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ECにおける利益率は20%が目安!収益性を改善する7つの施策を解説

「ECサイトの売上は伸びているが利益につながらず悩んでいる」
「自社の利益率が適切な数値かどうか分からず不安」
「ECの利益率を向上させる具体的な方法を知りたい」

EC事業における利益率について、上記のような悩みや課題を持っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。ECにおいて業績を上げるためには、商品の売上を伸ばすだけでなく、適切な利益率を維持する必要があります。利益率が低いと十分な収益を得られず、赤字になるリスクが上がるため注意が必要です。

本記事では、EC事業において重視すべき利益率の種類や改善方法を解説します。自社ECにおける利益率を向上させ業績アップにつなげたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

Contents

自社ECの利益率は健全?3分でできる簡易チェックリスト

売上高が伸びていても、最終的な手元資金が増えていない場合は収益構造に課題が潜んでいる可能性があります。営業利益率の水準や固定費の割合を把握せずに運営を続けると、拡大するほど利益が薄まる事態に陥りかねません。

まずは現状を客観的に確認することが重要です。ここでは、利益率の健全性を短時間で見極めるための視点を整理します。

売上が増えてもキャッシュが残らない理由とは

売上拡大と資金増加は必ずしも一致しません。理由は、広告費や値引き、送料負担などの変動費が売上増加と比例して膨らむ構造にあります。

たとえば月商が前月比120%になっても、同時に広告投資を大幅に増やしていれば営業利益はほとんど残らない状況が生まれます。さらに在庫を積み増す運営方針を取っている場合、仕入れ資金が先に出ていくため帳簿上は黒字でも資金繰りが厳しくなるケースも少なくありません。

診断の第一歩として、売上高だけでなく広告費率、送料率、在庫回転率を一覧化し、売上増加分に対して利益がどれだけ積み上がっているかを確認する必要があります。数字を分解して把握すれば、資金が残らない原因を特定できるはずです。

営業利益率が10%未満の場合に疑うべきポイント

営業利益率が10%を下回る状態は、長期的な成長投資が難しくなる水準です。主な要因として、固定費の膨張や顧客獲得単価の上昇が挙げられます。

たとえば毎月一定額のシステム利用料や人件費が発生しているにもかかわらず、売上規模が十分でない場合、利益率は簡単に圧迫されるでしょう。加えて広告依存型の集客モデルでは、新規顧客を増やすほど費用も増大し、利益率が改善しにくい傾向があります。

確認すべき項目は、販促費が売上の何%を占めているか、リピーター比率がどれほどあるか、平均客単価が適正かという三点です。数値を洗い出し、削減可能な費用と強化すべき売上施策を切り分けることが改善の出発点になります。

黒字なのに危険なECの共通パターン

最終損益がプラスであっても、安心できるとは限りません。理由は、利益が一時的な値上げやキャンペーン停止によって生まれている場合、再投資余力が不足するためです。

たとえば在庫処分セールで利益を確保しても、継続的な商品開発や広告施策に回す資金がなければ将来の売上は伸びません。さらに特定の広告媒体に依存している構造では、媒体規約の変更や競争激化によって収益が急減する危険もあります。

健全性を確認するには、営業利益から将来投資に充てられる余剰額が確保できているか、売上源が分散しているかを点検する必要があります。持続的な成長を実現するためには、短期黒字だけで満足せず収益構造全体を見直す姿勢が欠かせません。

EC事業で利益率が低下する5つの典型的な失敗パターン

自社の利益率が伸び悩んでいる場合、その原因は特定のパターンに当てはまっているケースがほとんどです。ここでは、EC事業者が陥りがちな5つの失敗パターンと、それぞれの原因を整理します。自社の状況に該当する項目がないか確認しましょう。

パターン1. 広告費依存による収益の自転車操業化

新規顧客獲得を広告に頼り続けると、売上は伸びても利益が残らない構造になります。特にリスティング広告やSNS広告の単価は年々上昇傾向にあり、同じ成果を出すために必要な費用が膨らんでいくのが現実です。

