴求が可能なため、見た人の記憶に残りやすい点が特徴です。曜日や時間帯、天気などの条件によって表示する内容を変更できるため、利用する顧客層に合わせた広告配信が可能です。
例えば気温が高くなってきた時期には「アイスコーヒーやかき氷」を、秋以降で冷え込む時間帯には「おでん」のように、天気や気温に併せた広告表示を行います。平日・休日で会社員とファミリーなど、来店層が変わる地域でも効果的です。
ECサイトやアプリで配信した広告内容を繰り返し表示することでリマインドにつながり、商品を想起してもらいやすくなる点もメリットです。
4. 店頭POP
商品棚に設置する店頭POPでは、メーカー側と小売企業側で一緒に販売戦略を立てることで、より効果的な訴求が可能になります。例えば新発売のお菓子やデザートを、メーカーのSNSやECサイトと店頭POPの両方に、同内容で訴求することで顧客の認知度が高まります。
商品棚を見る際に「おすすめされている」「人気である」と感じてもらうことで、実際に手に取ってもらえる確率を上げられる点が特徴です。
リテールメディア導入前に押さえるべき成功条件
リテールメディアは成長市場である一方、準備不足のまま開始すると成果につながりにくい領域でもあります。導入可否を判断するためには、感覚ではなく具体的なチェック項目で自社状況を整理することが必要です。
ここでは、事業化を現実的に進めるために確認すべき重要ポイントを順に解説します。
活用可能なデータ基盤は整っているか
購買データと会員情報が連携された基盤がなければ収益化は難しいといえます。理由は、広告主が求めるのは閲覧履歴ではなく実購買に基づく精緻なターゲティングだからです。
ID-POSの蓄積状況、会員IDとのひも付け精度、ECと店舗データの統合可否を確認する必要があります。加えて、データの更新頻度や粒度も重要な評価軸になります。購買履歴がリアルタイムに近い形で反映される環境であれば、販促効果の検証も迅速に行えるでしょう。
分析可能な状態でデータが整理されているかを事前に点検することが、導入成否を分ける前提条件となります。
事業化に耐えうる会員規模を確保できているか
一定規模の会員基盤が存在しなければ広告事業としての説得力は生まれにくいです。なぜなら、広告主が重視する指標がリーチ可能な母数とアクティブ率だからです。
数十万単位の会員登録が目安となり、アプリ利用率や月間アクティブ率も検討材料になります。来店頻度と会員接触頻度の相関を把握できていれば、配信価値を具体的に示せます。規模だけでなく、実際に接触できるユーザー割合が高いかどうかが重要です。
広告主へ提案する際に提示できる定量データが整っているかを確認することが、事業化判断の基準となります。
専任組織と意思決定体制を構築できるか
専任体制を敷かなければ継続的な成果は期待しにくいでしょう。理由は、広告商品設計、データ分析、配信運用が横断的に連携する必要があるためです。
分析担当が購買傾向を抽出し、商品設計担当が広告メニューへ落とし込み、運用担当が配信改善を行う体制が求められます。さらに、経営層直轄で意思決定を行える環境が整っていれば、迅速な改善が可能です。
兼務体制では優先順位が下がりやすく、成長機会を逃す恐れがあります。組織設計が明確かどうかが、導入前に見極めるべき重要要素となるでしょう。
広告主を開拓できる営業力があるか
広告商品は設計より販売の難易度が高い分野です。なぜなら、広告主が継続出稿を判断する材料として具体的成果を求めるからです。
既存メーカーとの関係性を活用できるか、媒体価値を説明できる営業資料が整備されているかが問われます。加えて、成果レポートの設計や改善提案の仕組みが構築されていれば、長期契約へつながります。
単発案件に終わらせないためには、再出稿を促すデータ提示が不可欠です。営業力と分析力が連動している体制かどうかが、収益拡大の鍵を握ります。
成功企業に共通する戦略的特徴とは
成功企業は段階的な拡張と明確なKPI設計を徹底しています。理由は、初期段階で過度な投資を行うよりも、小規模検証を重ねた方が改善速度を高められるからです。
既存アプリやEC基盤を活用し、限定的な広告枠から開始する事例が多くみられます。加えて、売上増加率や広告接触後の購買率など具体指標を設定し、定期的に評価しています。
利用者体験を損なわない広告表示設計も重要な成功要因です。拡張より検証を優先する姿勢が、安定成長を支える共通項といえます。
リテールメディアの成功事例
国内外問わず、リテールメディアに挑戦している企業は多数存在しています。新しい取り組みを始める際には、成功している企業のやり方を取り入れていくことが近道です。
ここでは2つの企業の成功事例を紹介していきます。リテールメディアに挑戦する際、成功の確率があげられるよう取り入れられるポイントを探してください。
1. セブンイレブン
セブンイレブンでは、自社アプリ内で消費者の行動履歴をもとにした広告配信を実施しています。アプリには約2,000万人もの会員がおり、膨大な顧客データを活用することでニーズにあった情報配信が可能となります。
またリテールメディア専門の部署を作り、バナーを用いた新製品の宣伝やクーポン配布による購入の後押しを行うことで、購入数の増加を実現しました。今後は全国各地にある実店舗で、デジタルサイネージを活用した広告配信にも力を入れていく戦略です。
参照:DIAMOND Chain Store|リテールメディアに本格参入、顧客接点の質を高めて選ばれる媒体へ=セブン-イレブン・ジャパン
2. Walmart(ウォルマート)
アメリカにある大手小売企業であるWalmartは「アメリカ国内でトップ10に入る広告プラットフォーム」を目標に、リテールメディアを展開しています。自社ECサイトやアプリ内の広告設置だけでなく、自社で保有している顧客データと約5,000店舗に17万台設置されたデジタルサイネージを活用した広告配信も行っています。
その結果2022年には前年比40%成長の広告収入となり、新設したデジタル広告部門を中心に今後もリテールメディアを強化していく方針とのことです。
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小売企業がリテールメディアを立ち上げることは、保有するデータを活用した精度の高い広告配信や新たな収益源の確保など、さまざまなメリットがあります。しかし、自社でリテールメディアの構築から運営、改善を行っていくためには専門知識を持った人材が必要です。また常に分析や改善案を出す必要があるため、専門部署の設置が欠かせません。
自社で専門知識を持った人材を中心とした部署を立ち上げるのが難しい場合には、リテールメディア運営の専門家に依頼することをおすすめします。
FORCE-Rであれば、既存のリソースやデータに合わせたリテールメディア構築から、最短で成果につなげるための施策立案や改善まで一気通貫でサポート可能です。また、自社の社員だけで運営ができる体制づくりも合わせて支援できます。リテールメディアを立ち上げる予定の企業担当者の方は、ぜひお問い合わせください。
関連記事:SNS広告とは?費用・メリット・効果・成功事例をわかりやすく解説
まとめ|リテールメディアを活用して、新たな顧客や収益源を確保しよう
リテールメディアは「小売企業」「メーカーやブランドの広告主」「消費者」の3方良しな戦略です。小売企業が新たな収益源を得られ、広告主はサードパーティクッキーに依存せずに精度の高い広告配信が可能になるためです。
ただし、リテールメディアの構築や適切な広告配信を行うためには、メディア立ち上げの知見やマーケティングスキルが欠かせません。運用には手間もかかるため、専門人材や部署の確保がおすすめです。
FORCE-Rではメディア構築やマーケティング支援を得意とする専門スタッフがおり、リテールメディアを軌道に乗せるまで支援が可能です。リテールメディアにお悩みの企業担当者の方は、以下の問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。