広告を止めると売上が急減するため、止めるに止められない状態に陥ります。この状態を脱却するには、リピーター比率を高めて広告依存度を下げる施策が不可欠です。

パターン2. 値引き・セールによる粗利圧迫

売上を維持するために頻繁な値引きを繰り返すと、粗利益率は確実に低下します。一度値引きに慣れた顧客は、定価で購入することに抵抗感を持つようになり、値引きなしでは売れない体質に陥ります。

短期の売上を追うあまり、長期の利益基盤を削ってしまう典型例です。値引きは戦略的にタイミングと幅を限定することが、粗利を守るうえで重要になります。

パターン3. 在庫過多による資金繰り悪化

「売上機会を逃したくない」という発想で在庫を積み増しすぎると、仕入れ資金が先に流出して資金繰りを圧迫します。さらに売れ残った在庫は値引き販売や廃棄の対象となり、最終的な粗利益率を大きく下げる要因となります。

在庫回転率を常にモニタリングし、適正水準を超えないよう仕入れ計画を調整することが、利益率を守る基本動作です。

パターン4. 送料の吸収による営業利益圧迫

「送料無料」を訴求するために送料を自社負担にしているECは少なくありません。ユーザーへの訴求力は高まりますが、一件あたりの営業利益は確実に圧迫されます。

特に小口注文が多い運営形態では、送料負担が積み重なり営業利益率を2〜5ポイント下げる要因にもなり得ます。一定金額以上で送料無料など、条件付き設計に切り替える選択肢も検討すべきです。

パターン5. システム・ツールの重複契約によるコスト膨張

EC運営が長くなるにつれ、必要に応じて追加したシステムやツールが積み重なり、気づけば機能が重複した契約を続けているケースがあります。月額数千円〜数万円の小さなコストも、複数重なれば営業利益率に無視できない影響を与えます。

半年〜年に一度のシステム棚卸しを行い、利用頻度が低いツールや重複機能がないかを見直すことが推奨されます。

ECにおいて重視される2つの利益率

「利益」とは売上高から諸経費を差し引いた数値であり、事業における儲けそのものを意味します。そして「利益率」は売上高に対する収益の割合を指しており、企業の経営状況を把握するために重要な要素です。

EC事業において、利益率は商品の販売を通して儲けを得られているかを判断する指標として重視されています。売上が伸びていても利益率が低い場合、採算が合わずに赤字となるリスクがあるため早期の改善が必要です。

利益は意味や役割によって5つに分類されており、以下の種類があります。

  • 粗利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

ECの運営において重視されるのは「粗利益」と「営業利益」であり、これらの割合によって経営状況が判断可能です。自社の経営状況を把握するために、それぞれの利益率の意味や役割を正確に理解しましょう。

5種類の利益の違いと計算式を整理

ECで重視されるのは粗利益と営業利益の2つですが、経営判断をより深く行うためには、5種類の利益それぞれの意味と計算式を理解しておくことが望ましいです。ここで一覧として整理します。

利益の種類計算式何を測るか
粗利益(売上総利益)売上高 − 売上原価商品そのものの収益力
営業利益粗利益 − 販売費および一般管理費本業での稼ぐ力
経常利益営業利益 ± 営業外損益財務活動も含めた総合収益力
税引前当期純利益経常利益 ± 特別損益臨時要因を含めた最終収益
当期純利益税引前当期純利益 − 法人税等株主に帰属する最終利益

ECの日々の運営では粗利益と営業利益に焦点を当てれば十分ですが、年度単位の経営判断や金融機関との折衝時には経常利益以降も把握しておくと、数値への理解が深まります。

1. 粗利益率

「粗利益」とは売上高から仕入れや製造にかかる原価を引いた数値であり、商品の価格設定や販売数が妥当であるかの判断材料となります。「粗利益率」とは売上高に対して原価を除いた収益の割合で、算出方法は以下のとおりです。

  • 粗利益率=(売上高-原価)÷売上高×100

粗利益率は市場ニーズや競合との競争力など、商品設定における戦略の是非を判断する基準となります。粗利益率は業種や扱う商材によって異なっており、各分野における粗利益率は以下のとおりです。

  • 卸売業:15.9%
  • 製造業:21.9%
  • 小売業:30.4%
  • 情報通信業:47.4%

自社で製造を行う企業や差別化された商品を扱う会社では、粗利益率が高くなる傾向にあります。ECにおける具体的な粗利益率のデータはありませんが、アパレルを扱うネットショップでは50%を超える粗利益率です。

参照:総務省|中小企業実態基本調査 令和4年確報

2. 営業利益率

「営業利益」とは、売上高から原価と「販促費および一般管理費」を引いた数値です。販促費は広告費や配送料などが該当し、月ごとに大きく変動しやすい特徴があります。一般管理費は売上へ間接的に影響しているコストで、商品やサービスの生産・販売に関わらない人件費や通信費などの固定費です。

「営業利益率」は売上高に対して事業のランニングコストを除いた収益の割合で、以下のように算出されます。

  • 営業利益率=(売上高-原価-販促費および一般管理費)÷売上高×100

営業利益率は総合的な収益性を判断する基準となるため、経営状況を把握するために重要です。

EC事業におけるランニングコストについては、関連記事の「ECサイトにかかるランニングコストの維持費・運営費について解説!費用を抑える3つの方法も紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

EC利益率の計算シミュレーション【売上規模別】

利益率は数式だけでは実感が湧きにくいため、具体的な数値を入れたシミュレーションで見てみましょう。自社の数値と比較することで、現状のポジションを把握しやすくなります。

【ケースA】月商100万円の小規模EC

月商100万円、原価率50%、広告費率15%、その他販管費15%の場合のシミュレーションです。まず粗利益は、100万円から原価50万円を差し引いた50万円となり、粗利益率は50%となります。次に営業利益は、粗利益50万円から広告費15万円と販管費15万円を差し引いた20万円で、営業利益率は20%に達します。

小規模ECでも、原価率と広告費率を適切にコントロールすれば、理想値である営業利益率20%の達成は十分に可能です。

【ケースB】月商500万円の成長期EC

月商500万円、原価率45%、広告費率25%、その他販管費15%の場合のシミュレーションです。粗利益は500万円から原価225万円を差し引いた275万円で、粗利益率は55%となります。営業利益は粗利益275万円から広告費125万円と販管費75万円を差し引いた75万円で、営業利益率は15%です。

成長期は広告費が膨らむため、営業利益率は理想値より低く出やすい傾向があります。この段階では、広告依存を脱却しリピーター比率を上げる施策が営業利益率改善の鍵となります。

【ケースC】月商2,000万円の成熟期EC

月商2,000万円、原価率40%、広告費率10%、その他販管費25%の場合のシミュレーションです。粗利益は2,000万円から原価800万円を差し引いた1,200万円で、粗利益率は60%となります。営業利益は粗利益1,200万円から広告費200万円と販管費500万円を差し引いた500万円で、営業利益率は25%に達します。

成熟期になると、仕入れ交渉力の強化と顧客基盤の安定により、原価率と広告費率が改善しやすくなります。一方で人件費や倉庫費など固定費の比率は上がるため、業務効率化と自動化への投資が重要性を増します。

ECにおける営業利益率の目安は20%前後

EC事業における営業利益率は、20%前後が理想値と言われています。ECサイトの運営に関する指標としては「3・3・4の法則」や「1・5・4の法則」が有名です。

これら2つの法則では「商品の原価:販促費:その他経費や営業利益」を「3:3:4」や「1:5:4」の比率に収めるのが望ましいとされています。どちらの法則においても、その他経費と営業利益はそれぞれ20%ずつが理想値です。

実際のEC業界では、営業利益率が5〜10%程度の企業が最も多く、理想値の20%を超えている事業者は1.5割ほどしかありません。営業利益率が20%を下回っているEC事業者が業績を伸ばすには、利益率を改善する施策に取り組み続けることが重要です。

参照:流通情報|大手総合ECサイト利用事業者の状況調査 2022

なぜ営業利益率20%が目安とされるのか

営業利益率20%という目安の根拠は、EC事業における「3・3・4の法則」にあります。この法則では、売上に対する費用構造を、原価30%、販促費30%、その他経費および営業利益40%という比率で捉えます。その他経費と営業利益が合わせて40%のうち、半分ずつを配分すると営業利益が20%となる計算です。

この20%という水準には、実務上の重要な意味があります。第一に、将来投資の原資を確保できる水準です。新商品開発、広告テスト、システム刷新など、成長への投資は粗利からは出せず、営業利益の中から捻出する必要があります。第二に、外部環境の変動に耐えられる余裕を持てる水準でもあります。広告単価の高騰、為替変動による原価上昇、配送料金の値上げなど、予期せぬコスト増に遭遇しても赤字転落を回避できます。

第三に、事業継続に必要なキャッシュフローを生み出せる水準でもあります。営業利益率が10%を切ると、事業継続と成長投資の両立が難しくなり、15%前後ではギリギリの運営、20%を超えると安定経営と次の成長の種まきが両立できる状態と捉えると、目安の意味が腹落ちしやすいでしょう。

業界別に見るEC利益率のリアルな相場感

営業利益率20%という数値は理想値として語られる場面が多いものの、実際の達成難易度は扱う商材や販売モデルによって大きく異なります。平均値だけを見て判断すると、自社の立ち位置を誤認する恐れがあります。重要なのは、業界特性ごとの原価率や広告費率を踏まえて現実的な目標を設定することです。

ここでは、代表的な業種や販売形態ごとの利益構造を整理し、20%という基準がどの程度妥当なのかを確認します。

アパレル・コスメ・食品の利益率比較

商材ごとに目指せる利益率水準は大きく異なります。アパレル分野では自社企画商品を展開している場合、粗利率が高く確保できる傾向があり、販売戦略次第で営業利益率20%に近づく可能性があります。一方でセール依存型の運営では値引きが常態化し、利益率は低下しやすいでしょう。

コスメ領域では原価率が比較的低い商品も多い反面、新規顧客獲得の広告費が高騰しやすいため、広告効率と継続購入率が鍵を握ります。食品カテゴリーでは原価や物流コストが重くのしかかるため、利益率はやや低めに推移する傾向があります。各業界の構造を踏まえ、自社の商材特性と照合して目標水準を見極めることが重要です。

単品通販と総合物販で利益構造はどう違う?

販売形態の違いは利益構造に直結します。単品通販モデルでは、特定商品に広告投資を集中させ、定期購入へ誘導する戦略が一般的です。初回獲得時に利益が出なくても、継続購入による顧客生涯価値で回収する設計が可能になります。そのため長期視点では高い利益率を実現しやすい点が特徴です。

対照的に総合物販型では多様な商品を扱うため在庫管理コストが増えやすく、価格競争も起こりやすい傾向があります。広告費を抑えつつ回転率を高める運営が求められます。どちらのモデルにも強みは存在しますが、利益率の出し方はまったく異なります。自社が採用している販売形態に適した指標を設定することが欠かせません。

高利益率モデルと低利益率モデルの違い

利益率が高い事業には共通点があります。第一に、価格決定権を持つ独自商品を展開している点が挙げられます。競合と単純比較されにくいため値下げ圧力が弱まり、粗利を確保しやすくなるでしょう。

第二に、リピーター比率が高く広告費依存度が低い点も特徴です。顧客基盤が安定すると販促費率が抑えられ、営業利益率が向上します。一方で低利益率モデルでは、仕入れ商品中心で差別化が難しく、価格競争に巻き込まれる傾向があります。

さらに新規獲得に頼る運営では広告費が膨張しやすくなるでしょう。利益率を高めるには、商品戦略と顧客戦略の両面を見直し、構造的な改善を進める視点が必要です。

業界・商材別の営業利益率の目安一覧

自社の目標値を設定する際の参考として、主要な業界・商材カテゴリーごとの営業利益率の目安を整理しました。数値はあくまで参考値であり、販売モデルや規模感によって前後します。

業界・商材粗利益率の目安営業利益率の目安特徴
アパレル(自社企画)50〜65%15〜25%粗利は高いが在庫リスクと広告費が重い
アパレル(仕入れ販売)30〜45%5〜12%価格競争が激しく利益率確保が難しい
コスメ・美容60〜80%10〜25%原価低めだが新規獲得広告費が高騰しやすい
食品(加工品)35〜50%5〜15%物流・冷蔵コストが重く粗利も低め
食品(生鮮・特産品)30〜45%3〜10%在庫ロス・物流コストで利益が出にくい
健康食品・サプリ65〜80%15〜30%定期購入モデルで高い営業利益率を実現しやすい
家電・PC周辺機器15〜30%3〜8%価格比較が容易で薄利多売になりやすい
日用品・消耗品25〜40%5〜12%リピート性は高いが単価が低い
雑貨・ギフト45〜60%10〜20%季節要因・トレンド依存で収益が変動しやすい
デジタルコンテンツ70〜95%20〜40%物理コストがほぼゼロで高利益率

自社商材の相場帯を把握したうえで、「相場帯の上位に入る」ことを現実的な目標に設定するのが実務的です。業界平均を大幅に超える水準を目指す場合は、商品戦略そのものからの再設計が必要になります。

【商品設定】ECの利益率を向上させる3つの施策

業績を伸ばすには「粗利益率自体を増やすか」「営業利益率を向上させるか」の2種類のアプローチがあります。ECにおいて粗利益率を増やすためには、商品設定の見直しが有効です。

ここでは、商品設定の改善によって粗利益を増やしつつ、売上高を伸ばす3つの戦略を紹介します。自社ECで扱う商品や価格設定を見直し、粗利益率アップを狙いましょう。

1. ラインナップを見直す

商品のラインナップを見直し、粗利益率の高いアイテムを扱いましょう。仕入れや製造のコストが低く高価格で販売できる商品ほど、粗利益率が高くなる傾向にあります。ECと相性の良い商品のうち、粗利益率の高いアイテムの例は以下のとおりです。

  • ギフト用アイテム
  • オリジナル商品
  • デジタルコンテンツ

ラインナップを見直す際は市場や競合の分析を入念に行い、ニーズのある商品を取り入れることで売上アップにつながります。ニッチな商品や独自開発のオリジナルアイテムは競合と差別化でき、一定の売上を確保しやすいでしょう。

粗利益率の高い商品や市場のニーズは変動するため、定期的に調査してラインナップを見直すのがおすすめです。

2. 単価を上げる

ECで現在扱っているアイテムの粗利益率を高めるには、商品の価格や顧客単価を上げる施策を行います。一方で商品の値段を上げれば粗利益は増えますが、価格改定によって顧客離れのリスクがあるため適切な対策が必要です。

値上げする際は、競合との差別化の徹底やアフターサービスを充実させ、顧客離れを防ぎましょう。粗利益率の低い商品がある場合は収益性の高いアイテムとセットで販売し、儲けを確保しつつ顧客単価を上げる戦略がおすすめです。

また定期購入サービスを導入すれば、LTV(顧客生涯価値)の向上につながります。初回はキャンペーン価格であっても、定期購入の2〜3回目ほどで割引額や販促費などのコストを回収できる単価に設定していれば、自動的な利益の積み重ねが可能です。

LTVを向上させる方法については、関連記事の「ECにおけるLTVの計算方法と数値改善のための3つの施策を解説」にて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

3. 原価を抑える

商品の原価を抑えてコストを減らす施策を行い、粗利益を確保しましょう。自社やOEMで独自の商品を生産している場合は、製造のコストカットにより原価を抑えられます。製造におけるコストを削減する代表的な方法は、以下のとおりです。

  • 原料を見直して材料費を削減
  • 製造ラインを集約して工数を削減
  • 在庫管理を徹底し適切な数量を製造

小売のEC事業の場合は、仕入れ先の見直しにより原価を抑えられる可能性があります。「複数の仕入れ先から相見積もりを取って価格交渉を行う」「メーカーから直接買い付ける」などの方法により、商品の調達にかかる原価の削減が可能です。

仕入れ先の状況は市場の影響を受けて変動するため、定期的に見積もりを取って原価を抑えられる取引先を選定しましょう。

【コストカット】ECの利益率を向上させる4つの施策

業績を伸ばすもう1つの戦略として、営業利益率を向上させるアプローチがあります。EC事業において営業利益率を改善するには、運営にかかる費用のコストカットに加えて業務の効率化を図りましょう。

ここでは、EC運営におけるコストを削減し業務の効率を高める4つの施策を紹介します。自社の経営に影響する無駄を省き、営業利益率アップを狙いましょう。

1. 広告費を削減する

広告費を削減しつつ効率的に売上へつながる施策を行い、営業利益率を伸ばしましょう。例えばECへの集客にSNSを活用すれば、広告費を抑えられる可能性があります。

Web広告に比べてSNS広告の出稿費用は安い傾向にあるうえ、拡散性が高いため効率的に集客が可能です。アカウントは無料で開設でき、SNSを用いてブランディングをすれば競合との差別化につながります。

また新規顧客にアプローチするよりもリピーターの獲得へ注力する方が、限られた広告費でも売上アップが可能です。リピーターを獲得する施策としては、以下の方法が挙げられます。

  • メルマガ配信
  • ポイント制の導入
  • リピーター用クーポンの配布
  • 定期的なキャンペーンの実施

SNSを用いた集客方法については、関連記事の「ECサイトの集客に効果的な5つのSNS運用方法!具体的なメリットと注意点も解説」にて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

2. 配送費用を見直す

配送に関わる費用を見直し、余分なコストを削減しましょう。商品の価格に対して配送費用の割合が大きいケースでは、ユーザーが送料を払う規定にするか、購入額が一定以上の場合のみ自社負担にすると負担が軽減できます。

ただし、ユーザーが送料を払うように設定されている場合、顧客はそのECでの購入を控えるケースがあるため、売上自体が落ちないよう慎重に判断しましょう。

一方で配送費用は、大きさと重量で設定されている場合が多いため、梱包を小型化するとコスト削減につながります。ダンボールはできるだけ小さいサイズにし、緩衝材は必要最低限の量に留めましょう。

また毎月一定数以上の商品を発送する場合は、配送業者と法人契約を結ぶことで送料が割引されるケースがあります。

3. システムを最適化する

各種システムを見直し、自社の状況に合わせて最適なサービスを選ぶことで余分なコストの削減が可能です。ECの運営に欠かせないカートシステムや決済サービスは、契約プランや売上に応じて一定の手数料が発生します。

手数料は利用するカートシステムによって異なり、数%の差であっても売上高に応じてコストは大きくなるため、定期的に見直すのがおすすめです。自社ECの現時点での事業規模を考慮して、必要な機能が備わっているカートシステムを複数ピックアップし費用を比較検討しましょう。

各種システムを見直す際は、費用面だけでなくセキュリティやサポート内容を加味することが重要です。カートシステムの選び方については、関連記事の「カート機能とは?ECカートシステムを選ぶ際のポイントや有料版と無料版の機能の違いも解説」にて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

4. 業務を効率化する

ツールや外部委託を積極的に活用し、EC運営の業務効率化を図りましょう。近年はAIの活用も進み、これまで人手に頼っていた業務を大幅に自動化できるようになっています。業務を効率化することで人件費の削減につながるだけでなく、社内リソースを売上拡大や商品開発など、より付加価値の高い業務に振り向けることが可能です。

例えば、AIチャットボットの導入やカスタマーサポートの外部委託を活用すれば、問い合わせ対応を効率化しながら顧客満足度を維持できます。さらに、AIを活用したFAQ自動生成や返信文案の作成などを取り入れることで、対応品質を保ちながら業務負荷を抑えることも可能です。また発送業務を外部委託すれば、梱包作業や在庫管理にかかる人件費だけでなく、倉庫までの配送料やスペースの維持費などのコストカットが可能です。

ほかには受注管理システムを導入し、注文への対応を自動化する方法があります。受注管理システムは注文への対応における人的なミスを軽減するうえ、ユーザーに商品が届くまでのリードタイムの短縮につながり顧客満足度の向上が可能です。

業務を効率化するその他の方法については、関連記事の「ECの問い合わせ対応を効率化する5つの手法!課題ごとに適切な対処方法を解説」にて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

見落としがちなEC利益率を蝕む「隠れコスト」

広告費や配送費など目に見えやすいコストだけでなく、利益率を静かに蝕む「隠れコスト」が存在します。気づかないうちに営業利益率を数ポイント押し下げている可能性があるため、一度洗い出しておきましょう。

決済手数料の積み重ね

クレジットカード決済手数料は、一般的に売上の3〜5%程度です。これに加えて、コンビニ決済・後払い決済・電子マネー決済など複数の決済手段を導入していると、それぞれに手数料が発生します。売上構成比によっては、決済手数料だけで売上の4〜6%に達することもあります。

決済代行会社によって手数料率は異なるため、売上規模が大きくなったタイミングで交渉や乗り換えを検討する価値があります。また、利用率の低い決済手段を廃止することで、固定費を削減できる可能性もあります。

返品・交換コスト

返品や交換に伴うコストは、返送送料・再発送送料・検品工数・在庫戻し入れの手間など多岐にわたります。特にアパレルやサイズ感が重要な商材では、返品率が10〜30%に達することもあり、利益率を大きく押し下げる要因となります。

返品率を下げる取り組みは、そのまま利益率改善に直結します。商品ページでのサイズ情報の充実、着用イメージの明確化、購入前のサイズ診断ツール導入など、事前のミスマッチを減らす施策が有効です。

在庫ロス・廃棄コスト

売れ残った在庫は、値引き販売や廃棄によって最終的に粗利益率を引き下げます。特に季節商材やトレンド商品では、時期を過ぎると大幅な値引きでも売りきれないケースがあります。

発注量の精度を高める、少量多回発注へ切り替える、販売期間を見越した商品選定を行うなど、在庫ロスを減らす仕組み作りが重要です。ABC分析などの在庫管理手法を導入することで、ロス率を抑えることが可能になります。

顧客獲得単価(CPA)の上昇

新規顧客獲得にかかるコストは、年々上昇傾向にあります。数年前は1,000円で獲得できた顧客が、現在は3,000円以上かかるケースも珍しくありません。CPAの上昇に気づかず広告運用を続けていると、知らないうちに営業利益率が低下していきます。

CPAは定期的にモニタリングし、LTVとのバランス(CPA ≤ LTV × 0.3程度が健全ライン)を確認することが、利益率維持の観点で重要です。

EC利益率20%達成に向けた改善ロードマップ

利益率の改善は、一度に全方位で取り組むと効果が散漫になります。優先順位をつけて段階的に進めることで、確実に数値を改善していきましょう。ここでは、3か月・6か月・12か月で取り組むべき施策を整理したロードマップを提示します。

第1フェーズ(1〜3か月目):可視化と診断

最初の3か月は、現状把握と診断に集中します。売上・原価・広告費・送料・システム費・人件費などのコストを項目別に洗い出し、売上に対する比率を算出します。この段階で「どこにコストが偏っているか」「業界平均と比較してどの項目が突出して高いか」が見えてきます。

あわせて、リピーター比率・平均購入単価・LTV・CPAなどの主要KPIを計測します。数値を可視化しないまま改善に取り組むのは、地図なしで航海するようなものです。この期間に時間をかけて土台を作ることが、後の改善スピードを大きく左右します。

第2フェーズ(4〜6か月目):即効性の高い施策を実行

診断が終わったら、即効性の高い施策から着手します。具体的には、利用頻度の低いシステム・ツールの解約、決済手段の見直しによる手数料削減、梱包材の最適化による送料削減などです。これらはどれも実行難易度が低く、1〜2ヶ月で成果が数値に反映されます。

同時に、既存顧客へのリピート促進施策を強化します。メルマガ・LINE公式・会員限定クーポンなどを活用し、広告依存度を下げながら売上を維持する体質へ転換していきます。この段階で営業利益率を2〜5ポイント押し上げることを目標にしましょう。

第3フェーズ(7〜12か月目):構造改革と新規施策

土台と即効性の改善が進んだら、より構造的な改革に取り組みます。粗利率の高い新商品の開発・導入、単価を上げるためのセット販売・定期購入の導入、業務の自動化や一部外注化などです。これらは効果が出るまで時間がかかる一方で、一度仕組み化できれば長期的な利益率向上に直結します。

また、顧客データの分析精度を高め、高LTV顧客の特性を把握することで、獲得施策も効率化できます。この段階で営業利益率15%以上を安定的に確保し、20%を目指すための次の投資計画を描ける状態が理想です。

ECにおける利益率の最適化ならFORCE-R

EC事業において利益率を向上させる方法は複数あり、扱う商品や業種などによって効果的な施策は異なります。粗利益率は市場の動向によって大きく変動する可能性があるため、改善するためにはトレンドや競合の把握が重要です。

営業利益率を最適化するには、販促費や一般管理費への影響が大きいコストを分析し、大幅な経費削減が見込める分野から着手すると良いでしょう。自社ECの利益率を向上させる施策にお悩みの方は、ぜひFORCE-Rへお問い合わせください。

経験豊富な専門コンサルタントがクライアント様と密に連携を取り、利益率を向上させる施策の立案やサポートを行います。

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まとめ|ECの利益率を改善するには経費の可視化が重要

EC事業における利益率を改善するためには、売上高に対する商品の原価や販促費などのコストの可視化が重要です。可視化したコストの内訳をもとに、自社ECの運営において利益の伸びを妨げる要因を明確化し、適切な施策に取り組み収益性を改善する必要があります。

FORCE-Rでは専門コンサルタントが利益率における課題を発見した上で、効果的な改善策の立案を行います。自社ECの運営における余分なコストを削減し利益を伸ばしたい方は、ぜひFORCE-Rへお問い合わせください。

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EC利益率に関するよくある質問(FAQ)

最後に、EC事業者からよく寄せられる利益率に関する質問にお答えします。

Q1. EC事業の営業利益率20%は本当に達成可能ですか?

A. 商材や販売モデルによりますが、達成可能です。実際に20%を超えているEC事業者は全体の約1.5割存在します。独自商品を展開し、リピーター比率が高く、広告依存度の低いモデルでは達成しやすい傾向があります。逆に仕入れ商品中心で価格競争に巻き込まれやすい商材では、15%前後が現実的な目標となります。

Q2. 利益率と粗利率はどう違いますか?

A. 「利益率」は一般的に営業利益率(売上から原価と販管費を除いた割合)を指すことが多く、「粗利率(粗利益率)」は売上から原価のみを除いた割合を指します。粗利率は商品そのものの収益力を、営業利益率は事業全体の稼ぐ力を表す指標と捉えると分かりやすいでしょう。

Q3. 利益率の計算に含めるべきコストは何ですか?

A. 粗利益率の計算では、商品原価(仕入額または製造原価)のみを差し引きます。営業利益率の計算では、広告費・配送費・決済手数料・システム利用料・人件費・家賃などの販売費および一般管理費をすべて含めます。見落としやすいのが、決済手数料・返品コスト・在庫ロスなどの隠れコストです。

Q4. 売上は伸びているのに利益が残らないのはなぜですか?

A. 最も多い原因は、売上増加とともに広告費や変動費が比例して膨らんでいることです。特に広告依存型の集客モデルでは、売上が増えるほど顧客獲得単価も上昇し、利益率が改善しにくい構造に陥ります。売上成長と同時に、リピーター比率の向上や固定費のコントロールに取り組むことが重要です。

Q5. まず何から手をつければ利益率が改善できますか?

A. 即効性の高い順に、「利用頻度の低いシステム・ツールの棚卸しと解約」「決済手数料・配送費の見直し」「梱包材の最適化」の3点から着手するのが王道です。これらはどれも実行難易度が低く、1〜2か月で数値に反映されます。並行して、リピート促進施策を始めて広告依存度を下げていきましょう。

Q6. 値上げすると顧客が離れるのではないかと心配です。

A. 値上げ単独では離反が起きやすいのは事実です。しかし、値上げと同時に「新パッケージへのリニューアル」「サポート体制の強化」「付加価値商品の追加」など、値上げの理由をセットで提示すれば顧客離反は最小限に抑えられます。また、一度に大幅値上げするより、段階的に上げる方が心理的な反発を受けにくいです。

Q7. 営業利益率が業界平均を超えているのに、経営が不安なのはなぜですか?

A. 営業利益率は高くても、キャッシュフローが悪化しているケースがあります。特に在庫を多く抱える運営では、帳簿上の利益と実際の手元資金がずれやすくなります。営業利益率だけでなく、在庫回転率・売掛金回収期間・買掛金支払い期間などのキャッシュフロー指標もあわせて確認することが重要です。

Q8. リピーター比率を上げるにはどうすればよいですか?

A. 最も効果的なのは、購入後フォローの体系化です。サンクスメール、使い方案内、購入1〜2週間後のアフターフォロー、レビュー依頼などを自動化された形で配信する仕組みを作りましょう。あわせて、メルマガ・LINE公式での継続的な情報発信、会員ランク制、定期購入の導入などを組み合わせることで、リピート率は段階的に改善していきます。

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